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【第9話】 『「命令されてたのに、愛されてる気がした」って、最低やな』
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──ほんま、最低やなって思った。
自分のこと。
命令されてたのに、
それを「愛されてる」って錯覚してた過去の自分。
支配されて、縛られて、
言葉で動かされてたのに、
「必要とされてる」って思ってた。
「おまえは俺のもんやろ」
「従ってるから、愛されてるんや」
「おまえにはそれしかできへんから、ええねん」
そう言われたの、何年前やろ。
でも、今の彼の声を聞いてるとき──
あの言葉が、ふっと頭をよぎった。
いま私に指示してくる人は、
顔も名前も、何も明かしてない。
でも、わたしの顔は、
毎晩、光に晒されてる。
照明の角度、メイクのツヤ、髪の乱れ、汗のにじみ。
全部、映ってる。
全部、見られてる。
なのに、あの人たちは、
“見るだけ”で済む。
なんで私だけ、
裸じゃなくても“裸扱い”なんやろ。
《ナナ、今日も綺麗やった》《その顔で喘ぐとか反則》《配信見て寝れなくなった》《好きって言っていい?》
コメント欄は、あたたかい。
けど、
誰も責任なんか持ってへん。
みんな匿名。
“見てるだけ”で、全部済む。
でも私には、
“晒し続ける責任”がある。
だって、ここで止めたら、
“誰にも見られない女”に戻る気がして、怖いから。
その夜、
彼からこんなDMが来た。
「ナナ、命令されてるときのほうが、安心してたんちゃう?」
心を見抜かれたみたいで、
スマホを落としそうになった。
安心──
たしかに、
命令されてるときは、“自分の責任じゃなかった”。
快感も、失敗も、恥ずかしさも。
全部、“誰かにさせられたこと”やった。
でも今は、
「自分で感じてるように見せなあかん」
「自分の判断で、気持ちよくなってるように振る舞わなあかん」
──そのほうが、
しんどくて、
やらしくて、
たまらんかった。
「命令されてたのに、
愛されてるって思ってた」
……最低やな。
でも、
そんな最低な女が──
今夜もまた、顔を出して、
“誰かの言葉に動かされる”準備をしていた。
自分で、照明をオンにして。
自分のこと。
命令されてたのに、
それを「愛されてる」って錯覚してた過去の自分。
支配されて、縛られて、
言葉で動かされてたのに、
「必要とされてる」って思ってた。
「おまえは俺のもんやろ」
「従ってるから、愛されてるんや」
「おまえにはそれしかできへんから、ええねん」
そう言われたの、何年前やろ。
でも、今の彼の声を聞いてるとき──
あの言葉が、ふっと頭をよぎった。
いま私に指示してくる人は、
顔も名前も、何も明かしてない。
でも、わたしの顔は、
毎晩、光に晒されてる。
照明の角度、メイクのツヤ、髪の乱れ、汗のにじみ。
全部、映ってる。
全部、見られてる。
なのに、あの人たちは、
“見るだけ”で済む。
なんで私だけ、
裸じゃなくても“裸扱い”なんやろ。
《ナナ、今日も綺麗やった》《その顔で喘ぐとか反則》《配信見て寝れなくなった》《好きって言っていい?》
コメント欄は、あたたかい。
けど、
誰も責任なんか持ってへん。
みんな匿名。
“見てるだけ”で、全部済む。
でも私には、
“晒し続ける責任”がある。
だって、ここで止めたら、
“誰にも見られない女”に戻る気がして、怖いから。
その夜、
彼からこんなDMが来た。
「ナナ、命令されてるときのほうが、安心してたんちゃう?」
心を見抜かれたみたいで、
スマホを落としそうになった。
安心──
たしかに、
命令されてるときは、“自分の責任じゃなかった”。
快感も、失敗も、恥ずかしさも。
全部、“誰かにさせられたこと”やった。
でも今は、
「自分で感じてるように見せなあかん」
「自分の判断で、気持ちよくなってるように振る舞わなあかん」
──そのほうが、
しんどくて、
やらしくて、
たまらんかった。
「命令されてたのに、
愛されてるって思ってた」
……最低やな。
でも、
そんな最低な女が──
今夜もまた、顔を出して、
“誰かの言葉に動かされる”準備をしていた。
自分で、照明をオンにして。
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