“実況される身体”が、私の名前になった夜

nana

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【第6話】 『「私の意思じゃないんです」って言い訳が、甘えてる証拠だった』

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──「これは私の意思じゃないんです」

そう言ってきた。ずっとそう言って、自分を守ってきた。
やらされてるだけ。命令されたから。空気読んだだけ。
それを全部、“自分のせいじゃない”ってことにすれば、
少しだけ、罪悪感は軽くなると思ってた。

でも、それって本当は──
逃げ場を作っておくことで、もっと気持ちよくなれる“保険”だった。

指示されるとき、私はほんの少し、嬉しそうな顔をしてる。
鏡越しに、何度もそう思った。

「される側」でいられるって、
実はとんでもなく“特権”なのかもしれない。
何をされても、自分は被害者ヅラできるから。

でも、本当の私は、
いつも誰かの命令を待っている。
自分ではどうにもできないくせに、
誰かに導かれると、急にスイッチが入る。

気持ちよさも、羞恥も、
自分の判断じゃないって思い込んでいたほうが、
もっと深く堕ちていける。

「私、されたくなかったんですけど…」
「でも勝手に身体が…」
そんなセリフが言えるように、私は準備していた。
ずるいのは、こっちだった。

あの夜、カメラの前でブラを外せって言われたとき、
一瞬だけ、戸惑う“演技”をした。
わざと間を置いた。
「抵抗してるふう」を見せた。
けど実際には、内心ほっとしていた。
やっと、言い訳できるタイミングが来た。

《無理なら言って》《やめてもいい》《顔、見てるよ》《ナナ、頑張ってるね》

優しさに包まれて、私は“頑張るフリ”をしながら、
快感の奥にある征服感に、密かに酔っていた。

私、されてるだけ。
私、悪くない。
でも、誰よりもその時間を求めているのは──
間違いなく、私だった。

“彼”だけは、見抜いていた気がする。
《ナナ、それ本当に嫌なの?》
そんな一文が、タイムラインに浮かんだとき、
私は心臓をぎゅっと掴まれたみたいに息が止まった。

嫌じゃない。
でも、“嫌じゃない”って認めたら、
私はもう、自分の性癖に責任を持たなきゃいけなくなる。

だから私は、
「私の意思じゃないんです」って言葉に、
これからもきっと、しがみつき続ける。

その嘘が、自分を甘やかしてくれる限り。
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