“新しい主”が欲しかった──ナナを真似る女、飼いたがる男

nana

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【スピンオフ第6話】 『ナナが従って、私が見ている夜』 ──彼女の視点より

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主が言った。

「今日は、ナナがやって。お前は見とけ」

一瞬、意味がわからなかった。
でもナナは、うなずいた。
ためらいなく。
いつも通りの、あのナナの顔で。

私は、その隣で椅子に座らされ、
ただ“見るだけの役”を与えられた。

ナナが指示を受けて、立つ。
Tシャツのすそをまくり上げて、下着を見せる。
笑いながら、恥じらいながら、
でも見られることを拒まない。

その一つひとつを、
私はただ、見ていた。

──ナナが“命令される側”に戻っている。
なのに、私はそこにいなかった。

「どう思う?」
主友の誰かが私に尋ねた。
「お前の出番なくなったな」って笑いながら。

私は笑えなかった。

そう、私の出番じゃなかったのだ。
今日はナナの舞台で、
私はただの観客だった。

胸がじわりと熱くなった。
悔しさ?
いや、ちがう。

これは、嫉妬だった。
ナナが再び“命令される女”として輝いていることへの。

私はナナの顔を、横から見た。
口角は少し上がっていた。
演じている。
でも、どこかで“楽しんでいる”。

自分が見られているという快感に、
もう一度身を委ねている。

私はその姿を見て、
少し怖くなった。

あの夜、私に触れたナナは、
もっと人間らしかった。
もっと脆くて、たしかで、
“従うだけじゃない自分”を見せてくれていた。

でも今のナナは、
また“役”に戻っている。

私はその変化を、
どこか裏切られたような気持ちで眺めていた。

私は、
ナナが命令されているのを見ながら、
心のどこかで、
こう思ってしまった。

──「次は、私が命令したい」
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