ナナはなぜ壊れたのか④——晒されることに、私は生きた

nana

文字の大きさ
14 / 36

第103話 「バニーの耳をつけたまま、街へ」

しおりを挟む
高2の秋。
ハロウィンの日。

彼氏に誘われて、
私は繁華街のハロウィンパーティに参加することになった。

「大丈夫。ナナにはピッタリの衣装、用意してるから。」

彼氏が、
ニヤニヤしながらそう言ったとき、
ちょっとだけ嫌な予感がした。

でも、
深く考えずについていった。

夜の街は、
すでに仮装した人たちであふれていた。

ゾンビ、魔女、ナース、警官、いろんな格好。

そんな中、
彼氏は手提げ袋から、
ある衣装を取り出した。

真っ黒な、
ツヤツヤした生地。

そして、
バニーの耳。

「ナナ、これ着て。」

にっこり笑う彼。

「えっ……バニー?」

「似合うって!絶対。」

彼氏の友達たちも、
「見たい見たい!」
と煽ってくる。

逃げられる空気じゃなかった。

「……わかった。」

私は渋々、
お店のトイレに向かった。

狭い個室の中で、
制服を脱いで、
バニーのコスチュームに着替える。

肩が、背中が、脚が、むき出し。

鏡に映る自分の姿に、
顔が真っ赤になった。

でも──

心の奥では、
あの感覚が湧き上がってた。

「……っ」

スリル。
羞恥。
期待。

私は、
ドアを開けた。

店内に戻ると、
一斉に歓声が上がった。

「うおおおおおお!!」

「えぐ!かわいすぎ!」

「マジで天使!!」

彼氏も、
にやにや笑いながら拍手してた。

お客さんたちの視線が、
私に集中する。

バニーの耳をつけたまま、
黒いレオタードみたいなコスチュームに、
網タイツとハイヒール。

脚も、胸も、背中も、
おしりも半分くらい・・晒されてた。

──恥ずかしい。

でも、
同時に。

──気持ちいい。

視線を浴びるたびに、
身体の奥がジリジリと熱くなった。

でも──

地獄は、ここからだった。

彼氏が、
悪びれもせず言った。

「なあ、せっかくやし、そのまま外出ようや。」

「えっ……ムリムリムリムリ!!」

「大丈夫って!みんな仮装しとるし!目立たへんて!」

「絶対目立つって!!」

必死で抵抗したけど、
彼氏も友達も、
腕を引っ張ってきた。

「な?ナナならできるって!」

「見たい見たい~!」

「ヒーローになれるで!」

もう、逃げ場はなかった。

私は、
バニーの耳を揺らしながら、
外に引っ張り出された。

繁華街の雑踏。

道行く人たちが、
びっくりした顔で振り返る。

「かわいい!!」
「やば!」
「マジかよ!」

知らない人たちの声が、
どこからともなく聞こえる。

ナナ、
バニーガールのまま、
街を歩いてた。

網タイツに、ハイヒールに、
むき出しの背中と脚。

顔が燃えるほど熱かった。

恥ずかしくて、
泣きそうだった。

でも──

脚が、震えてた。

嬉しくて、
怖くて、
気持ちよくて。

全部がごちゃ混ぜになって、
私はただ、
俯いて歩いた。

でも。

心の奥では、
確かに思ってた。

──もっと、見て。

──もっと、もっと、見てほしい。

私は、
自分でも驚くほど、
この地獄みたいな快感に、
酔いしれていた。

──つづく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...