4 / 37
第19話 「ふりをして、ふりをして」
しおりを挟む
誰かを好きなふりをするのは、
思ったより簡単だった。
友達に聞かれたら、
適当に男子の名前を挙げる。
「かっこいいよね」とか、
「背ぇ高いし」とか、
それっぽい理由をつける。
みんなが恋愛の話で盛り上がるとき、
私はそこにちゃんといられる。
笑って、
うなずいて、
少し照れたふりをする。
それだけで、
浮かずに済む。
でも、本当は──
私は、
誰にも恋していなかった。
男子のことなんて、
怖かった。
近くに来られると、
息が詰まりそうになる。
教室のなかで、
無邪気に女子の肩に触れたり、
冗談交じりにスカートをひっぱろうとする男子たち。
そんなとき、
私はカラダが勝手に硬直した。
みんなは、
キャーキャー笑って、
それを「楽しい遊び」みたいに受け流していた。
でも私は、
笑えなかった。
スカートのなか、
自分だけが異様に熱くなっていくのを感じていた。
怖い。
でも、
どこかで、
それを求めてしまう自分もいる。
そんな自分が、
死ぬほど嫌だった。
だから私は、
「何も感じないふり」をした。
笑って、
騒いで、
他の女子と同じ顔をして。
本当の気持ちは、
ぎゅっと胸の奥に押し込んだ。
放課後。
校門の前で、
真由が私に声をかけた。
「ナナちゃん、あの男子、ナナのこと好きらしいで!」
私は、驚いたふりをした。
顔を赤くして、
わざとらしく「えー、ないない!」と笑った。
それで、
話は終わった。
でも、
家に帰ったあと、
布団のなかで、
私はひとりで震えていた。
好きでもない誰かに、
好きだと言われるかもしれない。
それが、
怖くてたまらなかった。
怖い。
でも、
心のどこかで、
誰かに求められることを、
望んでいる自分もいた。
汚い。
最低だ。
そう思いながら、
私は自分のカラダを抱きしめた。
スカートの下、
下着のなかに滲む汗と湿り気。
それを、
誰にも見せずに、
誰にも言わずに、
ひとりで抱えて生きていく。
私は、
ふりをすることでしか、
ここにいられなかった。
笑うふり。
好きなふり。
平気なふり。
本当の私は、
誰にも、見せない。
誰にも、見せられない。
私は、
ふりをして、
ふりをして、
ふりをしながら、
少しずつ、
壊れていった。
──つづく。
思ったより簡単だった。
友達に聞かれたら、
適当に男子の名前を挙げる。
「かっこいいよね」とか、
「背ぇ高いし」とか、
それっぽい理由をつける。
みんなが恋愛の話で盛り上がるとき、
私はそこにちゃんといられる。
笑って、
うなずいて、
少し照れたふりをする。
それだけで、
浮かずに済む。
でも、本当は──
私は、
誰にも恋していなかった。
男子のことなんて、
怖かった。
近くに来られると、
息が詰まりそうになる。
教室のなかで、
無邪気に女子の肩に触れたり、
冗談交じりにスカートをひっぱろうとする男子たち。
そんなとき、
私はカラダが勝手に硬直した。
みんなは、
キャーキャー笑って、
それを「楽しい遊び」みたいに受け流していた。
でも私は、
笑えなかった。
スカートのなか、
自分だけが異様に熱くなっていくのを感じていた。
怖い。
でも、
どこかで、
それを求めてしまう自分もいる。
そんな自分が、
死ぬほど嫌だった。
だから私は、
「何も感じないふり」をした。
笑って、
騒いで、
他の女子と同じ顔をして。
本当の気持ちは、
ぎゅっと胸の奥に押し込んだ。
放課後。
校門の前で、
真由が私に声をかけた。
「ナナちゃん、あの男子、ナナのこと好きらしいで!」
私は、驚いたふりをした。
顔を赤くして、
わざとらしく「えー、ないない!」と笑った。
それで、
話は終わった。
でも、
家に帰ったあと、
布団のなかで、
私はひとりで震えていた。
好きでもない誰かに、
好きだと言われるかもしれない。
それが、
怖くてたまらなかった。
怖い。
でも、
心のどこかで、
誰かに求められることを、
望んでいる自分もいた。
汚い。
最低だ。
そう思いながら、
私は自分のカラダを抱きしめた。
スカートの下、
下着のなかに滲む汗と湿り気。
それを、
誰にも見せずに、
誰にも言わずに、
ひとりで抱えて生きていく。
私は、
ふりをすることでしか、
ここにいられなかった。
笑うふり。
好きなふり。
平気なふり。
本当の私は、
誰にも、見せない。
誰にも、見せられない。
私は、
ふりをして、
ふりをして、
ふりをしながら、
少しずつ、
壊れていった。
──つづく。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる