ダンジョン鬼ヶ島には変なやつばっかくるぴえん

風巻ユウ

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ゆるっとダンジョン構築編

20、プルプルして藻スラ

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 俺は一人、その場で唸る。

「むぅぅ……」

 問題を、一つ一つ片付けていこうと思う。

 まず第一にダンジョン改装。これは毎日コツコツ行っていて、魔天卵からモンスターや罠が出れば全て配置の勢いで適所に設置していた。

 正直、今直ぐに冒険者なりなんなり人が来て欲しい。冒険者じゃなくても、人ならばお金が入るシステムだから、じゃんじゃん誰でも観光に来て欲しい。

 その為には目玉になる宝箱を揃えないとな。

 今のところ野球道具が手に入る『野球ダンジョン』なだけ。これだけじゃ力不足だから、美顔ローラーや爪切り、マニキュアとファンデーション、各種サプリメントに青汁、化粧水、美容液などのコスメセットまでを宝箱に入れて『美容と健康のダンジョン』も目指そう。

 決して聖剣とか入れない。そんな金ない。

 漠然と今後の構想を思い描きながら、魔クリスタルの生えた地底湖のところまで来た。

 魔クリスタル、これって魔力が含まれていて美味しいんだっけ。これ、赤鬼に常備させれば魔力補給できるのではと、今更ながらに気が付いた。

 清水に手を入れる。

「つ、つめ、つっめ、つめたあぁぁ!」

 何コレ、確実に俺の手を凍傷へと導いているぞ、この水! 冷凍水! 凍ってないけどヤバイくらい冷たいいぃぃ!

 慌てて手を引いたら尻もちついた。湖の端だから濡れている。う、尻まで濡れて冷たくなった。背筋をゾゾゾっと不快な冷気が駆け抜けてゆく。

「へくちっ」

 くしゃみまで出て震えていたら、ぷにっと腰に当たる柔らかき感触が。

「んん? あ、な~んだ、藻スラじゃん」

 藻スライム、略して藻スラ。
 ただただ、そこらへんの藻を食べるスライムである。

 海に囲まれた孤島の洞窟だからなのか、このダンジョン内には海藻がいっぱい生えていて、赤青黄緑色した海藻を主食に棲息している、とても大人しい生き物だ。

 冒険者が来た時は真っ先にやられて藻を吐き出すだけの低級モンスター。切られてもまた元に戻るし、藻しか巻き散らかさないから冒険者は無視するくらい低級モンスター。

 更にこいつ、たまに分裂して仲間を増やしダンジョン内を賑やかしてくれる。俺にとっては良いモンスター。今や藻スラはこのダンジョン内で一番生息数が多い。次点で岩塩ダー。

 今も俺の腰にスリスリしているやつ、手や背中にくっついているやつ、肩の上まで乗って楽しそうにプルプルしているやつがいて、見ていて飽きない。けっこう可愛い。
 そのどれもが違う色をしている。多分、海藻の色だ。赤青黄緑色の海藻、それぞれ多めに食べた色に変色しているんじゃないかと推測する。
 だって海藻と同じ色だから。ぷるんぷるんしていてゼリーのようだ。色とりどりのゼリー。

 中でも一番大きい体をもつのが紫藻スライム。紫色の海藻なんかあっただろうかという小さな疑問が湧いた時、その紫藻スライムが地底湖に向かってダイブした。ザブーン。

「おおおおどうした藻スラご乱心か?!」

 スライムが水の中に自ら進んで入って行くところを初めて見たから驚いた。

 水、平気なんだな。あんなに冷たい水の中、ものともせず深いところまで沈んでしまう紫藻スラ。
 透明度の高い清水。鬼の目は暗視も効き視力も良いから、沈んで行く藻スラの一部始終を目で追えた。

 間もなく藻スラは地底へと辿り着く。底につくんつくんと生えている魔クリスタルに、突如へばりついた。

「えー、あれ、食べてるのか? 藻スラって魔クリスタルも食べるのか」

 もぐもぐ捕食しているようにしか見えない。スライムボディをクリスタルに絡めて、次の瞬間には魔クリスタルが消えていく。体内に閉じ込めたら一気に消化しているようだ。丸飲みかよ。

「ちゃんと噛まないと駄目だぞーお」と、一応の声はかけた。けど紫藻スラの食欲は止まらないらしい。次々と、隣にある魔クリスタル、その隣もと飲み込んで、楽しそうに食事している。
 魔クリスタルは美味しいって説明にもあったもんな。きっと藻スラにとっても美味しいものなのだろう。

 その内に、他の赤青黄緑色した藻スラたちも湖に飛び込み魔クリスタルを食べだした。
 ぱくぱく、もぐもぐ。は、早い。物凄いスピードで消火吸収していく。

「て、あ、湖底の魔クリスタルがどんどん無くなってね?」

 五色のスライムたちの食欲旺盛な食事風景を、あっけにとられて見ていたけれど、ここでようやく俺は魔クリスタル採取に来たということを思い出す。
 もう魔クリスタル、無いが。ほぼ全部食い尽くされてしまったのだが。

 食事を終えた藻スラたちは水中を漂って遊んでいる。ぷかーと浮いている姿はさながらクラゲだな。

 あんなにお気楽そうな姿を見れば気も抜ける。食われてしまったものはしょうがないと、俺も呑気に昼ご飯を食べた。
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