“新しい主”が、私を欲しがる夜

nana

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【第55話】 「“声を出さないで感じて”って命令された夜、身体のほうが先に従ってた」

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「今夜のミオには、声、禁止ね」

そう言って、彼女は私の唇に人差し指をあてた。
押さえつけるわけじゃない。
ただ、そこに“命令のしるし”を置いたようだった。

「どれだけ気持ちよくても、
 一言もしゃべらんと、ちゃんと伝えて?」

「反応だけで──“わたしに従ってる”って、見せて」

私は、ゆっくり頷いた。
すでに喉が乾いていた。

息を吸うだけで、
“感じたい”という欲がせり上がる。

けれど、
それを声にしないという制約が、
むしろ全身を敏感にしていた。

彼女は私の背中に触れ、
シャツの裾から、指を差し込む。

その冷たい指が脊髄をなぞるたびに、
私は喉を詰まらせそうになった。

でも、声は出せない。
唇は閉じたまま。
だからこそ、震えと呼吸だけが、彼女への返答になっていく。

彼女は耳元でささやく。

「ミオ、いま声出したら──“やり直し”な」
「でも、反応ちゃんと見せてくれたら、
 今夜はちゃんと“報酬”あげるから」

その囁きだけで、
股間が濡れていた。

声に出せないぶん、
快感は体内で反響していく。

彼女は私の胸に手をあて、
指先で円を描く。

それに合わせて、私は眉を寄せ、
小さく身体をくの字に折る。

震えだけで「YES」を伝えようとしている自分がいた。

「かわいいな」
「言葉で媚びんでも、
 身体のほうが先に、わたしに従ってくれるやん」

「ミオのからだ、ちゃんと“調教された身体”になってる」

その言葉に、
私はまたひとつ、震えを大きくした。

彼女の指がさらに深く侵入しようとしたとき、
私は思わず声が漏れそうになって──
自分の口を、手で押さえた。

それを見た彼女が、満足げに笑う。

「それでええ」
「“勝手に反応して、必死で抑える”──
 それが、いまのミオにしかできない従属のかたちやと思う」

その夜、私は一言も発さなかった。
でも、
彼女にはきっとすべて伝わっていた。

「気持ちいい」も、
「もっと欲しい」も、
「従ってよかった」も──全部。
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