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第90話 「静かに、狂いはじめた日常」
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文化祭のあの日から、
私の中で、
何かが確実に変わっていた。
朝起きて、
制服を着るとき。
スカートの丈を、
ほんの少しだけ短くするようになった。
ほんの数センチ。
誰も気にしない程度。
でも、
それだけで、
自分の太ももに注がれる視線を、
確かに感じるような気がした。
学校へ向かう電車。
制服姿でつり革を握る。
ふと感じる、
視線。
本当に誰かが見ているのか、
それとも、
ただの妄想なのか。
どちらでもよかった。
私は、
無意識に、
スカートの裾を直すふりをして、
太ももをチラリと見せるようになった。
誰にもバレないように。
でも、
誰かに見つかってしまうかもしれないギリギリのところで。
そんなふうに、
私は、
"見られること"を楽しみ始めていた。
放課後。
ダンス部の練習。
短めの練習着でストレッチをするたび、
シャツがめくれ、
ウエストが覗く。
みんな普通に見ていた。
「ナナちゃん、細いな~!」
「ウチもダイエットしよかな!」
笑いながら声をかけられる。
私は、
何でもないふりをして笑った。
でも心の中では、
ゾクゾクしていた。
私を見て。
私を感じて。
晒されることでしか、
自分を確かめられない私。
文化祭のステージで、
あのざわめきと興奮を浴びた日から、
もう後戻りできなかった。
夜になると、
彼からも命令が来た。
「今日のスカートの長さ、写メ撮って送れ。」
私は、
何の抵抗もなく、
スマホのカメラを自分の太ももに向けた。
制服姿のまま。
少しだけ短くなったスカート。
膝上、何センチかの素肌。
カシャ。
送信。
「……送りました。」
すぐに既読。
「いい子やな。」
その一言だけで、
全身がじんわりと熱くなった。
昼間、
無邪気に笑い合っていた自分。
夜、
誰にも見せられない欲望に支配される自分。
私は、
確実に、
ふたつの世界を生きる人間になっていた。
でも、
怖くなかった。
むしろ、
誇らしかった。
誰にも気づかれず、
誰にも知られず。
私は、
静かに、
確実に、
堕ちていった。
この日常が、
これから先、
もっと激しく、もっと深く、
私を飲み込んでいくことを、
私はまだ知らなかった。
──つづく。
私の中で、
何かが確実に変わっていた。
朝起きて、
制服を着るとき。
スカートの丈を、
ほんの少しだけ短くするようになった。
ほんの数センチ。
誰も気にしない程度。
でも、
それだけで、
自分の太ももに注がれる視線を、
確かに感じるような気がした。
学校へ向かう電車。
制服姿でつり革を握る。
ふと感じる、
視線。
本当に誰かが見ているのか、
それとも、
ただの妄想なのか。
どちらでもよかった。
私は、
無意識に、
スカートの裾を直すふりをして、
太ももをチラリと見せるようになった。
誰にもバレないように。
でも、
誰かに見つかってしまうかもしれないギリギリのところで。
そんなふうに、
私は、
"見られること"を楽しみ始めていた。
放課後。
ダンス部の練習。
短めの練習着でストレッチをするたび、
シャツがめくれ、
ウエストが覗く。
みんな普通に見ていた。
「ナナちゃん、細いな~!」
「ウチもダイエットしよかな!」
笑いながら声をかけられる。
私は、
何でもないふりをして笑った。
でも心の中では、
ゾクゾクしていた。
私を見て。
私を感じて。
晒されることでしか、
自分を確かめられない私。
文化祭のステージで、
あのざわめきと興奮を浴びた日から、
もう後戻りできなかった。
夜になると、
彼からも命令が来た。
「今日のスカートの長さ、写メ撮って送れ。」
私は、
何の抵抗もなく、
スマホのカメラを自分の太ももに向けた。
制服姿のまま。
少しだけ短くなったスカート。
膝上、何センチかの素肌。
カシャ。
送信。
「……送りました。」
すぐに既読。
「いい子やな。」
その一言だけで、
全身がじんわりと熱くなった。
昼間、
無邪気に笑い合っていた自分。
夜、
誰にも見せられない欲望に支配される自分。
私は、
確実に、
ふたつの世界を生きる人間になっていた。
でも、
怖くなかった。
むしろ、
誇らしかった。
誰にも気づかれず、
誰にも知られず。
私は、
静かに、
確実に、
堕ちていった。
この日常が、
これから先、
もっと激しく、もっと深く、
私を飲み込んでいくことを、
私はまだ知らなかった。
──つづく。
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