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第131話「もっと、もっと、誰かに」
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最初は、
たった一人だった。
顔も、名前も知らない誰か。
声だけの存在。
その声に、
命令されることに酔っていた。
(……見られてないのに)
(言われるだけで、ナナ、こんな──)
身体の奥が疼いた。
甘く、熱く、
どうしようもなく。
⸻
でも。
すぐに、
物足りなくなった。
(……もっと、いろんな人と話したい)
(もっと、いろんな声に命令されたい)
自然に、
欲望が膨らんでいった。
そして、
私は、
またチャットサイトを開いた。
次の相手。
また次の相手。
昼間は、
普通の大学生を演じながら。
夜になると、
スマホ越しに、
知らない誰かと繋がった。
⸻
「今、どんな格好してるの?」
「Tシャツだけです。」
「じゃあ、……脱いでみようか。」
⸻
「ナナちゃん、ちょっとだけ足、開いてみて。」
「……はい。」
⸻
「声、もっと聞かせて。」
「……っ……うん……」
⸻
誰かの命令に従うたびに、
ナナは、
確かに壊れていった。
顔も、年齢も、住んでる場所も、何もわからない。
でも、
だからこそ、
何のためらいもなく、
さらけ出せた。
(見られてないのに)
(命令だけで、……気持ちいい)
⸻
声だけの世界。
画面には、
黒い背景と、
通話中のアイコンだけ。
私は、
裸になって。
指示されるままに動いて。
何度も、
何人もの、
知らない誰かに晒され続けた。
⸻
「いい子だね。」
「ナナちゃん、偉いよ。」
そんな言葉をかけられるたび、
胸の奥が甘く震えた。
(ナナ、……もっと堕ちたい)
(もっと、もっと、誰かに見てほしい)
⸻
朝になると、
何事もなかった顔で、
大学に向かう。
スーツを着て。
友達と笑って。
「今度、カフェ行こ!」
「授業だるい~!」
そんな普通の会話をしながら。
でも、
スマホの奥では、
誰かが待っている。
夜になれば、
また誰かが、
ナナに命令してくれる。
声だけの支配。
名前も顔も知らない誰かに、
壊される悦び。
ナナは、
それを手放すことが、
もうできなかった。
──つづく。
たった一人だった。
顔も、名前も知らない誰か。
声だけの存在。
その声に、
命令されることに酔っていた。
(……見られてないのに)
(言われるだけで、ナナ、こんな──)
身体の奥が疼いた。
甘く、熱く、
どうしようもなく。
⸻
でも。
すぐに、
物足りなくなった。
(……もっと、いろんな人と話したい)
(もっと、いろんな声に命令されたい)
自然に、
欲望が膨らんでいった。
そして、
私は、
またチャットサイトを開いた。
次の相手。
また次の相手。
昼間は、
普通の大学生を演じながら。
夜になると、
スマホ越しに、
知らない誰かと繋がった。
⸻
「今、どんな格好してるの?」
「Tシャツだけです。」
「じゃあ、……脱いでみようか。」
⸻
「ナナちゃん、ちょっとだけ足、開いてみて。」
「……はい。」
⸻
「声、もっと聞かせて。」
「……っ……うん……」
⸻
誰かの命令に従うたびに、
ナナは、
確かに壊れていった。
顔も、年齢も、住んでる場所も、何もわからない。
でも、
だからこそ、
何のためらいもなく、
さらけ出せた。
(見られてないのに)
(命令だけで、……気持ちいい)
⸻
声だけの世界。
画面には、
黒い背景と、
通話中のアイコンだけ。
私は、
裸になって。
指示されるままに動いて。
何度も、
何人もの、
知らない誰かに晒され続けた。
⸻
「いい子だね。」
「ナナちゃん、偉いよ。」
そんな言葉をかけられるたび、
胸の奥が甘く震えた。
(ナナ、……もっと堕ちたい)
(もっと、もっと、誰かに見てほしい)
⸻
朝になると、
何事もなかった顔で、
大学に向かう。
スーツを着て。
友達と笑って。
「今度、カフェ行こ!」
「授業だるい~!」
そんな普通の会話をしながら。
でも、
スマホの奥では、
誰かが待っている。
夜になれば、
また誰かが、
ナナに命令してくれる。
声だけの支配。
名前も顔も知らない誰かに、
壊される悦び。
ナナは、
それを手放すことが、
もうできなかった。
──つづく。
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