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こうして異世界の扉を開いた
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大学2年の秋。
一人暮らしの我が城(築30年のボロアパート)に据え置き型ゲームがやってきた。
今までもっぱらスマホゲームばかりだったが、どうしても気になるタイトルの発売に合わせて買ってしまったのだ。
コントローラーを手に取り、適当にボタンをポチポチと押してみる。スマホのタップとは全く違い、ゲームをプレイしている感じが鮮明に分かる。
早速ソフトを入れてみる。
テレビ画面にタイトルアイコンが表示されるが、すぐにダウンロード中の文字が現れる。完了まで1時間の表記に、一気に力が抜けた。ストーリー系RPGだから容量が大きいのは納得だった。
だが、この状況で思いもよらないお預けを食らってしまうとは思っていなかった。現在、バイト終わりですでに日付が変わってしまいそうな時間。明日も朝から授業がある。けれど、このまま寝る方がもっと無理だった。
待ち時間にソファやテーブルの周りの片付けを始める。少しでも快適なゲーム環境に整えるためだ。
そうして、スッキリと片付いたテーブルにはお気に入りのコーヒーまでセッティングした。完璧な空間の完成だ。
ダウンロードも完了。
少しドキドキしながら、ようやくゲームを起動する。
真っ暗な画面から聞こえてくる静かなBGM。一気にゲームの世界観に引きずりこまれた。
(!?)
突然走ったコントローラーの振動に驚く。
こんな機能もあるのか。
据え置きゲーム初心者には、すべてが感動の対象だった。
それなりにゲームをしてきたつもりだったが、初めて使うコントローラーとなると勝手は全然違った。
難易度はとりあえずノーマルにしていたが、セーブポイントにたどり着く前にやられてしまう。
こうなってしまってはもう先に進めない。
プライドを捨ててイージーモードに変更。ようやくストーリーが進み始めた。
慣れないボタン操作に戸惑いながらプレイすること数時間。あっという間に早朝と呼べる時間になっていた。
やばい。一時間だけでも寝ないと。
元々オールはできない性質だった。
五分おきに家を出るギリギリの時間までアラームをかけるとベッドにのそのそと潜り込んだ。
増田千夏(ますだちか)は、重たい瞼をどうにか持ち上げながら、あまり興味のない必修科目を受けていた。千夏が必死に睡魔と戦っている隣で、友人はしっかりと夢の中に落ちていた。
またテスト前に慌てて写させてくれって言ってくるパターンだな、これは。毎回のことですでに耐性ができていた。だが、立場が逆になることももちろんあるので、持ちつ持たれつで納得はしていた。
聞いているだけで子守歌に思えてくる教授の声はシャットアウトすることにして、今回の内容が書かれた部分のテキストを読むことに集中する。
そうしながらどうにか耐え抜いた九十分。千夏は終わった瞬間に机に突っ伏した。次のコマは空き時間。今いる教室も使われないことを知っていた。少しだけ眠ろう。
これが、増田千夏とゲームの新たな生活の始まりだった。
一人暮らしの我が城(築30年のボロアパート)に据え置き型ゲームがやってきた。
今までもっぱらスマホゲームばかりだったが、どうしても気になるタイトルの発売に合わせて買ってしまったのだ。
コントローラーを手に取り、適当にボタンをポチポチと押してみる。スマホのタップとは全く違い、ゲームをプレイしている感じが鮮明に分かる。
早速ソフトを入れてみる。
テレビ画面にタイトルアイコンが表示されるが、すぐにダウンロード中の文字が現れる。完了まで1時間の表記に、一気に力が抜けた。ストーリー系RPGだから容量が大きいのは納得だった。
だが、この状況で思いもよらないお預けを食らってしまうとは思っていなかった。現在、バイト終わりですでに日付が変わってしまいそうな時間。明日も朝から授業がある。けれど、このまま寝る方がもっと無理だった。
待ち時間にソファやテーブルの周りの片付けを始める。少しでも快適なゲーム環境に整えるためだ。
そうして、スッキリと片付いたテーブルにはお気に入りのコーヒーまでセッティングした。完璧な空間の完成だ。
ダウンロードも完了。
少しドキドキしながら、ようやくゲームを起動する。
真っ暗な画面から聞こえてくる静かなBGM。一気にゲームの世界観に引きずりこまれた。
(!?)
突然走ったコントローラーの振動に驚く。
こんな機能もあるのか。
据え置きゲーム初心者には、すべてが感動の対象だった。
それなりにゲームをしてきたつもりだったが、初めて使うコントローラーとなると勝手は全然違った。
難易度はとりあえずノーマルにしていたが、セーブポイントにたどり着く前にやられてしまう。
こうなってしまってはもう先に進めない。
プライドを捨ててイージーモードに変更。ようやくストーリーが進み始めた。
慣れないボタン操作に戸惑いながらプレイすること数時間。あっという間に早朝と呼べる時間になっていた。
やばい。一時間だけでも寝ないと。
元々オールはできない性質だった。
五分おきに家を出るギリギリの時間までアラームをかけるとベッドにのそのそと潜り込んだ。
増田千夏(ますだちか)は、重たい瞼をどうにか持ち上げながら、あまり興味のない必修科目を受けていた。千夏が必死に睡魔と戦っている隣で、友人はしっかりと夢の中に落ちていた。
またテスト前に慌てて写させてくれって言ってくるパターンだな、これは。毎回のことですでに耐性ができていた。だが、立場が逆になることももちろんあるので、持ちつ持たれつで納得はしていた。
聞いているだけで子守歌に思えてくる教授の声はシャットアウトすることにして、今回の内容が書かれた部分のテキストを読むことに集中する。
そうしながらどうにか耐え抜いた九十分。千夏は終わった瞬間に机に突っ伏した。次のコマは空き時間。今いる教室も使われないことを知っていた。少しだけ眠ろう。
これが、増田千夏とゲームの新たな生活の始まりだった。
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