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第181話「笑われたい、わけじゃない。でも」
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駅前。
今日も、私は命令どおり立っていた。
人混みの中、
ひたすら、無表情で、
誰にでも「こんにちは」と頭を下げるだけ。
誰も私を覚えていない。
誰も、私に興味を持たない。
それが正しかった。
私は、命令に従うだけの"それ"だから。
でも──
今日は、違った。
一人の男子高校生が、
私を見て、吹き出した。
「うわ、なんかやばいやつおる(笑)」
仲間たちと一緒に、
笑いながら私を指さす。
(……笑われた)
胸の奥が、
じわっと熱くなった。
怖いわけじゃない。
悔しいわけでもない。
ただ、
何かがうずいた。
私は、
ぎこちなく笑った。
自分でも、驚いた。
(なんで、笑ったんやろ)
(命令されてないのに)
男たちは、
「やべー」「ヤバすぎw」と言いながら去っていった。
でも私は、
その場を離れず、
また次の人に頭を下げ続けた。
何事もなかったかのように。
でも。
心のどこかで──
また、
笑われたかった。
誰にも命令されてない。
誰にも言われてない。
でも。
(見てほしい)
(笑ってほしい)
(ナナがここにいることを、感じてほしい)
そう思ってしまった自分に、
私は、
気づかないふりをした。
夜。
スマホが震えた。
あの人からのメッセージ。
【メッセージ】
「──よくやった。」
「明日も、続けろ。」
私は、
スマホをそっと胸に抱いた。
笑われるためじゃない。
命令に従うため。
そう思い込もうとした。
でも。
胸の奥で、
微かな甘さが広がっていた。
誰かに指さされて、
笑われたときにしか、感じられないもの。
(ナナ、……何してるんやろ)
(でも……嬉しかった)
私は、
静かに目を閉じた。
笑われるために生きるなんて、
そんなこと、思ってない。
まだ、思ってない。
でも──
ほんの、少しだけ。
そんな自分が、生まれかけていた。
──つづく。
今日も、私は命令どおり立っていた。
人混みの中、
ひたすら、無表情で、
誰にでも「こんにちは」と頭を下げるだけ。
誰も私を覚えていない。
誰も、私に興味を持たない。
それが正しかった。
私は、命令に従うだけの"それ"だから。
でも──
今日は、違った。
一人の男子高校生が、
私を見て、吹き出した。
「うわ、なんかやばいやつおる(笑)」
仲間たちと一緒に、
笑いながら私を指さす。
(……笑われた)
胸の奥が、
じわっと熱くなった。
怖いわけじゃない。
悔しいわけでもない。
ただ、
何かがうずいた。
私は、
ぎこちなく笑った。
自分でも、驚いた。
(なんで、笑ったんやろ)
(命令されてないのに)
男たちは、
「やべー」「ヤバすぎw」と言いながら去っていった。
でも私は、
その場を離れず、
また次の人に頭を下げ続けた。
何事もなかったかのように。
でも。
心のどこかで──
また、
笑われたかった。
誰にも命令されてない。
誰にも言われてない。
でも。
(見てほしい)
(笑ってほしい)
(ナナがここにいることを、感じてほしい)
そう思ってしまった自分に、
私は、
気づかないふりをした。
夜。
スマホが震えた。
あの人からのメッセージ。
【メッセージ】
「──よくやった。」
「明日も、続けろ。」
私は、
スマホをそっと胸に抱いた。
笑われるためじゃない。
命令に従うため。
そう思い込もうとした。
でも。
胸の奥で、
微かな甘さが広がっていた。
誰かに指さされて、
笑われたときにしか、感じられないもの。
(ナナ、……何してるんやろ)
(でも……嬉しかった)
私は、
静かに目を閉じた。
笑われるために生きるなんて、
そんなこと、思ってない。
まだ、思ってない。
でも──
ほんの、少しだけ。
そんな自分が、生まれかけていた。
──つづく。
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