【完結】泣き顔に執着する学園の王子様との行末は

ルアミル

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24 ピンチ!*

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※少スカ描写があります。苦手な方はご注意ください!


 夏休み中本心に気がついてからずっと悩んでいたが体育祭、ゲーム大会を経て大分、桜城と自然に接する事ができる様になってきた。
 桜城は積極的に話すタイプでは無いし、俺も心を許した人にしかお喋りにならないので話す事はあまり無いのだがすれ違った時に挨拶をする様になったのが大きな変化だ。

 ゲーム大会の時に初めて挨拶をしたのだが、それ以来あの時は挨拶したのに学校で言わないのもなんか感じ悪いかなと思い挨拶し始めた。

「おはよ」というたった3文字だが言うのと言わないのでは関係性の位置付けがかなり変わってくる。
 毎回俺から言うのだが桜城もちゃんと返してくる。これ以上桜城の事を考えたら一方的に思案している様でムカつくので今の所コミュニケーションはこれで満足している。
 一学期が始まったばかりの頃なんて挨拶を交わす様になるなんて想像つかなかっただろうから。

 
 ところで、只今俺にピンチが訪れている。ギリギリで入ったトイレに故障中と言う紙が一面張られているのだ!
 体育の授業で喉が渇いて大量に水を飲んだのだがトイレに行く時間がなくそのまま過ごしていたら気がついた頃には恥ずかしながら漏れそうになっていた。
 そしてやっとの思いで競歩の様に進みながら到着したトイレでこの有様だ。

 このトイレには個室が2個しか無い。一つは既に使用中で中からイヤホンの音漏れの様な音が聞こえどうやらスマホを見てる様だ。
 俺の前には俺と同じく故障中の張り紙に閉口している人物がいた。
 この人がこのまま帰ってくれたら助かるのだが…そう思いながら後ろ姿を眺めていたのだが、あれ?この後ろ姿……気がついた時には彼はもう振り向いていた。そう、目の前の人物は桜城だったのだ。

 少し茶色がかった髪色に見覚えがあり後ろ姿で思い当たってしまった。
 後ろ姿でもう分かるようになったのか、俺…。そんな事より今はトイレが最優先だと目線でその個室に入りたいとアピールする。
 口で言った方が手っ取り早いのだが、「ギリギリだから俺に入らせて!!」と言うのはプライドが邪魔してできなかった。

「入りたいの?いいよ」
「…アリガトッ!」

 高速で感謝を述べると個室のドアを手に取った。今回ばかりは桜城が相手で良かった、と思ってしまった。ふぅー、良かった…。
 これでみっともなくもう漏らす事は無くなり一安心だ。
 完全に安心しきってドアの鍵を横にずらして閉めようとした瞬間僅かに開いたドアの隙間に指が入り込んできた。

「ひぃっ…!」

 え?何?予想外の出来事が起きて驚きのあまり情けない声が出てしまい動揺しているうちにその手がゆっくりドアを開けた。
 ゾッとしながらその手をゆっくりと視線で辿ると桜城の顔と目が合った。

「な、何?」

 いきなりトイレの個室に入ってくるという意味不明な行為にパニックになっているうちに桜城は個室に入り込んで鍵を閉めた。
 俺は便器に座ろうとしていたため便器の前に立っており桜城はトイレットペーパーが設置されてない方の便器の横側に立った。

「お前!…あっ」

 思わず怒鳴りつけてしまったが隣に人がいる事を思い出し、思わず口に手をやると声のボリュームを調節する。
 隣の個室に入ってる人はおそらくイヤホンをつけてると思われるため小声で話せば聞こえないだろう。

「出てけよ!その、俺……もう漏れそうだから…!」
「うん」

 出来るだけ小さい音量で、だが意思が伝わるようにハキハキと話す。
 桜城に漏れそうな現場を見られてしまったことが恥ずかし過ぎて既に涙目になりながら手でシッシッっと外へ出ていくように促す動きをする。しかし桜城は動く気配がない。

「うん、じゃなくて…。帰ってくれよ」
「俺は見てるからここでしなよ」
「はぁ…?」

 とんでもない提案を桜城からされて呆れ返ってしまう。恥ずかしさで泣かせようって魂胆か?
 いくら泣き顔を見たいとはいえ、小便をしてる所を自ら見ようとするか⁈
 排泄の瞬間なんて出来れば見たくない物だろ?やっぱりこいつどうかしてるって…!

「何でお前に見られないといけないんだよ!…マジで出てってくれ」

 そう言ってる間にも尿意が我慢できないほどせりあがってくる。
 やばい、やばい!最早プライドもかなぐり捨てて顔の前で手を合わせて手に力を込める。

「普段する時だって横から見えてるんだし同じでしょ」
「違うから!全然!…まじで」

 こんなに頼み込んでも桜城は全く動じず頑として動こうとしない。
 「頼む、まじで」と連呼する自分の顔は見えないが、きっと目はバキバキで顔面蒼白だろう。

「大丈夫?このままじゃ漏れるんじゃない?」
「そんなの、俺が一番分かってるんだって!!お前が出てけば済む話なんだよ…だいたい見て何の得が…」

 俺が桜城の目を覚まそうと語り始めたら興味ないとばかりに便器の蓋を開け俺の肩を押して便器と向かい合うように俺をセッティングするとバックハグするように後ろから回り込んで勝手にベルトを外し出した。

「何するん」

「うわっ故障中かよー、上の階行くのめんどくせえ」
「だるいな」
「なぁ」

 相変わらず小声ではあるが桜城に怒鳴りつけようと口を開くと丁度生徒がドアを開けてトイレに入ってきた様で急いで口を閉じた。
 動かないで静かにし、やり過ごそうとしていたら桜城が調子に乗ってベルトを外し終えると制服のズボンのボタンを開けチャックをゆっくりと下げ始めた。

 振り返って般若の仮面の様な顔で桜城を睨みつける。
 声が出せないから顔で伝えるしかなくもう般若いや、ナマハゲの様な恐ろしい顔になってきた。

 足音がだんだん遠くなりドアの開閉する音が聞こえた時ようやく一息つく事ができ改めて桜城に抗議しようと思ってふと下半身をみたら振り返ったりと体を動かした事でズボンが膝下まで落ちパンツ一丁になっていた。

「はっ…!」

 まずい、まずい。このままじゃ桜城の前でする事になってしまう、もしくは漏らすか…どっちもめちゃくちゃ嫌だ。ならば、どうやって桜城を動かすか…。

「なんか俺めっちゃお腹痛くなってきた、わ~…ギュルギュルしてきたナ…」
「してないけど?」
「っお前に聞こえてないだけでめっちゃギュルギュルしてるんだよ…!お前もそんなの嫌だろ、出てけって!」

 桜城にはったりで騙されてくれと祈りながら訴えかけていると急に隣の個室から物音がした。
 一旦抗議は中断して耳を澄ましているとどうやら個室から出ていった様で足跡が遠くなっていく。…よし。
 これで憚らずにはっきりと桜城を咎める事ができると思った瞬間桜城の手によってパンツがガッと下に下ろされた。

「ちょっ」

 思わず大きな声を上げてしまったがそれよりもパンツを上げる方が先だと判断し両手を下に下げパンツに手を伸ばしたが同時に桜城にちんこを握られた。

「な、どこ触ってんだよ!」
「漏れそうなんでしょ」

 俺の顔を覗き込む様に真後ろから見て薄ら笑いを浮かべる。
 そしてじっくり…じっくりと指で圧力を加え刺激する。

「やめてくれ…」

 もうこの状況になってしまったらこう言う事しかできなかった。
 どうせなら一思いに刺激を加えられた方が心身ともに楽だと思ってしまうほどじっくりといたぶられている様だった。
 一度刺激をくわえられてしまったらただその様を見ていることしかできない。

「あっ、あっ…んんぅ」

 どうにか尿意を自分の意思で止めようと喉から声を絞り出したがそれも虚しく最後の一押しの指圧で尿道からジャァァーと液体が勢いよく流れ出た。
 あー最悪だ最悪。こんな場面桜城に、いや桜城じゃなくたって誰かに見られるなんて屈辱的だし恥ずかしいしで穴があったら入りたい。
 
 漏れそうなほど我慢してただけあって一度で出したらなかなか止まらなくてそれも恥ずかしさを増殖させる。
 チョロチョロと最後まで出終わった途端涙が込み上がって溢れてきた。

 バックハグするように後ろに回り込んでいた桜城は前に出てレバーを押しトイレを流した。
 その間にそそくさとパンツを急いで上げてズボンもどうにかボタンだけ閉じた。
 そして桜城はトイレに向かって俯いて涙を溜めてる俺を横に向かせて、向かい合う形になった。

「こんなの見られたく無かった…桜城の馬鹿、阿呆、クズ…!」
「何とでも言いなよ」

 涙をギリギリで目に留めながら思いの丈を口にする。
 こんな顔では個室から出れないからせめて後ろを向こうしたら桜城が腰に手を回してきてガッツリとホールドされた。
 首を捻って見られないようにしようとすると顔を近づけて追ってくる。

「近い…!見んなよ、もう」
「見せて」

 こんな状況なのに囁く桜城の声を甘美だと思ってしまった自分をドロップキックしたい衝撃に駆られる。こんな時に何思ってるんだ、俺は…!
 余計に泣きたくなるじゃないか。桜城に泣く事を肯定されてそれが嬉しかったとはいえ、だからと言って目の前でみっともなく泣き顔を晒したいわけじゃない。ないんだよ…。

 桜城は腰をホールドしていた片手を上に上げキスする時のように頭の後ろに手を回した。
 そして頭をぎゅっと掴まれると強制的に桜城の方を見させられた。

「いいんだよ」

 桜城が耳元で囁くとプツンと張り詰めていたものが切れたように涙が溢れ出した。
 手で拭うと腰を抑えていたもう片方の手で手を掴まれ阻止される。

「ヒィッ…もう、おかしいんだよ」
「何が?」

 泣いた事で感情が溢れ出して本心が口をついて出た。一度動き出してしまった口は止められない。
 
「もとから泣き虫だったけどこんなには泣いてなかった…。もう、涙腺が馬鹿になってんだよ、お前に泣かされてから…!」

 幼い時や小学生の時はすぐ涙が溢れてしまっていたが中学生になったら、泣き虫ですぐ泣いてしまう所はあるもののここまで大泣きする事は減っていた。
 俺が二度と泣かないと決心した原因になった時も痛みと驚きでポロポロと涙が出てしまったくらいだった。

 なのに桜城に泣かされてからというものの桜城の前では毎回わんわん泣いている気がする。
 何故だろう…。桜城が恥ずかしい事をさせてそう仕向けてるのは勿論だが、こいつ…桜城の前では泣いても大丈夫だとか無意識に思っているのだろうか。
 
「…馬鹿でもいいんじゃない?」
「よく、ない、っつーの…」

 桜城に適当なのか真面目に答えているのかよくわからない返答をされ涙を啜りながら応える。
 思いを吐き出し一息つくとふらっとしてしまい桜城に抱き止められた。
 俺も思わず抱きついてしまい涙が桜城の制服についてしまった。

「あっ」

 涙で汚してしまい焦りで思わず声を上げたと同時に授業の始まりを告げるチャイムが鳴り響いた。
 そうだ、涙をつけてしまいはしたが元はと言えば桜城のせいなんだ。乾けば消えるし。

「やばっ、急がないと!」

 急いでチャックを上げベルトを閉めると個室の扉を開け外に出ようとした。

「待って」

 桜城は駆け出そうとした俺の肩を掴んで引き留めた。

「そのままの顔で行くの…?」
「え、まぁ、歩きながら拭くけど。時間ねーし」

 歩きながら腕でゴシゴシしたら涙も誤魔化せるだろうと思っていたのだが…。
 ん、俺の泣き顔なんて見てられないってか?そんなの自分が一番わかってるし、イケメン様とは違うんだよ!
 イラっとして手を振り払って出て行こうとしたが思いの外力が強く振り払えなかった。

 桜城がポケットからハンカチを取り出し俺の顔にそっと当て涙を拭った。
 ハンカチから仄かに香る石鹸の香りが鼻腔をくすぐった。

「これで拭いて」
「あ…、うん」

 ハンカチを手渡しながら真っ直ぐ目を見て真剣に伝えられた。
 ハンカチはチェック柄で触り心地も良く百貨店で売ってそうな質のものだった。桜城が持ってそうなイメージそのままだ。

 俺にハンカチを手渡すとそそくさと桜城は出て行き手を洗っていた。
 手を洗いトイレの扉を開け出ていく様子を涙を拭いながら見ていたが一瞬頭を捻っているように見えた。なんなんだろう?

 いや、そんなこと考えてる暇無いって。授業始まってるから急がないと。
 ハンカチを手に走りながら教室に向かう。桜城、許さねぇ…!アタフレかなんかのゲームでボコボコにしないと気が済まない。覚えてろよ!




 ちなみにその日のうちに呼び出して家でゲームをやる事となったのだが……怒りで覚醒した俺は見事に桜城をボコボコにすることができ、少しではあるが溜飲が下がった。
 その後は2人で2種類のゲームを2時間ほどプレイした。桜城を玄関で見送る時にそういえばなんでゲームする事になったんだっけ?とぼけーっと考えており、いつの間にか屈辱を忘れて普通にゲームを楽しんでた自分の間抜けさにずっこけそうになった。
 
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