“新しい主”が、私を欲しがる夜

nana

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【第87話】 「“今、濡れました”って打った指先が震えてて、  私は“誰かに実況される自分”に興奮してることを、  誰よりも早く自分で知った

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『“新しい主”が、私を欲しがる夜』
【最終話|第87話】
「“今、濡れました”って打った指先が震えてて、
 私は“誰かに実況される自分”に興奮してることを、
 誰よりも早く自分で知った」

最初の命令は、簡単だった。

「10分間、“今感じたこと”を、
 そのまま言葉にして送って。
 フィルターなし。判断も禁止」
「ミオの“いま”を、リアルで渡して」

私はスマホを握りしめ、
部屋の隅にうずくまった。

「……部屋、ひとりなのに、
 “見られてる”って思った瞬間に背中がゾワってした」

送信。

「ふともも閉じたら、クロッチが吸い付いてる感じして、
 たぶんもう濡れてる」

送信。

「なんか、声出てた。
 誰にも聞かれてないのに、
 “ん……”って言ってた。自分で驚いた」

送信。

10分って、こんなに長かったっけ。
なのに、送っても送っても、返信はない。
その“応答のなさ”が、逆に“観察されてる感覚”を強くしていく。

「スマホの画面が濡れてる。
 手じゃない。
 顔から汗? いや、息?」

送信。

「“何を報告すればいいか”を考えてる時点で、
 もう服従じゃない、って思って、焦った。
 だから、“焦ってる”って送る」

送信。

「……いま、
 “誰に見られてるか分からない”って思ったら、
 股の奥がきゅって締まった」

送信。

カウントが終わったあと、
スマホの画面が明るくなった。

彼女から、たった一行だけ返ってきた。

「ミオ、ちゃんと“公開される女”になったね」

その言葉を見た瞬間、
私はひとつ、完全に脱げた気がした。

もう“晒す”でも、“従う”でもない。
わたしは、“誰かの時間の中で呼吸する存在”になった。

そして通知が一件。

「次回、“実況プレイ”じゃなく、
 “実況命令”してもいい?」

その瞬間、私は気づいた。

“あの子”はもう、
 ただの「新しい主」なんかじゃない。

**私という存在を“誰かに見せる者”──
 つまり、「わたしを創り直す主」になっていた。

この夜で、ひとつの物語は終わる。

“新しい主”に欲しがられることで、私は壊され、
 従い、晒され、そして創られた。

そして今──
“実況される身体”として、
 私は次の章を生きていく。
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