ナナはなぜ壊れたのか④——晒されることに、私は生きた

nana

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第113話【彼氏の目線】「ナナが壊れていくのを、見てた」

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あの夜。
飲み会の席で、俺はずっとナナを見てた。

ミニ丈のメイド服。
肩を出して、猫耳カチューシャつけて。
みんなの前に立たされて、
必死で作り笑いしてるナナ。

周りは爆笑してた。

「うおー!!」
「ナナ、ガチ天使やろ!!」

スマホのフラッシュがバンバン焚かれる。
ストーリーも、写真も、動画も。
もう、ナナは逃げられない。

──なのに。

ナナは、
スカートの裾をぎゅっと握りながら、
震えながら、
それでも立ってた。

みんなに笑われながら。
みんなに見られながら。

(……ナナ、まじでヤバいな)

最初は、
正直、ノリでやらせた。

ウケるかな、とか、
みんな楽しめたらいいな、くらいの軽い気持ちだった。

でも。

今、目の前にいるナナは──

もう、
全然違う世界にいるみたいやった。

顔を真っ赤にして、
肩を震わせて、
でも、
目だけがどこかうっとりしてた。

笑われることに、
晒されることに、
快感を感じてる顔。

(……ナナ、気持ちよくなってるんや)

そう確信した瞬間、
ゾクッとした。

(……ヤバ)

背筋がぞわっと粟立った。

怖かった。
でも、それ以上に、
興奮した。

俺は、
ナナの彼氏のくせに。

ナナが晒されて、
みんなに笑われて、
壊れていくのを、
どうしようもなく見ていたかった。

もっと。

もっと、
ナナを、壊してみたかった。

「なあナナ、もう一回、ターンしてや?」

みんなに煽られて、
ナナは、小さく頷いた。

ふわり。

スカートが揺れて、
太ももが露わになる。

みんなが歓声を上げた。

俺も、
思わず喉を鳴らした。

(ナナ、……終わったな)

(でも、それでええ)

ナナは、
笑われながら、
晒されながら、
確かに、
誰よりも美しかった。

普通のままじゃ届かない場所に、
今、ナナは堕ちていってる。

──それを、俺は。

どうしようもなく、
見たかった。

──つづく。
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