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42 プロセス*
*
「このまま見ていたい」
見られているだけなのに、樹からの行為で興奮した時と同じ何かがかおるに再びこみ上げてきた。今はもう手が離れたというのに、胸の先端が激しい興奮でこわばる。
「もう、止めて下さい」
「止めようがない、何もしていないんだから。ただ、見えているだけ。約束は守っているつもりだけど、何もしないっていう」
「さっきは、触りました、胸」
「俺にかおるがしたことと同じことをしただけ。かおるがする程度のことなら、問題ないと思って」
「…同じこと」
「そ、同じこと」
樹の声と表情にかおるの思考力がおかしくなる。危険な罠に仕掛けられた餌は熟れてとても甘い果実。正常な判断力があれば、何の為にそんな餌が置かれたか分かるはずなのに。
かおるは自ら簡単に罠に掛かることを選んだ。
さっきは無意識だった手、けれども今度は確かな意思と共に樹へと伸ばした。今、最も触れて欲しい場所へ。
「うっ、直球だね、いいの、ここ、許可してもらったって理解するけど」
「意地悪、言わないで下さい」
「意地悪じゃないよ、大切なことだから」
かおるが小さく頷くと、樹は尖った胸の先端をきつく摘みあげた。
「んん、あっ」
「今よりもっと強い刺激になると思うけど、ホントに大丈夫?」
「分かりません、大丈夫かどうかは、でも」
「でも?」
「嫌じゃないです、触れられてみたい」
樹は摘む指に更に力を込めた。承諾の意を表すように。
「ああん、痛いです」
「これは痛いんじゃない。気持ち良くなる為に必要なことだよ。この先には気持ち良いことが沢山待ってるから。ほら」
「ううん、あ」
「返事は?」
「あっ、はい」
恭祐はかおるを言葉と態度で躾けた。威圧と恐怖で、必ず従うように。
それに対し、樹は優しさと快楽で躾けようと思った。男を知らないかおるに、未知の、それも強い快楽を与えることで。
かおると言う旅人の太陽になりたかった。北風ではなく。
「まだ、痛い?」
「分からないです、ただ、おかしいんです、体が」
「オレに分かるように説明して」
「説明なんて、無理です」
「出来るよ」
「…」
説明を求められたのに、答えられないなんてことは許されなかった、恭祐の前では。そんなことをしてしまえば蔑んだ目で見られる。勉強不足だと、職務怠慢だと。樹は恭祐ではない。現に話口調も態度も違う。でも、かおるには見えてしまう、樹を通して恭祐が。
説明しなくては。何かは、言わなくては。
「あの」
「じゃあ、どうおかしいか、ゆっくりで良いから考えて、それを教えて。オレがすることにかおるがどう反応するのか、どうされたいのか。二人で答えを探そう」
「二人で?」
「そう、二人で」
自分は恭祐のようにはなれない、違う、なりたくないと樹は思った。
高圧的な態度、物言いで接すればかおるは緊張と恐怖で従う。そう躾けられてしまっている。恐らく分からないなりに体の反応を説明するだろう。しかも、はっきりと答えられない部分が多い為に不安に駆られながら。恭祐ならば、そこを突いて更に甚振り楽しむだろう。涙が溢れる落ちる寸前まで追い詰めながら。
でも、それは違う。樹が求めるものではない。
樹は与えたいのだ。体と体が触れ合う快楽を。だから説明を要求した。快楽を得るまでのプロセスを口にすることで、どうしたら更なる悦びを受けることが出来るか知らしめるために。
「じゃあ、始めようか。二人で」
「…はい」
「このまま見ていたい」
見られているだけなのに、樹からの行為で興奮した時と同じ何かがかおるに再びこみ上げてきた。今はもう手が離れたというのに、胸の先端が激しい興奮でこわばる。
「もう、止めて下さい」
「止めようがない、何もしていないんだから。ただ、見えているだけ。約束は守っているつもりだけど、何もしないっていう」
「さっきは、触りました、胸」
「俺にかおるがしたことと同じことをしただけ。かおるがする程度のことなら、問題ないと思って」
「…同じこと」
「そ、同じこと」
樹の声と表情にかおるの思考力がおかしくなる。危険な罠に仕掛けられた餌は熟れてとても甘い果実。正常な判断力があれば、何の為にそんな餌が置かれたか分かるはずなのに。
かおるは自ら簡単に罠に掛かることを選んだ。
さっきは無意識だった手、けれども今度は確かな意思と共に樹へと伸ばした。今、最も触れて欲しい場所へ。
「うっ、直球だね、いいの、ここ、許可してもらったって理解するけど」
「意地悪、言わないで下さい」
「意地悪じゃないよ、大切なことだから」
かおるが小さく頷くと、樹は尖った胸の先端をきつく摘みあげた。
「んん、あっ」
「今よりもっと強い刺激になると思うけど、ホントに大丈夫?」
「分かりません、大丈夫かどうかは、でも」
「でも?」
「嫌じゃないです、触れられてみたい」
樹は摘む指に更に力を込めた。承諾の意を表すように。
「ああん、痛いです」
「これは痛いんじゃない。気持ち良くなる為に必要なことだよ。この先には気持ち良いことが沢山待ってるから。ほら」
「ううん、あ」
「返事は?」
「あっ、はい」
恭祐はかおるを言葉と態度で躾けた。威圧と恐怖で、必ず従うように。
それに対し、樹は優しさと快楽で躾けようと思った。男を知らないかおるに、未知の、それも強い快楽を与えることで。
かおると言う旅人の太陽になりたかった。北風ではなく。
「まだ、痛い?」
「分からないです、ただ、おかしいんです、体が」
「オレに分かるように説明して」
「説明なんて、無理です」
「出来るよ」
「…」
説明を求められたのに、答えられないなんてことは許されなかった、恭祐の前では。そんなことをしてしまえば蔑んだ目で見られる。勉強不足だと、職務怠慢だと。樹は恭祐ではない。現に話口調も態度も違う。でも、かおるには見えてしまう、樹を通して恭祐が。
説明しなくては。何かは、言わなくては。
「あの」
「じゃあ、どうおかしいか、ゆっくりで良いから考えて、それを教えて。オレがすることにかおるがどう反応するのか、どうされたいのか。二人で答えを探そう」
「二人で?」
「そう、二人で」
自分は恭祐のようにはなれない、違う、なりたくないと樹は思った。
高圧的な態度、物言いで接すればかおるは緊張と恐怖で従う。そう躾けられてしまっている。恐らく分からないなりに体の反応を説明するだろう。しかも、はっきりと答えられない部分が多い為に不安に駆られながら。恭祐ならば、そこを突いて更に甚振り楽しむだろう。涙が溢れる落ちる寸前まで追い詰めながら。
でも、それは違う。樹が求めるものではない。
樹は与えたいのだ。体と体が触れ合う快楽を。だから説明を要求した。快楽を得るまでのプロセスを口にすることで、どうしたら更なる悦びを受けることが出来るか知らしめるために。
「じゃあ、始めようか。二人で」
「…はい」
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