正義と影

正義ってなんですか

溢れかえる正義

何が正しいか。なんて、考えれば考えるだけはまっていく沼みたいなものだ。答えなんかどこにもないのかもしれない。雪みたいに目に見えてそこにあるのに触れては証明できない。簡単に溶けて形を変える。儚いというよりは、きっと…。
「悠央、職員室」
「あ、波瑠じゃん。学校きたの？」
「お前が来いったんだろ。とにかく職員室」
簡単に言い表せないそれは、きっとどこにでも蔓延し気づかないうちに人を苦しめる。例えば、この学校みたいに。
「なにすんの？」
「休みすぎて呼ばれた。悠央は信用あんだし取り成してくれんじゃねーかなって」
「あるわけないでしょ。そんな権利」
仲がいいと言える人は少なくないけれど、きっと私に役職がなければ誰も近づいては来ないだろう。
『 信用』というものがあるかないかでは、人が受ける印象すら少しずつ変わってくるというものだ。
｢生徒会長なのにねーの？｣
｢会長が万能だと思うな。まぁ、理由次第かも知れないけどさ｣
特に、うちみたいな定時制高校なら尚更いろんな人がいるだけに厳しいものがある。
仕事をしてれば、仕事先の価値観があり学校に専念している生徒には生徒なりに築いてきた価値観がある。
全てにおいて、この学校の価値観で統一するのは不可能でありするべきじゃない。分かっているけれど、それが出来たらどんなにラクかと考えない日もない。
｢だるかった｣
｢そんなの通るわけないでしょ｣
だけど、それぞれにそれぞれの価値観があるからこそ、化学反応が起きて私たちは面白おかしく日々を過ごしているんだろう。
｢何とかなんねーの？｣
｢課題振替ならいけるかもよ｣
｢課題？やだね、めんどくさい｣