ナナはなぜ壊れたのか④——晒されることに、私は生きた

nana

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第98話 「恥をかかされて、笑うナナ」

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「ナナ、今日、うちで飲み会やるから来いよ。」

放課後、
彼氏にそう言われたとき、
私は、
特に深く考えなかった。

未成年やから、
もちろんお酒は飲めへんけど──
まぁ、顔出すくらいならええか、って。

彼氏の友達とも、
何回か顔合わせたことあったし。

普通に、
楽しくしゃべって、
笑って、
それで終わると思ってた。

だから。

夜、
彼氏の家に着いたときも、
まったく警戒してなかった。

わちゃわちゃ騒いでる大学生たち。
バイト先の人たち。
ちょっとだけ年上の男子たち。

みんな、
ニコニコして迎えてくれて、
自然に輪に混ざれた。

コーラ片手に乾杯して、
どうでもいい話で盛り上がって、
テレビゲームして、
たまにしょーもないノリでじゃれあって。

「楽しいなぁ」って、
普通に思ってた。

──最初は。

でも。

飲み会のテンションって、
だんだんエスカレートしていくもので。

「ナナちゃん、モテるやろ~?」

「え、ナナちゃん、実は小悪魔なんちゃうん?」

そんな軽い冗談が飛び始めた。

私は笑って流した。

「そんなんちゃうって~!」

みんなも笑った。

ただのいじり。
そんなふうに思ってた。

でも。

次の瞬間。

「ナナちゃんさ、今日、制服やろ?
 ほら、みんなにポーズ見せたってや~!」

「文化祭のとき、めっちゃウケたやん?」

酔った先輩たちが、
手拍子しながら盛り上がる。

視線が、一斉に私に集まった。

「え、ちょ、恥ずかしいって!」

そう言いながら、
顔がかぁっと熱くなる。

やんわり断ろうとしたけど、
場の空気が、
"やれやれ"モードになってしまっていた。

私は、
仕方なく立ち上がった。

照れ笑いを浮かべながら、
制服のスカートをちょっと広げて、
軽くくるっと回った。

「キャー!かわいい~!」

「ナナちゃん、天使かよ!」

そんな軽口のなか。

私は、
死ぬほど、
恥ずかしかった。

顔が、
どうしようもなく熱かった。

笑われてるわけじゃない。

でも、
確実に"見られてる"。

制服姿のまま、
大勢の男たちの前で、
ポーズを取らされてる。

その恥ずかしさに、
心臓が破裂しそうだった。

──逃げたい。

でも。

──気持ちいい。

わかってしまった。

太ももが、
膝が、
小さく震えていた。

バツの悪さと、
場の笑い声と、
晒される快感。

ぐちゃぐちゃになった感情を抱えながら、
私は、
必死で笑った。

「も~、いじらんといて~!」

声を張って、
場に溶け込もうとする。

でも、
顔は真っ赤だった。

そんな私を、
彼氏は、
ソファにもたれながらじっと見ていた。

鋭い目で、
まるで、
何かを確信するみたいに。

──たぶん、この瞬間。

彼は気づいたんやと思う。

ナナは──
人前で恥をかかされることで、
気持ちよくなれる子なんやって。

脱がなくてもいい。
裸になる必要もない。

ただ、
"恥ずかしい思い"をすれば、それでいい。

ナナは、
そんなふうにできてるんやって。

私は、
自分でも知らないうちに、
自分の性癖を、
あっけなく晒していた。

そしてそれを、
彼に──
ちゃんと見抜かれていた。

──つづく。
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