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【第14話】 『「この声、保存していいですか?」って聞かれたとき、何も言えなかった』
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──声って、消えるから許されるんやと思ってた。
誰にも残らない。
その場限り。
スクリーン越しに聞こえても、終わればすぐ忘れられる。
だから私は、声を出すことだけは、
“安全な快楽”やと思ってた。
でもその夜、ひとつのコメントが、
その幻想を簡単に壊してきた。
《ナナさんの声、保存してもいいですか?》
ただ、それだけ。
一瞬、呼吸が止まった。
コメント欄は相変わらず賑やかで、
そのコメントも、すぐに流れて消えた。
でも私の頭の中では、ずっと残ってた。
「保存してもいい?」という問い。
つまりそれは──
“そのまま一生残してもいい?”ということだった。
声が記録されるということは、
“そのときの自分”が、未来にも存在するということだ。
あえぎ声も、甘えた語尾も、
躊躇いと興奮の混じった「お願い」も──
全部、“永久保存”される可能性に晒された。
しかも、それが“誰かの自由に使えるデータ”になるということ。
想像した瞬間、背中がゾッとした。
そして、ゾッとしたまま、濡れていることに気づいた。
私は何も言えなかった。
「だめです」とも、「いいよ」とも言わなかった。
ただ、カメラの向こうに視線を落とし、
ほんの少しだけ喉を震わせて、息を漏らした。
──それが、“黙認”になると知っていて。
コメント欄に、《ありがとうございます》《大切にします》と流れたとき、
私は初めて、“使われる自分”をはっきりと想像した。
録音された私の声が、
誰かの夜に再生される。
知らない部屋で、知らない手の中で、
私の“証拠”が鳴っている。
その夜、配信を終えたあと。
私は自分の声が残っていないことを確認しようとして、
ふと気づいた。
──この部屋の静けさが、やけに寂しい。
自分の声がもう一度、誰かの部屋で流れていると思うと、
少しだけ、“一人じゃない”と錯覚できた。
記録される羞恥。
繰り返される喘ぎ。
保存された“自分”の声に、
少しずつ“存在の証明”を感じ始める。
「使われる」と「残される」は、
こんなにも似ていて、
こんなにも……安心する。
誰にも残らない。
その場限り。
スクリーン越しに聞こえても、終わればすぐ忘れられる。
だから私は、声を出すことだけは、
“安全な快楽”やと思ってた。
でもその夜、ひとつのコメントが、
その幻想を簡単に壊してきた。
《ナナさんの声、保存してもいいですか?》
ただ、それだけ。
一瞬、呼吸が止まった。
コメント欄は相変わらず賑やかで、
そのコメントも、すぐに流れて消えた。
でも私の頭の中では、ずっと残ってた。
「保存してもいい?」という問い。
つまりそれは──
“そのまま一生残してもいい?”ということだった。
声が記録されるということは、
“そのときの自分”が、未来にも存在するということだ。
あえぎ声も、甘えた語尾も、
躊躇いと興奮の混じった「お願い」も──
全部、“永久保存”される可能性に晒された。
しかも、それが“誰かの自由に使えるデータ”になるということ。
想像した瞬間、背中がゾッとした。
そして、ゾッとしたまま、濡れていることに気づいた。
私は何も言えなかった。
「だめです」とも、「いいよ」とも言わなかった。
ただ、カメラの向こうに視線を落とし、
ほんの少しだけ喉を震わせて、息を漏らした。
──それが、“黙認”になると知っていて。
コメント欄に、《ありがとうございます》《大切にします》と流れたとき、
私は初めて、“使われる自分”をはっきりと想像した。
録音された私の声が、
誰かの夜に再生される。
知らない部屋で、知らない手の中で、
私の“証拠”が鳴っている。
その夜、配信を終えたあと。
私は自分の声が残っていないことを確認しようとして、
ふと気づいた。
──この部屋の静けさが、やけに寂しい。
自分の声がもう一度、誰かの部屋で流れていると思うと、
少しだけ、“一人じゃない”と錯覚できた。
記録される羞恥。
繰り返される喘ぎ。
保存された“自分”の声に、
少しずつ“存在の証明”を感じ始める。
「使われる」と「残される」は、
こんなにも似ていて、
こんなにも……安心する。
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