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第二章 クリスタルエレメント
第17話 支配者たちの目論見
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『でも、テレビで流される情報が全部嘘だというわけではないのでしょう?』
顔に垂れた髪を手でかき上げ、紗奈が質問した。
『もちろん、すべてが嘘だというわけではないよ』
ゆっくりと瞬きをして、得意そうにクレアは答えた。
『でもそれ以前に、何を流していいのか、何を流してはいけないのかっていうのがまず操作されているからね』
『だってそれは、残酷な映像とか子供が観たらいけないようなものは、当然規制しないといけないでしょう?』
『ううん。そういうのじゃなくて、国民を洗脳する上で支障をきたすような思想や考え方とか、それらを擁護するような内容についても、メディアで流される前に操作されちゃってるんだよ』
「支障をきたすような思想・・・」とつぶやくと、紗奈は背もたれに寄り掛かった。そして少し考え込んでから、また質問した。
『そのマインドコントロールするのに支障をきたす思想や考え方って、たとえばどういうものなの?』
『たとえば、人類の起源や人類の持っている本当の能力について、だよ』
クレアはそう答えると、左腕にはめた腕輪の位置を直した。それはクリスに上げたものと同じ銀のミラコルンだった。
『人類が持つ本来の能力を開花させれば、わたしたちのように飛翔することもできるようになるし、時間や空間もコントロールできるようになってある程度次元間の移動も自由にできるようになるよ。それに、マージア・・・マホウだっけ?それも、当たり前のように使えるようになるよ』
『そうなの?』
驚くクリスに、クレアはうなずき返した。
『それなら、なんで人類はその能力を使えるようにしないの?』
『だからぁ』と言って、呆れるようにクレアはため息をついた。
『そういった人間の持つ能力、その可能性に人類が気づいてしまったら、闇の勢力たちは人類を自分たちの支配下に置いておくことができなくなっちゃうからだよ。自分は状況の奴隷であり、何もできない無力な存在だと信じ込ませておくことによって、闇の勢力は人類を自分たちの思い通りにコントロールすることができているわけ』
『あ、そういうことか。それがマインドコントロールっていうことなんだね』
ようやくクリスが理解すると、クレアはやれやれというように首を振った。
『ということは、マインドコントロールされなかったらぼくたちも自由に空を飛んだり、魔法が使えるようになったりするっていうこと?』
『うん、そうだよ。それに、クリスたちはもうこうしてこの地底世界へ来ることができているでしょう?それってもう、マインドコントロールから解放され始めてる証拠だよ』
『そうなの?』
『うん。わたしたちの存在やこの地底世界のことについても、地表世界では情報が操作されてしまっているの。だから、洗脳されている状態ではわたしたちの存在に気づくこともできないし、ましてや地底世界へ足を踏み入れることだってかなわない。
つまり、わたしたちの存在を認識できて地底世界へ来ることのできたクリスたちは、もう洗脳から解かれてるってことだよ』
その話を聞いて、クリスはその日“お城”で軽トラックに乗った近所のおじさんが、クレアやラマルの存在に気づかなかったことを思い出した。
『それじゃあ、ぼくたちはもう魔法が使えるようになってるってこと?』
クリスが興奮を抑えきれずに身を乗り出すと、クレアは首を振った。
『マージアが使えるようになるには、クリスが自分で自分にかけてしまってるリミットをもう少し広げる必要があるかもね』
『リミットを広げる?』
『うん。今はまだクリス自身がそれをするのが不可能だと思っているってこと。でもこの世界に順応していくことでその観念も徐々に取り除かれていくから、そのうちできるようになるよ』
『ふーん。そうなんだ』
不可能だと思っているかといえば、まあたしかにそうかもしれないとクリスは思った。
『でも』と、紗奈が口を挟んだ。
『なんで闇の勢力は、地底世界やクレアたちのような存在を地上の人間に知られたくないと思っているの?』
『だって、わたしたちの存在に人類が気づいたら、今まで闇の勢力がだましてきた多くのことが、嘘だったとばれてしまうもの。他の星の生命体や、宇宙の真実に関してもそう。それらの存在や可能性を人類が探求し始めたり、他の惑星の存在とコンタクトを取るようになったりしてしまうと、今まで闇の勢力が信じ込ませてきた嘘がばれて人類が目覚め、マインドコントロールが解かれてしまうからね』
『何としてでも、闇の勢力は人類を支配しておきたいのね』
紗奈の言葉にクレアはうなずき、さらに続けた。
『それに、テレビからは焦燥感や不安感、無力感を起こさせたり、意欲や思考を低下させたりする信号が常に送り出されているんだよ。だから、テレビをずっと観ていると感情表現が乏しくなって、現実創造が困難になったり、願望や希望が抱けなくなったりしてしまうの。まぁ、それこそが支配者たちの目論見なんだけどね』
顔に垂れた髪を手でかき上げ、紗奈が質問した。
『もちろん、すべてが嘘だというわけではないよ』
ゆっくりと瞬きをして、得意そうにクレアは答えた。
『でもそれ以前に、何を流していいのか、何を流してはいけないのかっていうのがまず操作されているからね』
『だってそれは、残酷な映像とか子供が観たらいけないようなものは、当然規制しないといけないでしょう?』
『ううん。そういうのじゃなくて、国民を洗脳する上で支障をきたすような思想や考え方とか、それらを擁護するような内容についても、メディアで流される前に操作されちゃってるんだよ』
「支障をきたすような思想・・・」とつぶやくと、紗奈は背もたれに寄り掛かった。そして少し考え込んでから、また質問した。
『そのマインドコントロールするのに支障をきたす思想や考え方って、たとえばどういうものなの?』
『たとえば、人類の起源や人類の持っている本当の能力について、だよ』
クレアはそう答えると、左腕にはめた腕輪の位置を直した。それはクリスに上げたものと同じ銀のミラコルンだった。
『人類が持つ本来の能力を開花させれば、わたしたちのように飛翔することもできるようになるし、時間や空間もコントロールできるようになってある程度次元間の移動も自由にできるようになるよ。それに、マージア・・・マホウだっけ?それも、当たり前のように使えるようになるよ』
『そうなの?』
驚くクリスに、クレアはうなずき返した。
『それなら、なんで人類はその能力を使えるようにしないの?』
『だからぁ』と言って、呆れるようにクレアはため息をついた。
『そういった人間の持つ能力、その可能性に人類が気づいてしまったら、闇の勢力たちは人類を自分たちの支配下に置いておくことができなくなっちゃうからだよ。自分は状況の奴隷であり、何もできない無力な存在だと信じ込ませておくことによって、闇の勢力は人類を自分たちの思い通りにコントロールすることができているわけ』
『あ、そういうことか。それがマインドコントロールっていうことなんだね』
ようやくクリスが理解すると、クレアはやれやれというように首を振った。
『ということは、マインドコントロールされなかったらぼくたちも自由に空を飛んだり、魔法が使えるようになったりするっていうこと?』
『うん、そうだよ。それに、クリスたちはもうこうしてこの地底世界へ来ることができているでしょう?それってもう、マインドコントロールから解放され始めてる証拠だよ』
『そうなの?』
『うん。わたしたちの存在やこの地底世界のことについても、地表世界では情報が操作されてしまっているの。だから、洗脳されている状態ではわたしたちの存在に気づくこともできないし、ましてや地底世界へ足を踏み入れることだってかなわない。
つまり、わたしたちの存在を認識できて地底世界へ来ることのできたクリスたちは、もう洗脳から解かれてるってことだよ』
その話を聞いて、クリスはその日“お城”で軽トラックに乗った近所のおじさんが、クレアやラマルの存在に気づかなかったことを思い出した。
『それじゃあ、ぼくたちはもう魔法が使えるようになってるってこと?』
クリスが興奮を抑えきれずに身を乗り出すと、クレアは首を振った。
『マージアが使えるようになるには、クリスが自分で自分にかけてしまってるリミットをもう少し広げる必要があるかもね』
『リミットを広げる?』
『うん。今はまだクリス自身がそれをするのが不可能だと思っているってこと。でもこの世界に順応していくことでその観念も徐々に取り除かれていくから、そのうちできるようになるよ』
『ふーん。そうなんだ』
不可能だと思っているかといえば、まあたしかにそうかもしれないとクリスは思った。
『でも』と、紗奈が口を挟んだ。
『なんで闇の勢力は、地底世界やクレアたちのような存在を地上の人間に知られたくないと思っているの?』
『だって、わたしたちの存在に人類が気づいたら、今まで闇の勢力がだましてきた多くのことが、嘘だったとばれてしまうもの。他の星の生命体や、宇宙の真実に関してもそう。それらの存在や可能性を人類が探求し始めたり、他の惑星の存在とコンタクトを取るようになったりしてしまうと、今まで闇の勢力が信じ込ませてきた嘘がばれて人類が目覚め、マインドコントロールが解かれてしまうからね』
『何としてでも、闇の勢力は人類を支配しておきたいのね』
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