6 / 10
1ヶ月目
新たな可能性2
しおりを挟む
俺の目には、印辺りの場所にうずくまる奇妙な物体が映っていた。モゴモゴと動いているその姿はまるで一一
「……いのししか?」
「ひどい!!いのししなんかじゃないもん!!」
俺のつぶやきに敏感に反応して、泥まみれの顔がこちらを向く。全身を黒いローブで覆った、大人とも子どもとも言えない見た目の少女(?)だった。
「ここは俺が治める町の敷地内なんだが」
「えっ!?そんな‥‥う…うぅ……。やっと安全な場所にある魔力の源泉を見つけたのに……」
その言葉に、俺は耳を疑った。そういえば、このローブはどことなく魔女っぽい見た目をしているようにも思う。
「……ここに魔力があるってどうして知っているんだ」
俺は、用心しながら目の前の人物に問いかけてみる。俺の知らない情報をもしかしたら知っているかもしれない。
「どうしても何も、私が魔術士だからですよ!!えっへん」
胸を張って言う少女に、俺はどうしても違和感を隠せなかった。
「俺が思う魔術士は泥だらけになって地面を這いつくばらない気がするんだが……」
「そ、それは一人前の人のことを言っているんでしょ!私はまだ見習いだから、自分専用の泉を持つところから始めないといけないんです……。それで、やっと誰にも掘り起こされていないところを見つけたと思ってたのに……」
そういうと、今にも泣きだしそうな顔をしてうつむく。その時、俺の目の前にステータスパネルが勝手に起動した。
〈緊急クエスト〉魔力の泉を扱える魔術士を見つけよ
あまりにも都合のよすぎる展開だったが、他に魔術士のアテもいない。雇うとなると高くつきそうな気もした。まぁ、もともと追い出そうとか思ってなかったしちょうどいいか。
「なぁ、一つ提案なんだが、この町の住人になってくれるならここを君専用の泉にしてもいいぞ」
俺の言葉に、少女はパッと顔を上げた。
「そんな簡単な条件でいいんですか!?もちろんです!!なんなら、自分の持ち物ほとんどないから、今日から住みたいです!」
満面の笑みで答える少女に俺はホッと胸を撫で下ろす。
「あぁ。だったら、誰も住んでいない家があるから、どこでも好きなの使っていいよ。決まったら明日にでも教えて。あ、そうだ。君の名前は?俺は町長の大橋蓮だ」
「私、ティアです。あの……明日から早速作業をしたいので、スコップかシャベルって貸してもらえます?」
「……そこは手作業なんだ」
「泉が湧くまでです!!それからは私の魔術でちょちょいですから!!」
「分かった分かった。明日持ってきてやるから今日はゆっくりするんだぞ」
こうして、また新たな住人が来たわけだが……。
「結局、魔力の泉ってどんな効果があるんだ?」
一人になった俺は再びステータスパネルを開いてみた。すると魔力の泉のページに新しい説明が追加されていた。あいかわらず都合良くできてるよなぁ。
「えっと……生産にかかる時間を減らす効果……。まじかよ。めちゃくちゃ使えるやつじゃねぇか!これは……ティアの頑張りに期待するしかねぇな」
ほんの少しだけだが、先行きが明るくなったような気がした。
「……いのししか?」
「ひどい!!いのししなんかじゃないもん!!」
俺のつぶやきに敏感に反応して、泥まみれの顔がこちらを向く。全身を黒いローブで覆った、大人とも子どもとも言えない見た目の少女(?)だった。
「ここは俺が治める町の敷地内なんだが」
「えっ!?そんな‥‥う…うぅ……。やっと安全な場所にある魔力の源泉を見つけたのに……」
その言葉に、俺は耳を疑った。そういえば、このローブはどことなく魔女っぽい見た目をしているようにも思う。
「……ここに魔力があるってどうして知っているんだ」
俺は、用心しながら目の前の人物に問いかけてみる。俺の知らない情報をもしかしたら知っているかもしれない。
「どうしても何も、私が魔術士だからですよ!!えっへん」
胸を張って言う少女に、俺はどうしても違和感を隠せなかった。
「俺が思う魔術士は泥だらけになって地面を這いつくばらない気がするんだが……」
「そ、それは一人前の人のことを言っているんでしょ!私はまだ見習いだから、自分専用の泉を持つところから始めないといけないんです……。それで、やっと誰にも掘り起こされていないところを見つけたと思ってたのに……」
そういうと、今にも泣きだしそうな顔をしてうつむく。その時、俺の目の前にステータスパネルが勝手に起動した。
〈緊急クエスト〉魔力の泉を扱える魔術士を見つけよ
あまりにも都合のよすぎる展開だったが、他に魔術士のアテもいない。雇うとなると高くつきそうな気もした。まぁ、もともと追い出そうとか思ってなかったしちょうどいいか。
「なぁ、一つ提案なんだが、この町の住人になってくれるならここを君専用の泉にしてもいいぞ」
俺の言葉に、少女はパッと顔を上げた。
「そんな簡単な条件でいいんですか!?もちろんです!!なんなら、自分の持ち物ほとんどないから、今日から住みたいです!」
満面の笑みで答える少女に俺はホッと胸を撫で下ろす。
「あぁ。だったら、誰も住んでいない家があるから、どこでも好きなの使っていいよ。決まったら明日にでも教えて。あ、そうだ。君の名前は?俺は町長の大橋蓮だ」
「私、ティアです。あの……明日から早速作業をしたいので、スコップかシャベルって貸してもらえます?」
「……そこは手作業なんだ」
「泉が湧くまでです!!それからは私の魔術でちょちょいですから!!」
「分かった分かった。明日持ってきてやるから今日はゆっくりするんだぞ」
こうして、また新たな住人が来たわけだが……。
「結局、魔力の泉ってどんな効果があるんだ?」
一人になった俺は再びステータスパネルを開いてみた。すると魔力の泉のページに新しい説明が追加されていた。あいかわらず都合良くできてるよなぁ。
「えっと……生産にかかる時間を減らす効果……。まじかよ。めちゃくちゃ使えるやつじゃねぇか!これは……ティアの頑張りに期待するしかねぇな」
ほんの少しだけだが、先行きが明るくなったような気がした。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
1歳児天使の異世界生活!
春爛漫
ファンタジー
夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。
※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。
小さな貴族は色々最強!?
谷 優
ファンタジー
神様の手違いによって、別の世界の人間として生まれた清水 尊。
本来存在しない世界の異物を排除しようと見えざる者の手が働き、不運にも9歳という若さで息を引き取った。
神様はお詫びとして、記憶を持ったままの転生、そして加護を授けることを約束した。
その結果、異世界の貴族、侯爵家ウィリアム・ヴェスターとして生まれ変ることに。
転生先は優しい両親と、ちょっぴり愛の強い兄のいるとっても幸せな家庭であった。
魔法属性検査の日、ウィリアムは自分の属性に驚愕して__。
ウィリアムは、もふもふな友達と共に神様から貰った加護で皆を癒していく。
白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!
ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。
ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!?
「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」
理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。
これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる