どうかあなたが

五十嵐

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42 優しさと圧*

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樹の片手が再びかおるの張りのある乳房に置かれた。そう、置くだけ。恥ずかしいけれど、耐えれば貰えると思っていた刺激ではない。

「今の状況は?」
かおるは理解した。樹は状況を一つ一つ説明させようとしていると。質問する声は優しくても、逃したり放棄することは認めないという意思がそこに感じられる。

樹もまた恭祐同様かおるを逃してはくれないということだ。けれど、恭祐とは違い樹からは追い詰められる怖さは感じられない。突き放されるのに、追い詰められる八方塞がりの恐怖は。

質問形式の対話は樹の優しさ。突き放すのではなく寄り添ってくれるということだ。そうすることで、樹はかおるが間違わないよう導いてくれるのだろう。
だから、正直に答えればいい。答えた内容はきっと正しい説明になっていく。

間違えなければ、かおるが知るあの心の底から恐怖を感じる蔑みや失望を含んだ視線を思い出さなくて済む。
優しいだけの時間に包まれ、女である悦びを感じられる刺激を与えて貰えるはずだ。

そう、全てを包み隠さず答えればいい。

「答えられない?」
「いいえ、答えられます。とても、恥ずかしいと。」
「恥ずかしい理由は。」
「…胸が、見えてしまっているから。」
「だったら恥ずかしがる必要はないよ。誰にでも胸はあるんだ。でも、かおるの胸は口付けたくなるくらいきれいだから誇ってもいいと思う。」
「そんなこと言われたら、余計に恥ずかしいです。」
「本当のことだけど。ツンと立ってる乳首も、少し小さめの乳輪もたまらなくきれいで、いやらしい。舐めて舌で転がしてくれって強請ってるみたいだ。」
「そんなこと…、ないです。」
「ホントに?聞いてみていい?」
樹の親指がゆっくりとかおるの立ち上がった乳首を押し潰しながら左右に転がし始めた。その様は聞くというより、愉悦に浸っているように見える。

「比較検討をしよう。この可愛い乳首はどっちを求めてる?さっきみたいにきつく摘まれたい、それともこのまま指で優しく甚振られたい?」

樹はわざと『きつく』と『甚振られる』という言葉をかおるの反応を確認する為に選択肢に付けた。
二者択一のクローズドクエスチョンにしたのは、答えをどちらかに誘導するため。決して、逃げ道を与えないように。ゆっくりと乳首を揉み扱くことで、かおるに指を外してもらうという選択肢は与えないようにしながら。
ぷっくりと立ち上がった乳首を押し込みなぞってはいるが、言葉にしたように甚振ってはいない。ただ、その言葉の響きが必要だっただけだ。

「どっち?」
少しだけ圧を掛け樹が質問する。優しさと圧。これが樹が選んだかおるへの躾け方。恭祐の鞭を振るだけのような恐怖と不安での支配はしたくはない。

「…分からな、いです。分からなくてもいいですか。」
樹が与えてはいなかった逃げ道に、かおるは選択肢をすり抜けて入りこもうとした。けれど、その道は今まで存在してはいけなかったもの。入りたくても、かおるは許可がなければ入れない。

樹は理解する。かおるは本人が知らず知らずの内に、支配される立場を得ようとしていると。『はい』と肯定をすること、伺いを立てるような口調、何より不安に揺れ動く視線。5年、その年月に一体どれくらいのことがあったのだろうか。

「大丈夫、分からなくても。分からない時は聞けばいい。一緒に考えよう。だから何が分からないか教えて。」
「あの、今のも、ピリピリするような感じがして、その、」
「うん?」
「…止めてもらいたくは、ない、けど、さっきも、ピリピリしたところの下がじんじんして、だけど、もう思い出せないから、比べられなくて、」
愛撫から得る刺激にかおるは上手く言葉が繋げられない。

「今のを、止めて欲しくないんだ。どうしてか具体的に教えて。」
聞かなくても分かることを樹は敢えてかおるに答えさせようと、ゆっくりと動かしていた指を一度離した。

「あっ…」
「今、何を思った?」
「…もっと、って、止めて欲しくないって、折角、…気持ちいいのに、」
「乳首が気持ち良くなって、もっと刺激して欲しかったんだね。見られて恥ずかしいのに。」
「…はい。」

素直に答えるかおるに樹は迷う、次の一手をどう打つべきか。恥ずかしいのに感じるなんてと責めれば、涙を目に溜めながら許しを請うかおるが見れるだろう。でも、それは樹がかおるにすべき躾ではない。

樹はやはり優しさで掘り下げて行こうと思った。
「さっき言った体が変になるっていうのは、気持ち良いことだった?」
「…違います。」
「じゃあもう一度、乳首をきつく摘んであげるから、どういう状態になるか教えて。」
「あっ、ん、痛い、」
「痛いだけ?」
「ううん、じんじんして、でも、ああん、」
「かおる、どこがじんじんしてるかちゃんと言って。でないと、止めるよ。」
「あん、あ、ち、乳首。痛いのに、ちくちくしてるところが、刺すように気持ちいい、です。」
「じゃあ、本題へ移ろう。変になっているのは体のどこ?この可愛い乳首が付いている、このたわわないやらしい膨らみ?」

樹は乳首を摘むのを止め、掌でかおるの乳房を揉みしだき始めた。掌中から溢れる乳房は強い刺激を受け形を変える。

「あっ、うう、あん、」
「ちゃんと答えないと止めるよ。」
「違うの、変なところは、ああん、んっ、大切なところが、」
「大切なところって、どこ?教えてくれれば、なんとかしてあげられるかもしれない。さあ、答えて。」

かおるが大切なところをどの言葉で置き換えてくるのか、樹は楽しみからか妖艶な笑みを浮かべずにはいられない。

二人で答えを考えようと言いながらも、出題者である樹は正解を当然知っている。変になるのは、疼くから。疼いた先に、そこが満たされれば快楽があることを経験のないかおるは知らない。だから、上手く伝えられないでいるのだ。

そして、その大切なところがもっと疼くよう樹は乳房の揉み方を変えた。4本の指は乳房を下から持ち上げるようにし、親指は乳首の上の乗せるように置きながら揉む。時折、親指の腹と人差し指を近づけて挟み扱きあげることも怠らないようにしながら。

「時間だ、答えて、かおる。」
優しさと圧。口調は優しくても、答えなくてはいけないと、もうその時間だと告げればかおるは目に涙を溜めながら観念したように口を開いた。

「男性を、受け入れる、あっ、あん、ところ、です。」
「男性?」
「…男性器、を、」
「男性器って?」
かおるの目から溜まっていた涙がこぼれ落ちた。快楽の涙なのか、質問に答えられない自分を恥じてなのかは分からないが。

「泣かないで。答えられなくても怒りはしない。これから正解を教えてあげるから、覚えて言えるようになればいい。」
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