1 / 6
第一話:笑ってた俺の目の前で、ナナは何も言わなかった
しおりを挟む
あれって、何年前やっけ。
二年? 三年?
もう忘れかけてたつもりやったけど、
このあいだ、コンビニの前でブラックコーヒー買ったとき、
ふと、思い出したんよ。
ナナが、自販機まで裸で行った夜のこと。
⸻
最初に見たとき、正直ちょっと笑ってしもた。
だってほんまに、何のためらいもなく歩いていくんやもん。
お尻、ゆっさゆっさ振って、
主の「コマネチ!」にちゃんと応えて、
俺たちの笑い声、たぶん本人にも届いてたはずやのに、
ナナは足を止めへんかった。
…いや、止まれんかったんやろな。
今なら、そう思う。
⸻
あの夜だけやなかった。
ナナはいろんなこと、やらされてた。
服の中に氷を入れられたり、
からしを額に搾られたり、
床に落ちたポテチを口で拾ったり。
そのたびに俺たちはスマホ構えて、
「やば!w」「ストーリー載せてええ?」って、
笑いながら記録してた。
でも今、思い出すと、
ナナの表情、ほとんど覚えてないねん。
⸻
泣いてたっけ?
笑ってたっけ?
震えてた?
怒ってた?
…わからん。
ただ、“受けてた”ことだけは覚えてる。
ちゃんと、全部、受けてた。
主の命令も、俺たちの茶化しも。
でもその“受けてた”って言葉が、
なんか今になって、
俺の胸に刺さる。
⸻
あの頃の俺らは、
「強要してへんし」
「自分でやってるやん」
そうやって、自分を守る言葉ばっか口にしてた。
でもナナは、
一言も「嫌や」とは言わんかった。
それってほんまに「同意」やったんか?
それとも、
「期待されてる自分」を壊したくなかっただけなんか?
⸻
今、ふと思う。
あの夜、
ナナは裸で歩いてたんやない。
“誰かの期待”を裸で背負ってたんや。
⸻
俺たちの笑い声、
今ごろどこで、
どんな風にナナの耳に残ってるんやろ。
⸻
このあとナナの名前を口に出すことは、
少し怖くて、
少し、
…少しだけ、申し訳ない気もした。
⸻
でもやっぱり、忘れられへん。
あの夜の、
ナナの背中。
砂利の上を、裸足で踏みしめてた音。
耳の奥に、
今でも残ってる。
二年? 三年?
もう忘れかけてたつもりやったけど、
このあいだ、コンビニの前でブラックコーヒー買ったとき、
ふと、思い出したんよ。
ナナが、自販機まで裸で行った夜のこと。
⸻
最初に見たとき、正直ちょっと笑ってしもた。
だってほんまに、何のためらいもなく歩いていくんやもん。
お尻、ゆっさゆっさ振って、
主の「コマネチ!」にちゃんと応えて、
俺たちの笑い声、たぶん本人にも届いてたはずやのに、
ナナは足を止めへんかった。
…いや、止まれんかったんやろな。
今なら、そう思う。
⸻
あの夜だけやなかった。
ナナはいろんなこと、やらされてた。
服の中に氷を入れられたり、
からしを額に搾られたり、
床に落ちたポテチを口で拾ったり。
そのたびに俺たちはスマホ構えて、
「やば!w」「ストーリー載せてええ?」って、
笑いながら記録してた。
でも今、思い出すと、
ナナの表情、ほとんど覚えてないねん。
⸻
泣いてたっけ?
笑ってたっけ?
震えてた?
怒ってた?
…わからん。
ただ、“受けてた”ことだけは覚えてる。
ちゃんと、全部、受けてた。
主の命令も、俺たちの茶化しも。
でもその“受けてた”って言葉が、
なんか今になって、
俺の胸に刺さる。
⸻
あの頃の俺らは、
「強要してへんし」
「自分でやってるやん」
そうやって、自分を守る言葉ばっか口にしてた。
でもナナは、
一言も「嫌や」とは言わんかった。
それってほんまに「同意」やったんか?
それとも、
「期待されてる自分」を壊したくなかっただけなんか?
⸻
今、ふと思う。
あの夜、
ナナは裸で歩いてたんやない。
“誰かの期待”を裸で背負ってたんや。
⸻
俺たちの笑い声、
今ごろどこで、
どんな風にナナの耳に残ってるんやろ。
⸻
このあとナナの名前を口に出すことは、
少し怖くて、
少し、
…少しだけ、申し訳ない気もした。
⸻
でもやっぱり、忘れられへん。
あの夜の、
ナナの背中。
砂利の上を、裸足で踏みしめてた音。
耳の奥に、
今でも残ってる。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる