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88 従う
どうして頷く以外の選択肢を思い浮かべることが出来ないのか。頷いたものの、かおるには自分の行動が理解できなかった。自ら光に煌々と照らされるなか、服を脱ぐなど。しかも恭祐を楽しませるようにとはどうすればいいのか。
けれど、正面から恭祐に視線を合わされたかおるに出来るのは頷くことだけ。今まで同様従うことが最善なのは間違いない。
否、かおるは最善を取ったのではなく、恐怖を排除したのだ。拒否をしようがものなら、かおるの存在自体が恭祐の世界から拒絶されてしまうのではないかという恐怖を。だから、頷いた、何を求められていようと。
タクシーを降りる時のような手の震えはないものの、今度は縺れる。成すべきことを理解し、どうすればボタンが外れるかなど知っているのに。小さなボタンをボタンホールに潜らせるなんて造作なく出来ることだ。本来なら。
だというのに、そんな簡単なことが出来ない。これでは恭祐を焦れさせてしまう恐れがある。
焦るかおるはボタンを外す為に、恭祐から視線を外そうとした。恭祐の目を見続けたままでは、手は言うことをきいてくれそうにない。
そして目を逸らそうとした瞬間だった、刹那、恭祐は捕食者の笑みを浮かべかおるに言葉を掛けたのだ。
「そんなにもたつくならば、力任せに引きちぎってやろう」
「ごめんなさい。自分で出来ます。明るい所で、誰かの前で脱ぐのに緊張してしまって」
「誰かの?」
「あっ、あの、恭祐さんの前で」
「慣れないと。これからかおるは何度でもオレの前で服を脱いで乞うのだから。オレが欲しいと、そして胸を弾ませながら腰を振るんだから」
「…」
「返事は?」
「はい」
かおるは再び肯定の意を恭祐へ返していた。言葉の意味を理解しながら。
直接的な物言いでなくても、かおるにも十分以上に理解出来る。ブラジャーから解放された胸が揺れる程腰を振るということが何を意味するかは。何がこの密室でかおるに待っているかは。
そこへ向かってボタンを外すことは、かおるの意志。恭祐と体を重ねるという。
今までのされるがままから、かおるが望み、かおるが行動するということだ。
「手が震えている。腰を振れることが嬉しくて興奮のあまり武者震いでもしているのか。それとも」
「緊張してしまって。恭祐さんにわたしの体なんかを晒すと思うと…」
怖くて震えがきてしまったなんてことは言えないと、かおるは咄嗟に理由をでっち上げた。
「緊張?慣れないと。今夜は慣れるようたくさんのことを教えよう」
そう言うと、恭祐はボタンを外そうとしていた右手を掴み口元に寄せた。そして、指先から甲にかけて何度もリップ音をさせながらキスを落とす。
恭祐の艶かしい仕草に当てられながら、かおるはまた子宮の奥に疼きを感じた。それを知っているかのように、恭祐は次にかおるの指を唇で挟み、仕舞いには舌で舐め始めた。
「ボタン、外さないと…」
しかし、恭祐はかおるのもたつく手を許してくれなかった。勢い良くブラジャーごとシャツを上に捲り上げ形の良い胸を露にしたのだった。
「脱ぐだけじゃなく、楽しませるようにとも言ったはずだが」
経験値が全く違うかおるが恭祐を楽しませることなど出来るはずがない。そもそも何が楽しいのか思いつかないのに。
かおるは気付かぬうちにどうしたら恭祐が満足するのか問い掛けていた。
「恭祐さんが満足する方法を教えて下さい」
恥ずかしさから目を潤ませ、恭祐の命なら何でも従うと言ってしまったのだ。
それは、恭祐のサディスティックな心をまずは満足させた。
けれど、正面から恭祐に視線を合わされたかおるに出来るのは頷くことだけ。今まで同様従うことが最善なのは間違いない。
否、かおるは最善を取ったのではなく、恐怖を排除したのだ。拒否をしようがものなら、かおるの存在自体が恭祐の世界から拒絶されてしまうのではないかという恐怖を。だから、頷いた、何を求められていようと。
タクシーを降りる時のような手の震えはないものの、今度は縺れる。成すべきことを理解し、どうすればボタンが外れるかなど知っているのに。小さなボタンをボタンホールに潜らせるなんて造作なく出来ることだ。本来なら。
だというのに、そんな簡単なことが出来ない。これでは恭祐を焦れさせてしまう恐れがある。
焦るかおるはボタンを外す為に、恭祐から視線を外そうとした。恭祐の目を見続けたままでは、手は言うことをきいてくれそうにない。
そして目を逸らそうとした瞬間だった、刹那、恭祐は捕食者の笑みを浮かべかおるに言葉を掛けたのだ。
「そんなにもたつくならば、力任せに引きちぎってやろう」
「ごめんなさい。自分で出来ます。明るい所で、誰かの前で脱ぐのに緊張してしまって」
「誰かの?」
「あっ、あの、恭祐さんの前で」
「慣れないと。これからかおるは何度でもオレの前で服を脱いで乞うのだから。オレが欲しいと、そして胸を弾ませながら腰を振るんだから」
「…」
「返事は?」
「はい」
かおるは再び肯定の意を恭祐へ返していた。言葉の意味を理解しながら。
直接的な物言いでなくても、かおるにも十分以上に理解出来る。ブラジャーから解放された胸が揺れる程腰を振るということが何を意味するかは。何がこの密室でかおるに待っているかは。
そこへ向かってボタンを外すことは、かおるの意志。恭祐と体を重ねるという。
今までのされるがままから、かおるが望み、かおるが行動するということだ。
「手が震えている。腰を振れることが嬉しくて興奮のあまり武者震いでもしているのか。それとも」
「緊張してしまって。恭祐さんにわたしの体なんかを晒すと思うと…」
怖くて震えがきてしまったなんてことは言えないと、かおるは咄嗟に理由をでっち上げた。
「緊張?慣れないと。今夜は慣れるようたくさんのことを教えよう」
そう言うと、恭祐はボタンを外そうとしていた右手を掴み口元に寄せた。そして、指先から甲にかけて何度もリップ音をさせながらキスを落とす。
恭祐の艶かしい仕草に当てられながら、かおるはまた子宮の奥に疼きを感じた。それを知っているかのように、恭祐は次にかおるの指を唇で挟み、仕舞いには舌で舐め始めた。
「ボタン、外さないと…」
しかし、恭祐はかおるのもたつく手を許してくれなかった。勢い良くブラジャーごとシャツを上に捲り上げ形の良い胸を露にしたのだった。
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かおるは気付かぬうちにどうしたら恭祐が満足するのか問い掛けていた。
「恭祐さんが満足する方法を教えて下さい」
恥ずかしさから目を潤ませ、恭祐の命なら何でも従うと言ってしまったのだ。
それは、恭祐のサディスティックな心をまずは満足させた。
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