25 / 25
第二十五章
「学校祭前日」
しおりを挟む
「手ぇ空いてる人クラス旗手伝ってくれ! 」
「四時間目全体で通すから体育館集合ね! 」
いつにも増して忙しない教室内。
今日は学校祭前日ということもあり、全員が全員慌ただしく動き回っていた。
「小野寺~! 」
突然、クラス旗の担当をしている男子生徒から声がかかり、良はそちらを振り向く。
「悪い! 隣の教室から絵の具の入ったちっちゃいダンボール持ってきてくれないか! 」
「う、うん! わかった! 」
良はそれに慌てて返事をし、車椅子の向きを変えて教室を出る。
ダンボールを膝に載せて教室から出てくると、ちょうど廊下を柊真が歩いてくるところだった。
「柊真」
良が呼ぶと、柊真はぱぁっと表情を明るくして駆け足で寄ってきた。
「どこも忙しいなぁ~……さすがに疲れてくる」
苦笑いでそう告げる良に共感しているのか、柊真もコクコクと頷く。
「柊真は大丈夫か? 疲れてないか? 」
良が問うと、柊真は気遣ってくれたことを嬉しく思ったのか、笑顔で頷いた。柊真もダンボールを抱えているためいつものように筆談は出来ないが、柊真はその分表情で答えてくれるから有難い。
学校祭の準備も落ち着いてきた頃、最後のダンス練習を行うということでクラスの全員が体育館に集まった。
「いい? 一時間しかないから集中して行くわよ! 」
リーダーである女子生徒が声をかける。
曲がかかり、演技が始まる。
良はそれを正面で見ていた。
「……」
あの中に自分も入れたら……とどうしても考えてしまう。しかし、柊真と衝突を起こしてからはそれほど卑屈にはならなかった。相変わらず羨ましくはなるが、妬みや恨みは湧いてこない。
良はふっと口角を上げて目を細める。自分も少しは成長出来ただろうか――。
六時限目。良は出来上がったクラス紹介の動画をクラスメイトたちの前で再生させた。大きなテレビの画面に三秒間のカウントが表示され、担任、副担任から始まり、出席番号順にインタビュー形式で紹介が始まる。
全員の紹介が終わると、クラスメイトたちが担任と副担任に仕掛けたドッキリの映像が流れ、クラスの雰囲気を伝えた。
「今回、編集は小野寺が一番頑張ってくれました。ありがとう」
ステージ発表のリーダーに突然礼を言われ、良は照れくさそうに笑って頷いた。
放課後。良と柊真はいつも通り図書室で迎えを待っていた。
「いよいよ明日かぁ……柊真はご両親来るの? 」
良の問いに、柊真は嬉しそうに頷く。
"良のご両親は? "
柊真の問いに良は低く唸る。
「ん~……わかんない。基本仕事とかで忙しいから」
休日にどこかへ出かけたり、家族で旅行に行ったりという時間は、良が成長するにつれて少なくなっていった。
「……」
だからこそ、今回の学校祭には来てほしいが、伝えても遅いだろう。仕事を休ませる訳にはいかない。
「明日が楽しみだな」
しかしそれでも笑って言う良の表情に、柊真も人懐っこい笑みで頷いた。
第二十五章 終
「四時間目全体で通すから体育館集合ね! 」
いつにも増して忙しない教室内。
今日は学校祭前日ということもあり、全員が全員慌ただしく動き回っていた。
「小野寺~! 」
突然、クラス旗の担当をしている男子生徒から声がかかり、良はそちらを振り向く。
「悪い! 隣の教室から絵の具の入ったちっちゃいダンボール持ってきてくれないか! 」
「う、うん! わかった! 」
良はそれに慌てて返事をし、車椅子の向きを変えて教室を出る。
ダンボールを膝に載せて教室から出てくると、ちょうど廊下を柊真が歩いてくるところだった。
「柊真」
良が呼ぶと、柊真はぱぁっと表情を明るくして駆け足で寄ってきた。
「どこも忙しいなぁ~……さすがに疲れてくる」
苦笑いでそう告げる良に共感しているのか、柊真もコクコクと頷く。
「柊真は大丈夫か? 疲れてないか? 」
良が問うと、柊真は気遣ってくれたことを嬉しく思ったのか、笑顔で頷いた。柊真もダンボールを抱えているためいつものように筆談は出来ないが、柊真はその分表情で答えてくれるから有難い。
学校祭の準備も落ち着いてきた頃、最後のダンス練習を行うということでクラスの全員が体育館に集まった。
「いい? 一時間しかないから集中して行くわよ! 」
リーダーである女子生徒が声をかける。
曲がかかり、演技が始まる。
良はそれを正面で見ていた。
「……」
あの中に自分も入れたら……とどうしても考えてしまう。しかし、柊真と衝突を起こしてからはそれほど卑屈にはならなかった。相変わらず羨ましくはなるが、妬みや恨みは湧いてこない。
良はふっと口角を上げて目を細める。自分も少しは成長出来ただろうか――。
六時限目。良は出来上がったクラス紹介の動画をクラスメイトたちの前で再生させた。大きなテレビの画面に三秒間のカウントが表示され、担任、副担任から始まり、出席番号順にインタビュー形式で紹介が始まる。
全員の紹介が終わると、クラスメイトたちが担任と副担任に仕掛けたドッキリの映像が流れ、クラスの雰囲気を伝えた。
「今回、編集は小野寺が一番頑張ってくれました。ありがとう」
ステージ発表のリーダーに突然礼を言われ、良は照れくさそうに笑って頷いた。
放課後。良と柊真はいつも通り図書室で迎えを待っていた。
「いよいよ明日かぁ……柊真はご両親来るの? 」
良の問いに、柊真は嬉しそうに頷く。
"良のご両親は? "
柊真の問いに良は低く唸る。
「ん~……わかんない。基本仕事とかで忙しいから」
休日にどこかへ出かけたり、家族で旅行に行ったりという時間は、良が成長するにつれて少なくなっていった。
「……」
だからこそ、今回の学校祭には来てほしいが、伝えても遅いだろう。仕事を休ませる訳にはいかない。
「明日が楽しみだな」
しかしそれでも笑って言う良の表情に、柊真も人懐っこい笑みで頷いた。
第二十五章 終
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(9件)
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
いえいえ、どうして気になったので、お役にたったのなら、幸いですです。
勿論、今後も読ませてもらいます
ありがとうございます(*´∀`*)
東樹さんのおかげですごく勉強になりました🙂
そうです。文章が「」の場合はスペースは要りません。
私自身会社で書記をしていた事があります。その時、会議の議事録を作成していて、改行した際、文頭のスペースを怠っただけで、議事録が通らず、文頭にスペースをおくだけの作業をした事があります。
私は具体的な理由も言えないのに、人様に指摘はしたくないです。ただ、日本語のルールだから、という理由なんですが、未来さんがこのような理由で、不利になってほしくないから指摘した次第です。
ありがとうございました。
私は指摘して頂けることに有難みを感じています。
普通なら、説明をするのも面倒なのにわざわざ説明してくださる…それが本当に嬉しいです。
人の為に自分の時間を使える人はとても誠実な方だと思えます。
本当にありがとうございました。
これからもまだまだ連載していくので、良ければまた読んでください(*´∀`*)
例えば私の書いているように、行を改行した時には、文頭に一マス空けるのが必要です。メール、ライン等のメッセンジャーアプリでは、文頭にスペースを空けるのはあまりされないし、私自身こんな事言っていいますが、Twitter、ネット上の書き込みでは、文頭にスペースは空けません。
(このように、文が同じ行に続く場合、スペースはいりません)
ただ、仕事で業務用の書類や、原稿、出版用の書籍の編集の場合、話は違います。
何故このようなルールが必要なのかと言われると、私自身も寧ろ教えて欲しい立場でして、調べてみたけどわかりまでんでした。ハッキリとした理由を申し上げられず、すいません。
しかし、台詞の場合。
「おはようございます」
東樹は挨拶をした。
このように、「」を入れる場合、文頭にスペースは要りませ。
長々と、すいません。創作のお役に立てれば幸いです。
なるほど!
わざわざありがとうございました!
大分理解できました!
要は、一文で続く場合はスペースは必要なく、改行した際にスペースを入れろと言うことですね?
さらに、文頭が「」だとスペースは要らないと言うことでしょうか?