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ドラゴンと龍は違うんですよ
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その配信は過疎っていた。
ビール片手におっさんがよく分からない話をするだけの配信に人気が出る方が異常だと思うけれど。
「で、僕の彼女っていうか、同居人っていうか、奥さんなんですけど。洗濯好きなんですよ」
そう笑いながらビールを口に含んで、二の句を継ごうとすると、別の部屋から女性の声で
「別に好きではないですよ? 好きではないです!」
などと言う言葉が飛んでくる。
「あ、すみません。ごめんなさい。はい、分かりました」
終始笑顔のところを見ると、そんなやりとりは日常茶飯事なのだろう。
そんな風にくだらない事を吐き続けるそんな配信を僕はなんとなく気に入って見ていた。
そんな配信を見ていたある日のことだった。何やらよく分からないハイチャ(ハイパーチャットと言って、コメントにお金を付けて配信者に送れる機能がある)が飛んだ。
そもそもハイチャなんてこの配信で初めて見たけれど、よく分からないのはそこではなかった。
『ドラゴンが倒せないんですけど、どうすればいいですか?』
僕の頭の中には疑問符しか浮かばなかったが、髭の配信者ことヒーロー・ユウキ氏は少し口角を上げてからいつものように話し出した。
「えっと、なんていうのかな。まず、ドラゴンにも色々いるんですよね。そもそも本当にドラゴンなのかって話ですよ。龍じゃないですよね? ドラゴンなんですよね? 属性変わってきますから」
そういう問題か?
「多分情報あんまり書かれてないので、結構急ぎ目に書いたと思うんですけど、だとすると災厄みたいに突然発生したタイプかなと。で、その場合だと確かにドラゴンな気もするですよね。龍って結構前振り気にするので」
知り合いに龍いんの?
「となると、結構強そうなんで、もう逃げた方がいいと思います。いや、人じゃ勝てんすよ、あれは」
だろうね。だろうよ。
『ドラゴンきてます。あと僕は人じゃないです魔族です』
魔族だったよ、勝てるか?
『となると魔法使えるんですよね、多分。てかこの人、ニ回もハイチャする割にあまり情報入れれてないですよね。正直言ってそもそもスペック不足な気がしますし、なんなら近くの人、魔族? ごめん魔族か、ははっ。魔族に声かけした方がまだいいと思うんですよ。で、ドラゴンって基本トカゲのでかい版なんで、硬くなさそうなところに攻撃すれば実はなんとかなるんじゃないですかね。はい」
適当かよ。魔族大丈夫か。
『お腹柔らかそうだったんでみんなに声かけして攻めたらいけました! ありがとうございました!」
その日、ヒーロー・ユウキは伝説になった。
ビール片手におっさんがよく分からない話をするだけの配信に人気が出る方が異常だと思うけれど。
「で、僕の彼女っていうか、同居人っていうか、奥さんなんですけど。洗濯好きなんですよ」
そう笑いながらビールを口に含んで、二の句を継ごうとすると、別の部屋から女性の声で
「別に好きではないですよ? 好きではないです!」
などと言う言葉が飛んでくる。
「あ、すみません。ごめんなさい。はい、分かりました」
終始笑顔のところを見ると、そんなやりとりは日常茶飯事なのだろう。
そんな風にくだらない事を吐き続けるそんな配信を僕はなんとなく気に入って見ていた。
そんな配信を見ていたある日のことだった。何やらよく分からないハイチャ(ハイパーチャットと言って、コメントにお金を付けて配信者に送れる機能がある)が飛んだ。
そもそもハイチャなんてこの配信で初めて見たけれど、よく分からないのはそこではなかった。
『ドラゴンが倒せないんですけど、どうすればいいですか?』
僕の頭の中には疑問符しか浮かばなかったが、髭の配信者ことヒーロー・ユウキ氏は少し口角を上げてからいつものように話し出した。
「えっと、なんていうのかな。まず、ドラゴンにも色々いるんですよね。そもそも本当にドラゴンなのかって話ですよ。龍じゃないですよね? ドラゴンなんですよね? 属性変わってきますから」
そういう問題か?
「多分情報あんまり書かれてないので、結構急ぎ目に書いたと思うんですけど、だとすると災厄みたいに突然発生したタイプかなと。で、その場合だと確かにドラゴンな気もするですよね。龍って結構前振り気にするので」
知り合いに龍いんの?
「となると、結構強そうなんで、もう逃げた方がいいと思います。いや、人じゃ勝てんすよ、あれは」
だろうね。だろうよ。
『ドラゴンきてます。あと僕は人じゃないです魔族です』
魔族だったよ、勝てるか?
『となると魔法使えるんですよね、多分。てかこの人、ニ回もハイチャする割にあまり情報入れれてないですよね。正直言ってそもそもスペック不足な気がしますし、なんなら近くの人、魔族? ごめん魔族か、ははっ。魔族に声かけした方がまだいいと思うんですよ。で、ドラゴンって基本トカゲのでかい版なんで、硬くなさそうなところに攻撃すれば実はなんとかなるんじゃないですかね。はい」
適当かよ。魔族大丈夫か。
『お腹柔らかそうだったんでみんなに声かけして攻めたらいけました! ありがとうございました!」
その日、ヒーロー・ユウキは伝説になった。
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