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序章
孤独の中で
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『あんた私を殺そうと思ったことある?』
その時、彼女越しに見えるTVには家族間の殺害事件に関するニュースが流れていた
ようやく質問の意味を理解した少年は
少しビクつきながら、『ないよ』とだけポツリと答えた そこには感情というより戸惑いしかなく、何?何故?急に?という疑問符で頭の中はいっぱいになった
そして彼女はおもむろに座卓に腰掛けながらタバコをふかしふーっと煙を吹き出した後で、『私はある~』と言った
こちらを向くこともなくニュースを見たまま動かない、居間には張り詰めた空気と
事件の状況を説明するニュースが流れていた
不安と恐怖から私の心臓は鼓動が
速くなり、悲しみと絶望が
同時にやってきた。9歳の少年には
受け止めきれるものではなかったのだ
その瞬間少年の心の奥から殺意に近いものが溢れてきた、だったら俺もあると言えば良かったな。。。
その前に何故、急にこの人はこんなことを言うのか?
全く理解できずただただ不気味な家族を敬遠して少年は居間を跡にし、自分の部屋へ戻った。
自分に湧き上がった殺意を隠して。。。
日頃から苛つく我が子の生意気な態度腹いせだとしても、少年にはそんなに酷いことをした覚えはなかった。たまにぶーたれたり、ご飯を食べたくないと文句を言うくらいだ。
少年は部屋に戻り考えた。
今、自分は自分を殺そうと思ったことのある母親と一つ屋根の下で暮らしている。そして、自分が成人するまでこの生活を何年も続けていかなきゃならない
自己防衛の中から殺意は湧いたが本心ではなかった、ただ自分が母親を愛してるかは
もう分からなくなっていた
少年には自分に降りかかっている
家庭内でのモラハラに対する解決や改善方法は何も思いもつかないし、そんなこと教えてくれる人も居るわけがなかった
近所の塀に貼り付けてある子供110番なるものは、外界の不審者に適用されるもので、自分の親を他者へリークするなんて考える訳がなく、親に対して上手くへつらうことで家の中での平安さを守ることしか思いつかなかった。
ただし、そこには自分を偽る心地悪さ、その抵抗感で内側が満たされていく気持ち悪さがあった。
自分が汚れていく感覚、なりたい自分とはかけ離れていく感覚だ
学校やTVでよく聞く表面的なすごく美化された愛と平和の尊さ、それらとはかけ離れたものを家庭で味わっている、それが少年の生活環境だったし、人格を育む土壌だったのだ
その後一週間くらいは、母親の出方を探りつつ、穏便にしてると、少年の好物を作ってはご機嫌に明るく振る舞ってくる、もう過ぎたことは忘れて楽しくやろうよというメッセージである。
これを受けとらないとまた危うい空気になるのを見越して少年は母親の行為を
喜んで受け入れ感謝することで成立するのだ
少年は三人家族で
少年には、祖父母や父親がおらず、気に入らないと虐めてくる兄がいた。
少年が幼い頃から、水商売を生業にする母親は夜不在で、7歳離れた9歳の兄と2歳の頃から留守番をしていた。
実際には、
夜子供達だけを置いて繁華街に働きに行き色恋沙汰武器に乗客を捕まえて酒を飲ませて売り上げる職場で働いていた
時折、兄が狂う夜がある
2歳の弟が寂しさで泣き喚く時に、イラつかない兄や姉が居ないとは思えないし、わずか9歳から毎夜子守りである。
作り置きされた晩御飯を食べさせて、片付けをする。それが生活の一部であった
彼もまた不憫である
母親は時には具合が悪くとも、夜の蝶として出かけてしまうのだ。父親違いの弟を置いて。。。
ある夜、兄が気が狂ったように黙れ!黙れ!と言いながら弟の顔を引っぱたいて擦り傷をで顔を腫らした夜があった
いつもの様に酔っ払い帰ってきた母親の布団で弟が泣きながら寝てしまった夜があった。顔を見てびっくりした母親ひ兄をたたき起こして真夜中の事情聴取が始まる
兄9歳、弟2歳である。
弟には、自分に癇癪を起こして暴力を振るった兄を憎み、恐れる感情が芽生え、
兄には、母親の後ろに隠れて、仕返しが成功したことに少し満足気な弟を疎ましく思い更に遠ざけたい苛立ちが生まれたに違いない
それでも2人は夜には、母親不在で
留守番をする家族なのだ
ある日、母親に兄を好きか尋ねられた。弟は兄のことが嫌いでたまらなくなっていたので嫌いと答えると
母は微笑み、そんなに嫌いならどうしたい?と聞かれて。弟は調子に乗り、兄ちゃんをゴミ出し日にポリ袋に入れて出したいと言ったら、母親はあんたは面白いことを言うと笑い出した。
後々で考えると、親子の異常な会話であるが当時の少年には全く自覚が無かったし、
ただただ兄の存在が怖くて、嫌な兄でしかなかったからだ
ある日、叔母の家で母親と叔母が
茶飲み話をしてる場で、母親が少年に
『あんたこないだ兄ちゃんのことなんて言ったっけ?』と愉快そうに訪ねてきたので同じ話をすると母親が可笑しくってと
叔母に笑いを誘うが、叔母は真面目な顔で
『あんたなんでそんなにお兄ちゃんのことが嫌いなの?』と聞かれた
『嫌いだから』と答えたが
その感情がどこで発生したものか
洞察するには少年は4歳とまだ幼すぎた
その時、彼女越しに見えるTVには家族間の殺害事件に関するニュースが流れていた
ようやく質問の意味を理解した少年は
少しビクつきながら、『ないよ』とだけポツリと答えた そこには感情というより戸惑いしかなく、何?何故?急に?という疑問符で頭の中はいっぱいになった
そして彼女はおもむろに座卓に腰掛けながらタバコをふかしふーっと煙を吹き出した後で、『私はある~』と言った
こちらを向くこともなくニュースを見たまま動かない、居間には張り詰めた空気と
事件の状況を説明するニュースが流れていた
不安と恐怖から私の心臓は鼓動が
速くなり、悲しみと絶望が
同時にやってきた。9歳の少年には
受け止めきれるものではなかったのだ
その瞬間少年の心の奥から殺意に近いものが溢れてきた、だったら俺もあると言えば良かったな。。。
その前に何故、急にこの人はこんなことを言うのか?
全く理解できずただただ不気味な家族を敬遠して少年は居間を跡にし、自分の部屋へ戻った。
自分に湧き上がった殺意を隠して。。。
日頃から苛つく我が子の生意気な態度腹いせだとしても、少年にはそんなに酷いことをした覚えはなかった。たまにぶーたれたり、ご飯を食べたくないと文句を言うくらいだ。
少年は部屋に戻り考えた。
今、自分は自分を殺そうと思ったことのある母親と一つ屋根の下で暮らしている。そして、自分が成人するまでこの生活を何年も続けていかなきゃならない
自己防衛の中から殺意は湧いたが本心ではなかった、ただ自分が母親を愛してるかは
もう分からなくなっていた
少年には自分に降りかかっている
家庭内でのモラハラに対する解決や改善方法は何も思いもつかないし、そんなこと教えてくれる人も居るわけがなかった
近所の塀に貼り付けてある子供110番なるものは、外界の不審者に適用されるもので、自分の親を他者へリークするなんて考える訳がなく、親に対して上手くへつらうことで家の中での平安さを守ることしか思いつかなかった。
ただし、そこには自分を偽る心地悪さ、その抵抗感で内側が満たされていく気持ち悪さがあった。
自分が汚れていく感覚、なりたい自分とはかけ離れていく感覚だ
学校やTVでよく聞く表面的なすごく美化された愛と平和の尊さ、それらとはかけ離れたものを家庭で味わっている、それが少年の生活環境だったし、人格を育む土壌だったのだ
その後一週間くらいは、母親の出方を探りつつ、穏便にしてると、少年の好物を作ってはご機嫌に明るく振る舞ってくる、もう過ぎたことは忘れて楽しくやろうよというメッセージである。
これを受けとらないとまた危うい空気になるのを見越して少年は母親の行為を
喜んで受け入れ感謝することで成立するのだ
少年は三人家族で
少年には、祖父母や父親がおらず、気に入らないと虐めてくる兄がいた。
少年が幼い頃から、水商売を生業にする母親は夜不在で、7歳離れた9歳の兄と2歳の頃から留守番をしていた。
実際には、
夜子供達だけを置いて繁華街に働きに行き色恋沙汰武器に乗客を捕まえて酒を飲ませて売り上げる職場で働いていた
時折、兄が狂う夜がある
2歳の弟が寂しさで泣き喚く時に、イラつかない兄や姉が居ないとは思えないし、わずか9歳から毎夜子守りである。
作り置きされた晩御飯を食べさせて、片付けをする。それが生活の一部であった
彼もまた不憫である
母親は時には具合が悪くとも、夜の蝶として出かけてしまうのだ。父親違いの弟を置いて。。。
ある夜、兄が気が狂ったように黙れ!黙れ!と言いながら弟の顔を引っぱたいて擦り傷をで顔を腫らした夜があった
いつもの様に酔っ払い帰ってきた母親の布団で弟が泣きながら寝てしまった夜があった。顔を見てびっくりした母親ひ兄をたたき起こして真夜中の事情聴取が始まる
兄9歳、弟2歳である。
弟には、自分に癇癪を起こして暴力を振るった兄を憎み、恐れる感情が芽生え、
兄には、母親の後ろに隠れて、仕返しが成功したことに少し満足気な弟を疎ましく思い更に遠ざけたい苛立ちが生まれたに違いない
それでも2人は夜には、母親不在で
留守番をする家族なのだ
ある日、母親に兄を好きか尋ねられた。弟は兄のことが嫌いでたまらなくなっていたので嫌いと答えると
母は微笑み、そんなに嫌いならどうしたい?と聞かれて。弟は調子に乗り、兄ちゃんをゴミ出し日にポリ袋に入れて出したいと言ったら、母親はあんたは面白いことを言うと笑い出した。
後々で考えると、親子の異常な会話であるが当時の少年には全く自覚が無かったし、
ただただ兄の存在が怖くて、嫌な兄でしかなかったからだ
ある日、叔母の家で母親と叔母が
茶飲み話をしてる場で、母親が少年に
『あんたこないだ兄ちゃんのことなんて言ったっけ?』と愉快そうに訪ねてきたので同じ話をすると母親が可笑しくってと
叔母に笑いを誘うが、叔母は真面目な顔で
『あんたなんでそんなにお兄ちゃんのことが嫌いなの?』と聞かれた
『嫌いだから』と答えたが
その感情がどこで発生したものか
洞察するには少年は4歳とまだ幼すぎた
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