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71 選択
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人間はどんな些細なことであろうと常に選択をしながら生きていかなくてはいけないと言われたことがある。選択は義務であり、どんなものでも放棄できない。何故なら放棄するということも選択の一つだからだ。
目の前にある扉を開くのか、素通りするのかですら選択だ。
そして、選択には必ずそれに呼応する未来が付いてくる。残念なのは、どんな未来が付いてくるのか目の前にある選択肢には付いていないこと。誰も、選らばなかったものにはどんな未来があったのか、一生知ることは出来ない。
仮に知れたところで、分岐点には戻れない。だから、捨てた選択肢の先にあった未来を思うこと程馬鹿げたことはないと恭祐は分かっている。
呼応する未来は、物事に応じて判明するまでに時間が掛かる場合もあれば、直ぐのことも。
だから気付かぬ内に間違えた選択を繰り返すことがある。恭祐にとっての良い例が女だろう。その時は良くても、時間が経てば失敗だと思われるものばかりだった。
しかし、失敗は次への糧。繰り返すうちに、理解する。自分にとって有益な選択はどういうものなのかを。
恭祐は、いつしか愛情という名に化けた己の肉欲への対価を金とプライドで満たせる女を選び始めた。そうしておけば、後腐れがないと知ったからだ。
仕事では何度も間違いを繰り返すことは出来ない。その為に、様々な情報を頭に叩き込み、瞬時に点と点を結び確かな線を導きだす能力を身に付けた。得る情報は最終的に必ず自分で精査する。矛盾、齟齬、過信、どんなに小さなものでも、後に大きくなり足元を掬われることに繋がりかねない。
その姿勢に、周囲も感化されていく。もたらされる情報は徐々に初めから高い信頼性のものへと変わっていく。加えて、恭祐は重要事項への意思決定を下すときは、自信ある表情を浮かべ続けた。周囲も自信のある者の選択が最善だと勝手に思い込む。繰り返されることで、恭祐は今の確固たる立場を形成して行った。
日本に戻ってからのどの選択も、最善もしくは次善の策だったと恭祐は今まで思っていた。選らばなかった選択肢の先に何があったのか考えたことはなかったのだから。
なのに、今、叶わないことを願っている。馬鹿げたことだと分かっているというのに、五年前に違う選択をしていたらどうなっていたのか知りたかった。
知ったところで、恭祐自身が理解しているように五年前に戻って別の選択をするなど夢物語。それでも、ほんの少しでいい、数時間前へ戻して欲しいと願ってしまった。
違う選択をしていたらどうなっていたのか。選んだものの未来しか知ることが出来ないから、人生は厳しく面白いというのに。
今、目の前にある選択肢がポップアップとして出てくるなら
『ここで止める』
『このまま続ける』
この二つ。どちらを選んでも、訪れる未来は似たようなものだ。止めたところで、時間がくれば何かしらの動作はしなくてはいけない。
しかし、その間に何もかもを覆すような特別な選択肢がうまれるのではないかと願う自分がいることに恭祐は呆れずにはいられなかった。
密室に二人。選択肢を持つであろうもう一人の人間は放棄を選んだと伝わってくる以上、この先の決定権は恭祐にある。否、恭祐がしなくては先へ進まない。
ー事実を冷静に見て、判断しろー
かおるに何度となく言った言葉を自分へ返す。
『このままの状況で出ていけと言う』そんな選択肢は残っているのだろうか…。言ったところで、これは特別な選択肢ではない。今までの恭祐しか知らないかおるにとって、当然の言葉。恭祐が考える最大限の優しさだとしても。
疾うに、飛べないようにするという選択をしたはずなのに。やはり、最後の瞬間まで選択肢は付いて回るのだと恭祐は実感した。
恭祐はゆっくりと静かに息を吐き出し、躊躇することなくかおるから上掛けを取り去った。
そこには何も考えられなかったであろうかおるが、下着すら身に付けず蹲っていた。
優しい明かりに照らされたかおるの素肌は恭祐に再び吸い付いて欲しいと言っているようだ。その瞬間、恭祐が持っていた選択肢が即座に全て消え、次の選択肢が現れた。それはたった一つ。要求に応えろというもの。
恭祐は己の欲望が囁いた要求をかおるからのものだとし、それに従った。何度も、音を立てながら、ゆっくりと唇を震える体にそわす。
考えていたこととは違うことをしているのは分かっている、けれど止められないものまた事実。そもそも欲望を囁く本能には止めるなどという理性は無縁だ。
ただ、時折かおるから漏れる吐息を聞き、更なる欲望を高めていくだけ。
このまま腰を掴んで後ろから突くのもいいだろうと思えるだけだった。
目の前にある扉を開くのか、素通りするのかですら選択だ。
そして、選択には必ずそれに呼応する未来が付いてくる。残念なのは、どんな未来が付いてくるのか目の前にある選択肢には付いていないこと。誰も、選らばなかったものにはどんな未来があったのか、一生知ることは出来ない。
仮に知れたところで、分岐点には戻れない。だから、捨てた選択肢の先にあった未来を思うこと程馬鹿げたことはないと恭祐は分かっている。
呼応する未来は、物事に応じて判明するまでに時間が掛かる場合もあれば、直ぐのことも。
だから気付かぬ内に間違えた選択を繰り返すことがある。恭祐にとっての良い例が女だろう。その時は良くても、時間が経てば失敗だと思われるものばかりだった。
しかし、失敗は次への糧。繰り返すうちに、理解する。自分にとって有益な選択はどういうものなのかを。
恭祐は、いつしか愛情という名に化けた己の肉欲への対価を金とプライドで満たせる女を選び始めた。そうしておけば、後腐れがないと知ったからだ。
仕事では何度も間違いを繰り返すことは出来ない。その為に、様々な情報を頭に叩き込み、瞬時に点と点を結び確かな線を導きだす能力を身に付けた。得る情報は最終的に必ず自分で精査する。矛盾、齟齬、過信、どんなに小さなものでも、後に大きくなり足元を掬われることに繋がりかねない。
その姿勢に、周囲も感化されていく。もたらされる情報は徐々に初めから高い信頼性のものへと変わっていく。加えて、恭祐は重要事項への意思決定を下すときは、自信ある表情を浮かべ続けた。周囲も自信のある者の選択が最善だと勝手に思い込む。繰り返されることで、恭祐は今の確固たる立場を形成して行った。
日本に戻ってからのどの選択も、最善もしくは次善の策だったと恭祐は今まで思っていた。選らばなかった選択肢の先に何があったのか考えたことはなかったのだから。
なのに、今、叶わないことを願っている。馬鹿げたことだと分かっているというのに、五年前に違う選択をしていたらどうなっていたのか知りたかった。
知ったところで、恭祐自身が理解しているように五年前に戻って別の選択をするなど夢物語。それでも、ほんの少しでいい、数時間前へ戻して欲しいと願ってしまった。
違う選択をしていたらどうなっていたのか。選んだものの未来しか知ることが出来ないから、人生は厳しく面白いというのに。
今、目の前にある選択肢がポップアップとして出てくるなら
『ここで止める』
『このまま続ける』
この二つ。どちらを選んでも、訪れる未来は似たようなものだ。止めたところで、時間がくれば何かしらの動作はしなくてはいけない。
しかし、その間に何もかもを覆すような特別な選択肢がうまれるのではないかと願う自分がいることに恭祐は呆れずにはいられなかった。
密室に二人。選択肢を持つであろうもう一人の人間は放棄を選んだと伝わってくる以上、この先の決定権は恭祐にある。否、恭祐がしなくては先へ進まない。
ー事実を冷静に見て、判断しろー
かおるに何度となく言った言葉を自分へ返す。
『このままの状況で出ていけと言う』そんな選択肢は残っているのだろうか…。言ったところで、これは特別な選択肢ではない。今までの恭祐しか知らないかおるにとって、当然の言葉。恭祐が考える最大限の優しさだとしても。
疾うに、飛べないようにするという選択をしたはずなのに。やはり、最後の瞬間まで選択肢は付いて回るのだと恭祐は実感した。
恭祐はゆっくりと静かに息を吐き出し、躊躇することなくかおるから上掛けを取り去った。
そこには何も考えられなかったであろうかおるが、下着すら身に付けず蹲っていた。
優しい明かりに照らされたかおるの素肌は恭祐に再び吸い付いて欲しいと言っているようだ。その瞬間、恭祐が持っていた選択肢が即座に全て消え、次の選択肢が現れた。それはたった一つ。要求に応えろというもの。
恭祐は己の欲望が囁いた要求をかおるからのものだとし、それに従った。何度も、音を立てながら、ゆっくりと唇を震える体にそわす。
考えていたこととは違うことをしているのは分かっている、けれど止められないものまた事実。そもそも欲望を囁く本能には止めるなどという理性は無縁だ。
ただ、時折かおるから漏れる吐息を聞き、更なる欲望を高めていくだけ。
このまま腰を掴んで後ろから突くのもいいだろうと思えるだけだった。
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