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40 膨れ上がる何か
「樹さん、ごめんなさい。こんな格好で隣を歩くなんて。」
「気にしないで。オレこそ着替えてこなくて、悪かった。でも、そういう格好もいいと思う。可愛いよ。」
「もう、からかってばかり。ところで何を食べたいか決まりました?」
「パンとフルーツ、スクランブルエッグとかでいいかな。」
「気、使ってます?簡単なものばかりリクエストしてますよね。」
「いや、本当に食べたいものを言っただけ。」
ほとんどがコンビニ調達の樹にとって、スーパーは久し振りだった。そして、スーパーがこんなに楽しいと思ったのは初めて。
かおると色々話しながら、物を吟味して選ぶ。かごに入れる瞬間はまるで幸せを、自分に足しているようだった。
樹は願った、同じ気持ちをかおるも抱いてくれるようにと。そして、言葉にしたのだった。
「かおるとの買い物は楽しい。スーパーすらアミューズメントパークに思えるよ。」
「わたしも、いつも買い物は一人だから、こうやって色々話しながら買うのは楽しいです。」
相変わらず肝心な『誰』と話すから楽しいのかが抜けていると思いながらも、かおるの笑顔にそれで十分だと樹は思った。
そのかおるの笑顔が、樹のマンションに近づくにつれなんとなく消え始めた。
「緊張してる?、約束通り何もしないよ。」
「それは、信じています。でも、」
「でも?」
「さっきの入口と駐車場だけでも実は、すごく、気おくれしていたんです。あまりに豪華なマンションだったので。だから、わたしみたいなのが、のこのこ付いて行ってしまっていいのか、今更ながら怖くなってしまって。」
「今からすぐには無理だけど、それが理由で今後うちに来なくなるなら、引っ越すよ。」
「そんな、その、違うんです、そういう意味じゃ、」
「オレはオレだから。マンションだけじゃなくて、他にも色々付随している柵や環境があるけど。」
「…はい。」
「返事するときには、オレだけで判断して。」
樹は本当に自分の心を簡単に見透かしてしまうとかおるは思った。2割、確かにこの間は2割程度だったはず、かおるの心の中にある不安は。
けれど、樹は若林家に係わる人物で、その後ろには切っても切れない血縁者の恭祐がいる…。絶対的権力を持つ王という立場で、かおるを奴隷として扱ってもいい支配者が。いくら樹がプリンセスとして扱ってくれても、支配者の前へ引き立てられたらそれまでだ。所詮張りぼてに過ぎない。
心は本当に10割で表せないとかおるは思った。8割はYes、2割が不安だったはずなのに。
確かにあの時、他にも何かが引っ掛かると思ってはいた。それが今膨れ上がり始めた。しかも、自由自在に姿を変え、恐怖になり、言葉では表せないもっと恐ろしい感情にもなろうとしている。
「着いたよ。」
「あ、」
「待ってて、今、そっちまわってドア開けるから。」
「ごめんなさい、のこのこ付いて来ちゃって。それに、あんな部屋で待たせてしまって。」
「あんな部屋じゃないよ。きれいに片付いていたし、カーテンの色とかは落ち着く感じだった。でも、セキュリティ面は気になったな。」
エンジンを切り、かおる側にまわった樹はスマートな身のこなしで扉を開いた。
「降りて。」
「でも…、」
「こんな時間に運転したオレに気を使ってくれるなら、早く降りて部屋に向かってくれるとありがたいんだけど。」
「ごめんなさい…」
樹の言葉にかおるは急いで車を降りた。けれど、足が動かない。
そんなかおるの手を握り、樹は囁いた、「信じてくれているなら、大丈夫。」と。
「気にしないで。オレこそ着替えてこなくて、悪かった。でも、そういう格好もいいと思う。可愛いよ。」
「もう、からかってばかり。ところで何を食べたいか決まりました?」
「パンとフルーツ、スクランブルエッグとかでいいかな。」
「気、使ってます?簡単なものばかりリクエストしてますよね。」
「いや、本当に食べたいものを言っただけ。」
ほとんどがコンビニ調達の樹にとって、スーパーは久し振りだった。そして、スーパーがこんなに楽しいと思ったのは初めて。
かおると色々話しながら、物を吟味して選ぶ。かごに入れる瞬間はまるで幸せを、自分に足しているようだった。
樹は願った、同じ気持ちをかおるも抱いてくれるようにと。そして、言葉にしたのだった。
「かおるとの買い物は楽しい。スーパーすらアミューズメントパークに思えるよ。」
「わたしも、いつも買い物は一人だから、こうやって色々話しながら買うのは楽しいです。」
相変わらず肝心な『誰』と話すから楽しいのかが抜けていると思いながらも、かおるの笑顔にそれで十分だと樹は思った。
そのかおるの笑顔が、樹のマンションに近づくにつれなんとなく消え始めた。
「緊張してる?、約束通り何もしないよ。」
「それは、信じています。でも、」
「でも?」
「さっきの入口と駐車場だけでも実は、すごく、気おくれしていたんです。あまりに豪華なマンションだったので。だから、わたしみたいなのが、のこのこ付いて行ってしまっていいのか、今更ながら怖くなってしまって。」
「今からすぐには無理だけど、それが理由で今後うちに来なくなるなら、引っ越すよ。」
「そんな、その、違うんです、そういう意味じゃ、」
「オレはオレだから。マンションだけじゃなくて、他にも色々付随している柵や環境があるけど。」
「…はい。」
「返事するときには、オレだけで判断して。」
樹は本当に自分の心を簡単に見透かしてしまうとかおるは思った。2割、確かにこの間は2割程度だったはず、かおるの心の中にある不安は。
けれど、樹は若林家に係わる人物で、その後ろには切っても切れない血縁者の恭祐がいる…。絶対的権力を持つ王という立場で、かおるを奴隷として扱ってもいい支配者が。いくら樹がプリンセスとして扱ってくれても、支配者の前へ引き立てられたらそれまでだ。所詮張りぼてに過ぎない。
心は本当に10割で表せないとかおるは思った。8割はYes、2割が不安だったはずなのに。
確かにあの時、他にも何かが引っ掛かると思ってはいた。それが今膨れ上がり始めた。しかも、自由自在に姿を変え、恐怖になり、言葉では表せないもっと恐ろしい感情にもなろうとしている。
「着いたよ。」
「あ、」
「待ってて、今、そっちまわってドア開けるから。」
「ごめんなさい、のこのこ付いて来ちゃって。それに、あんな部屋で待たせてしまって。」
「あんな部屋じゃないよ。きれいに片付いていたし、カーテンの色とかは落ち着く感じだった。でも、セキュリティ面は気になったな。」
エンジンを切り、かおる側にまわった樹はスマートな身のこなしで扉を開いた。
「降りて。」
「でも…、」
「こんな時間に運転したオレに気を使ってくれるなら、早く降りて部屋に向かってくれるとありがたいんだけど。」
「ごめんなさい…」
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そんなかおるの手を握り、樹は囁いた、「信じてくれているなら、大丈夫。」と。
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