9 / 90
9 タイミング
しおりを挟む
「7月下旬まで、まだ3ヶ月以上もある。気が変わることもあるだろう」
「…そうかもしれませんね」
「とは言っても、引き継ぎも進めないとな。…矛盾しているけれど、これが会社という組織での現実ってとこだな。このあいだ人事から渡された候補者はこの三人。オレはこの5年目の小峯有生でいこうと考えたんだが、三上はどう思う?」
樹がかおるに話し掛けたのは引き止めが理由だけではなかった。新組織の中心人物としてイニシアチブを取っている樹にはかおるの後任選びという仕事もある。
そして、後任選びがこんな早くに行われているのにも理由があった。
かおると樹は、年が明けた頃から新組織立ち上げの為の打合せを二人で何度となく行った。最初は備品発注やら何やらの小さなことが、気付けば樹からの要求は日に日に大きくなっていったのだ。それに伴いかおるの役割も大きくなってしまった。
だからかおるは悩んだ。仕事が嫌だとか辛いというのではなく、途中で離れることに。自分の担う役割が大きくなる前に、心に決めたことを樹に話さなくてはいけないと感じたのだった。
そう、かおるはずっと心に決めていた、新組織が発足する前に会社を辞めようと。
退社意思は変わらないのだから早すぎるとは思ったが、2月の終わり、かおるはとうとう樹に夏ごろには退社するつもりであることを伝えた。新組織、ひいては恭祐に迷惑を掛けない為に、早目の申し出は正しい判断だろうと考えたのだ。
簡単に受け入れられるだろうと思ったかおるの意志を驚くことに樹は受け入れなかった。樹は仕事を一緒に進めるうちに、かおるの働きを高く評価するようになっていたのだ。
それからだ、樹がかおるに考え直すよう言葉を掛けるようになったのは。
けれどもかおるの意思は固かった。いや、チャンスを逃がすわけにはいかなかったのだ。
「…そうかもしれませんね」
「とは言っても、引き継ぎも進めないとな。…矛盾しているけれど、これが会社という組織での現実ってとこだな。このあいだ人事から渡された候補者はこの三人。オレはこの5年目の小峯有生でいこうと考えたんだが、三上はどう思う?」
樹がかおるに話し掛けたのは引き止めが理由だけではなかった。新組織の中心人物としてイニシアチブを取っている樹にはかおるの後任選びという仕事もある。
そして、後任選びがこんな早くに行われているのにも理由があった。
かおると樹は、年が明けた頃から新組織立ち上げの為の打合せを二人で何度となく行った。最初は備品発注やら何やらの小さなことが、気付けば樹からの要求は日に日に大きくなっていったのだ。それに伴いかおるの役割も大きくなってしまった。
だからかおるは悩んだ。仕事が嫌だとか辛いというのではなく、途中で離れることに。自分の担う役割が大きくなる前に、心に決めたことを樹に話さなくてはいけないと感じたのだった。
そう、かおるはずっと心に決めていた、新組織が発足する前に会社を辞めようと。
退社意思は変わらないのだから早すぎるとは思ったが、2月の終わり、かおるはとうとう樹に夏ごろには退社するつもりであることを伝えた。新組織、ひいては恭祐に迷惑を掛けない為に、早目の申し出は正しい判断だろうと考えたのだ。
簡単に受け入れられるだろうと思ったかおるの意志を驚くことに樹は受け入れなかった。樹は仕事を一緒に進めるうちに、かおるの働きを高く評価するようになっていたのだ。
それからだ、樹がかおるに考え直すよう言葉を掛けるようになったのは。
けれどもかおるの意思は固かった。いや、チャンスを逃がすわけにはいかなかったのだ。
0
あなたにおすすめの小説
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです
沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
嘘をつく唇に優しいキスを
松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。
桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。
だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。
麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。
そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる