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第18話 「秘密を持つ女の子たち」
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中学校の教室には、
小学校にはなかった空気が流れていた。
同じ制服。
同じ髪型。
同じ笑顔。
でも、
その裏側に、
それぞれが隠している何かがあることを、
私はすぐに察した。
昼休み。
隣の席になった女の子──真由が、
こっそり私に耳打ちした。
「ナナちゃん、知ってる? あの子、彼氏おるらしいで。」
私は、
驚いて目を丸くした。
まだ、
制服を着たばかりの私たちなのに。
恋愛。
彼氏。
キス。
そんな言葉が、
急に現実味を帯びて迫ってきた。
真由は、
クスクスと笑いながら続けた。
「しかも、手ぇ繋いだんやって。帰り道で。」
私は、
どう返していいかわからなかった。
ただ、
胸の奥が、きゅうっと痛んだ。
手をつなぐ。
誰かと。
誰かに。
それは、
怖いことであり、
同時に、
憧れでもあった。
その日から、
女子たちの間では、
「誰が好き」「誰に告白された」
そんな話題が、
毎日のように飛び交うようになった。
私は、
その輪に、
なんとか加わろうとした。
でも、
話を聞けば聞くほど、
心の奥に冷たいものが溜まっていった。
誰かに見られること。
誰かに触れられること。
それは、
嬉しいことのはずなのに。
私にとっては、
まだ少し、
怖いことだった。
放課後。
帰り道。
真由と並んで歩きながら、
私はふと、自分の足元を見た。
制服のスカート。
白い靴下。
少し汚れたローファー。
春の風が、
スカートの裾をそっと揺らした。
「ナナちゃん、好きな人おるん?」
真由が、不意に聞いた。
私は、
答えに詰まった。
好きな人──?
そんなもの、わからなかった。
でも、
誰かを好きにならなきゃ、
みんなと同じになれない気がして。
私は、
咄嗟に嘘をついた。
「……うん。おるよ。」
真由はにっこり笑った。
「やっぱりー! ナナちゃん、モテそうやもん!」
私は笑った。
精一杯、自然に見えるように。
でも、
笑いながら、
胸の奥が痛かった。
私は、
誰にも言えない秘密を持っている。
誰にも言えない、
恥ずかしい秘密。
私は、
まだ誰のことも、
本当の意味では好きになれていない。
私は、
まだ誰かに触れられる準備なんて、できていない。
でも、
そんなこと、
誰にも言えない。
私も、
秘密を持った女の子のひとりにならなきゃいけない。
見えないルールに縛られるように、
私は笑った。
心の奥で、
小さな声が呟いた。
──これでいいの?
でも、
私は歩みを止めなかった。
春の風が、
またスカートを揺らした。
──つづく。
小学校にはなかった空気が流れていた。
同じ制服。
同じ髪型。
同じ笑顔。
でも、
その裏側に、
それぞれが隠している何かがあることを、
私はすぐに察した。
昼休み。
隣の席になった女の子──真由が、
こっそり私に耳打ちした。
「ナナちゃん、知ってる? あの子、彼氏おるらしいで。」
私は、
驚いて目を丸くした。
まだ、
制服を着たばかりの私たちなのに。
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彼氏。
キス。
そんな言葉が、
急に現実味を帯びて迫ってきた。
真由は、
クスクスと笑いながら続けた。
「しかも、手ぇ繋いだんやって。帰り道で。」
私は、
どう返していいかわからなかった。
ただ、
胸の奥が、きゅうっと痛んだ。
手をつなぐ。
誰かと。
誰かに。
それは、
怖いことであり、
同時に、
憧れでもあった。
その日から、
女子たちの間では、
「誰が好き」「誰に告白された」
そんな話題が、
毎日のように飛び交うようになった。
私は、
その輪に、
なんとか加わろうとした。
でも、
話を聞けば聞くほど、
心の奥に冷たいものが溜まっていった。
誰かに見られること。
誰かに触れられること。
それは、
嬉しいことのはずなのに。
私にとっては、
まだ少し、
怖いことだった。
放課後。
帰り道。
真由と並んで歩きながら、
私はふと、自分の足元を見た。
制服のスカート。
白い靴下。
少し汚れたローファー。
春の風が、
スカートの裾をそっと揺らした。
「ナナちゃん、好きな人おるん?」
真由が、不意に聞いた。
私は、
答えに詰まった。
好きな人──?
そんなもの、わからなかった。
でも、
誰かを好きにならなきゃ、
みんなと同じになれない気がして。
私は、
咄嗟に嘘をついた。
「……うん。おるよ。」
真由はにっこり笑った。
「やっぱりー! ナナちゃん、モテそうやもん!」
私は笑った。
精一杯、自然に見えるように。
でも、
笑いながら、
胸の奥が痛かった。
私は、
誰にも言えない秘密を持っている。
誰にも言えない、
恥ずかしい秘密。
私は、
まだ誰のことも、
本当の意味では好きになれていない。
私は、
まだ誰かに触れられる準備なんて、できていない。
でも、
そんなこと、
誰にも言えない。
私も、
秘密を持った女の子のひとりにならなきゃいけない。
見えないルールに縛られるように、
私は笑った。
心の奥で、
小さな声が呟いた。
──これでいいの?
でも、
私は歩みを止めなかった。
春の風が、
またスカートを揺らした。
──つづく。
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