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第125話「壊れたまま、卒業する」
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彼氏とは、別れた。
あの日。
クリスマスの夜。
服を着直して、
無理やり「普通」の姿に戻って、
家に帰った。
でも、
外側を整えたところで、
中身はぐちゃぐちゃだった。
帰り道、
彼氏は軽いノリで「悪かったって~」と笑った。
私は、
それに何も返さなかった。
言葉なんか、出なかった。
制服みたいな服を着て、
ただ、車の助手席に座っていた。
バスタオルは、もう巻いていなかった。
でも、心はずっと、
あの日のままだった。
剥き出しで、裸で、
誰にも守られないまま、
晒されている感覚が消えなかった。
(……もう、無理や)
それが、
私の中で彼氏との最後になった。
それからの私は、
「普通の受験生」を演じた。
塾。
模試。
推薦対策。
進路相談。
毎日、
制服を着て、参考書を開いた。
でも、
心はどこにもいなかった。
ただ、
からっぽの身体だけが動いていた。
大学受験。
第一志望は、落ちた。
受験会場で、
自分の番号を探して、
無かった。
それだけだった。
驚きも、
悔しさも、
なかった。
(……やっぱりな)
滑り止め。
行きたくなかった大学。
(それでもいい)
(どうせ、もう壊れてるんやし)
惨めさも、
失敗も、
恥も、
ぜんぶ、
甘く痺れる快感に変わっていた。
(ナナ、……どこまででも堕ちていけるな)
三月。
卒業式。
最後の制服を着て、
教室に座った。
クラスメートたちが笑って、泣いて、
写真を撮り合ってた。
「進学先、どこなんー?」
「また遊ぼなー!」
そんな声に、
私は微笑みながらうなずいた。
普通の顔をして。
でも、
制服の内側では、
壊れた心が静かに疼いてた。
(ナナ、もう普通には戻られへん)
惨めなまま。
壊れたまま。
それでも、
私は胸を張った。
卒業証書を受け取るとき、
ぎゅっと拳を握った。
(ナナ、……卒業おめでとう)
誰にも聞こえない声で、
自分にそう言った。
(第4章 完)
あの日。
クリスマスの夜。
服を着直して、
無理やり「普通」の姿に戻って、
家に帰った。
でも、
外側を整えたところで、
中身はぐちゃぐちゃだった。
帰り道、
彼氏は軽いノリで「悪かったって~」と笑った。
私は、
それに何も返さなかった。
言葉なんか、出なかった。
制服みたいな服を着て、
ただ、車の助手席に座っていた。
バスタオルは、もう巻いていなかった。
でも、心はずっと、
あの日のままだった。
剥き出しで、裸で、
誰にも守られないまま、
晒されている感覚が消えなかった。
(……もう、無理や)
それが、
私の中で彼氏との最後になった。
それからの私は、
「普通の受験生」を演じた。
塾。
模試。
推薦対策。
進路相談。
毎日、
制服を着て、参考書を開いた。
でも、
心はどこにもいなかった。
ただ、
からっぽの身体だけが動いていた。
大学受験。
第一志望は、落ちた。
受験会場で、
自分の番号を探して、
無かった。
それだけだった。
驚きも、
悔しさも、
なかった。
(……やっぱりな)
滑り止め。
行きたくなかった大学。
(それでもいい)
(どうせ、もう壊れてるんやし)
惨めさも、
失敗も、
恥も、
ぜんぶ、
甘く痺れる快感に変わっていた。
(ナナ、……どこまででも堕ちていけるな)
三月。
卒業式。
最後の制服を着て、
教室に座った。
クラスメートたちが笑って、泣いて、
写真を撮り合ってた。
「進学先、どこなんー?」
「また遊ぼなー!」
そんな声に、
私は微笑みながらうなずいた。
普通の顔をして。
でも、
制服の内側では、
壊れた心が静かに疼いてた。
(ナナ、もう普通には戻られへん)
惨めなまま。
壊れたまま。
それでも、
私は胸を張った。
卒業証書を受け取るとき、
ぎゅっと拳を握った。
(ナナ、……卒業おめでとう)
誰にも聞こえない声で、
自分にそう言った。
(第4章 完)
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