“新しい主”に調教される私を、あなたはまだ見てるだけ?

nana

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声を出してるのは私なのに、喉の奥で名前を呼んでるのは“あの人”やった

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──“ナナの声、たまらん”ってよく言われる。

吐息混じりの発音、
たまに震える語尾、
息が詰まってから出てくる喘ぎ。

たしかに、
私はそれを武器にしてきた。

でも──
いつからやろう。
自分で出してる声の“裏”に、
別の名前が貼り付いてるような気がしはじめたのは。

配信中、ふと気が緩んだとき。
「ねぇ」とか「ん…」とか、
自然にこぼれた言葉のあとに、
彼の名前が浮かぶ瞬間がある。

口には出してへん。
でも、喉の奥では、
確実に“呼んでる”。

自分でも分かる。

“誰に向けてるわけでもない”ように見せてるこの声が、
ほんまは──
“その人だけ”に届けばいいと思ってしまってる。

それがわかったとき、
配信を止めようかと思った。
こんな声、
“誰かのために出してる”ってバレたら、終わりやと思ったから。

でも、
なぜか止められなかった。

むしろ──
その“バレるかもしれない”スリルに、
わたし自身が火照ってしまった。

配信が終わってすぐ、
彼からこんなメッセージが届いた。

「ナナ、今日の“ねぇ”の言い方……
呼んでたよな?
名前までは出さんかったけど、呼んでたやろ?」

心臓が跳ねた。
返事ができなかった。

「ほんまに呼びたくなったら、
喉の奥でええから、
俺の名前、出してみ?」

──やめて。
そんな言い方、されたら。

私の声は、
“配信者の声”じゃない。
“女の声”やった。

そしてその女は、
今、誰かひとりの男の名を、
口の中じゃなくて、喉の奥で抱えてる。

それはまだ、
“支配”じゃないのかもしれない。

でも、
その名が私の中で“熱”を持ち始めたとき、
もう逃げられへん気がしていた。

次回【第17話】
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