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41 同じこと*
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建物が立派なら、部屋の中も素晴らしかった。
樹はこんなに広くて豪華な1LDKに一人で住んでいる、いや、住むことができる人なんだとかおるは改めて思った。
備え付けの家具や細部に渡るまで、デザイナーズマンションのモデルルームのようだ。更には、内装だけでなく間接照明の優しい光がこの空間をも特別なものになるよう演出している。
「おいで、そこに座ってて。ワイン、水、お茶、どれがいい?」
「変な選択肢ですね」
「ホントにこれしかないから、しょうがない」
「お茶でお願いします」
お茶が注がれたグラスは切子ガラス製で、覗き込むと優しい光を反射させている。
「綺麗」
「中身はペットボトルだけどね」
「樹さんはワインじゃなくて良かったんですか?」
「オレ、これ、結構好きなんだ」
「覚えておきます」
「ありがとう。もう一つ、覚えておいて。ペットボトルに入っている時も、このグラスに入っている時も中身は同じ飲み物だって」
樹の言葉の意味を考えながら、かおるは小さく頷いた。
「あ、風呂は、どっち派。浸かる、それともシャワー?」
「普段は浸かります。でも、今日は時間も時間だからシャワーで。」
「OK、じゃ、いつでもどうぞ。それとも一緒に使う?」
「え?」
「体、洗ってやろうか。仲を深めるには裸の付き合いが一番だろう」
「もう、からかってばかり。悪い冗談は止めて下さい」
「冗談は言ってないよ。…そう言えば、さっきのリクエストにまだちゃんと答えてなかったな」
「さっき、あ」
静かな部屋の中に、二人の唇が合わさり舌がからむ音が響く。
稚拙ながらもかおるは樹の口づけに応えようとした。送りこまれる樹の唾液を舌を絡めながら取りこみ、時には甘い吐息を漏らしながら。
徐々に体から力が抜けて、当然の流れと言わんばかりにかおるの体は心地良いソファへ沈んでいった。
「楽になっていい?」
質問しながらも答えを待つことなく、樹がシャツのボタンを外し、その下のTシャツを脱ぎ捨てた。かおるの目には、樹の逞しい均整の取れた体が惜しげもなく映り込んだ。
あまりの魅力的な体に、かおるは思わず触れてみたい、包まれてみたいと思った。
どうしてしまったのだろうか。密室にこの距離感で男性と共にいるのに、怖さを感じない。それどころか、男性器を受けいれるであろう場所が疼く。セックスの経験もないのに、性的な欲望を感じていると分かるくらいに。
だから、つい、言ってしまった。
「樹さん、…触れてみてもいいですか?」
「どうして?」
「どうして?…良く分からないけど、この手で樹さんを触ってみたいと思ったんです。駄目ですか?」
「こういう時は、名前だけで、呼んで」
「…いつ、き」
「そう、これからも出来る限りそう呼んで」
「…樹を、…触れてもいいですか」
「かおるに許可なんて必要ないよ。場所と時間さえ弁えてくれれば、いつでもどうぞ」
かおるはおずおずと出した手をそのまま樹へ伸ばした。それだけで精一杯で、手の行き先など全く考えてなかった。
「うっ、いきなりそこ?案外大胆なんだ」
「違うの、手を伸ばしたら、その」
「何も違わないよ。いいよ、オレも同じことするから」
「んんっ」
樹の手がおるの乳房に優しく置かれる。かおる同様本当に触れるだけ。
「わたしが、手、離したら、樹も、離す?」
「さあ、どうしようか。試してみる?」
そう言った樹の挑発的な表情は、かおるにある種の興奮を与えた。
つい、触れる手に力を込めてしまう程。口では離すことを仄めかし、その実指に力を込めて樹の乳首を押し潰した。
「なかなか面白いことをするんだ。」
「あ、だめ」
「何で?同じことだけど。ああ、そうか、同じじゃないな。オレだけ脱いでいるのはおかしい」
樹はかおるから離した手を迷うことなく背中へまわすと器用にブラジャーのホックを外した。かおるに抵抗する余裕を与えない速さで。更にはロングTシャツをそうするのが当たり前のように脱がしてしまう。
確かにこれで同じ。でも、歩は遥かにかおるの方が悪い。樹の視線を浴びるだけで体が火照り始めてしまう。
「隠さないで」
「無理です、恥ずかしいから」
「どうして?」
「そんな、聞かないで下さい。こんな格好」
「こんな格好じゃない、すごくきれいだ。だから恥ずかしがる必要なんてないよ」
樹はそう言うと、かおるが胸を隠そうと組んだ腕を優しく解いた。
建物が立派なら、部屋の中も素晴らしかった。
樹はこんなに広くて豪華な1LDKに一人で住んでいる、いや、住むことができる人なんだとかおるは改めて思った。
備え付けの家具や細部に渡るまで、デザイナーズマンションのモデルルームのようだ。更には、内装だけでなく間接照明の優しい光がこの空間をも特別なものになるよう演出している。
「おいで、そこに座ってて。ワイン、水、お茶、どれがいい?」
「変な選択肢ですね」
「ホントにこれしかないから、しょうがない」
「お茶でお願いします」
お茶が注がれたグラスは切子ガラス製で、覗き込むと優しい光を反射させている。
「綺麗」
「中身はペットボトルだけどね」
「樹さんはワインじゃなくて良かったんですか?」
「オレ、これ、結構好きなんだ」
「覚えておきます」
「ありがとう。もう一つ、覚えておいて。ペットボトルに入っている時も、このグラスに入っている時も中身は同じ飲み物だって」
樹の言葉の意味を考えながら、かおるは小さく頷いた。
「あ、風呂は、どっち派。浸かる、それともシャワー?」
「普段は浸かります。でも、今日は時間も時間だからシャワーで。」
「OK、じゃ、いつでもどうぞ。それとも一緒に使う?」
「え?」
「体、洗ってやろうか。仲を深めるには裸の付き合いが一番だろう」
「もう、からかってばかり。悪い冗談は止めて下さい」
「冗談は言ってないよ。…そう言えば、さっきのリクエストにまだちゃんと答えてなかったな」
「さっき、あ」
静かな部屋の中に、二人の唇が合わさり舌がからむ音が響く。
稚拙ながらもかおるは樹の口づけに応えようとした。送りこまれる樹の唾液を舌を絡めながら取りこみ、時には甘い吐息を漏らしながら。
徐々に体から力が抜けて、当然の流れと言わんばかりにかおるの体は心地良いソファへ沈んでいった。
「楽になっていい?」
質問しながらも答えを待つことなく、樹がシャツのボタンを外し、その下のTシャツを脱ぎ捨てた。かおるの目には、樹の逞しい均整の取れた体が惜しげもなく映り込んだ。
あまりの魅力的な体に、かおるは思わず触れてみたい、包まれてみたいと思った。
どうしてしまったのだろうか。密室にこの距離感で男性と共にいるのに、怖さを感じない。それどころか、男性器を受けいれるであろう場所が疼く。セックスの経験もないのに、性的な欲望を感じていると分かるくらいに。
だから、つい、言ってしまった。
「樹さん、…触れてみてもいいですか?」
「どうして?」
「どうして?…良く分からないけど、この手で樹さんを触ってみたいと思ったんです。駄目ですか?」
「こういう時は、名前だけで、呼んで」
「…いつ、き」
「そう、これからも出来る限りそう呼んで」
「…樹を、…触れてもいいですか」
「かおるに許可なんて必要ないよ。場所と時間さえ弁えてくれれば、いつでもどうぞ」
かおるはおずおずと出した手をそのまま樹へ伸ばした。それだけで精一杯で、手の行き先など全く考えてなかった。
「うっ、いきなりそこ?案外大胆なんだ」
「違うの、手を伸ばしたら、その」
「何も違わないよ。いいよ、オレも同じことするから」
「んんっ」
樹の手がおるの乳房に優しく置かれる。かおる同様本当に触れるだけ。
「わたしが、手、離したら、樹も、離す?」
「さあ、どうしようか。試してみる?」
そう言った樹の挑発的な表情は、かおるにある種の興奮を与えた。
つい、触れる手に力を込めてしまう程。口では離すことを仄めかし、その実指に力を込めて樹の乳首を押し潰した。
「なかなか面白いことをするんだ。」
「あ、だめ」
「何で?同じことだけど。ああ、そうか、同じじゃないな。オレだけ脱いでいるのはおかしい」
樹はかおるから離した手を迷うことなく背中へまわすと器用にブラジャーのホックを外した。かおるに抵抗する余裕を与えない速さで。更にはロングTシャツをそうするのが当たり前のように脱がしてしまう。
確かにこれで同じ。でも、歩は遥かにかおるの方が悪い。樹の視線を浴びるだけで体が火照り始めてしまう。
「隠さないで」
「無理です、恥ずかしいから」
「どうして?」
「そんな、聞かないで下さい。こんな格好」
「こんな格好じゃない、すごくきれいだ。だから恥ずかしがる必要なんてないよ」
樹はそう言うと、かおるが胸を隠そうと組んだ腕を優しく解いた。
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