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第三章 悪魔の儀式
第52話 田川先生の正体
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続々と皆ステージに下りてきた。
ラーナミルチーム、クレアチームともに全員揃っている。一体どうやって合流し、どうしてここが分かったのか。それについて、トルメイが説明した。
まず、転移装置がランダムになっていても機能はしているので、オーラムルスが使えなくてもオーメンさえ覚えていれば目的の場所へ辿り着くことは可能だった。そして、フィオナたち一行は、何度も行き来した都市間のオーメンや主要な場所のオーメンは大体記憶していた。
それで皆がそれぞれ考えたことは、ネブラリウムの大聖堂へ戻ることだった。何かあれば、皆そこへ集まると予想したからだ。
そしてその通り、クリスたちを除く全員が続々とそこに集結した。
パオリーナとエランドラは、シンダの住居地区でクリスたちとはぐれた時点でネブラリウムへと戻った。つまり、地下のトンネル“クニムテール”に転移したクリスたちの前に現れたエランドラとパオリーナは、すでに偽物だったということになる。
ネブラリウムへ到着したパオリーナとエランドラは、クリスたちとはぐれたことを説明し、アダマスカルに乗って皆でソエンゾ山までやって来たということだ。
『でも、どうしてここが分かったんですか?』
クリスの質問に、トルメイは首をひねった。
『それが、アダマスカルのマップ上でソエンゾ山からひとつだけオーラムルスの信号が確認できたんです。そして来てみたところ、ここへとつながる転移装置を見つけたというわけです』
クリスは、自分のオーラムルスを確認した。しかし、相変わらずオーラムルスは機能していなかった。
同様に紗奈や優里、それにベベのオーラムルスもやはり機能していなかった。
「田川先生がはめてた指輪じゃない?」
優里が思いついたように言った。
田川先生がはめていたあの大きなダイヤモンドがついた指輪。あれはオーラムルスよりも性能がいいと言っていた。
たしかにそうかも、とクリスも紗奈も納得した。闇の勢力の道具だろうか?とにかく、不幸中の幸いだった。
パオリーナとエランドラに扮していたのは、ダルインミエルという悪魔だろうと優里が言った。
対象の人間に見た目から持っている能力まで、ほぼすべてなり替わることができるという。クリスたちがはぐれたことをいいことに、田川先生が召喚したんじゃないかと優里は言った。
それと、スタン。あれは、闇のドラゴンだとラーナミルが説明した。闇の勢力が唯一契約できるドラゴンだ。契約するにあたって相当の生命力が消費されるので、並大抵の人間では契約できない。
つまり、田川先生の生命エネルギーは相当なものということになる。
『それより』と、トルメイが言った。
『アダマスカルでここへやってきましたから、闇の勢力にも気づかれているでしょう。どうやらシーリアも闇の勢力に加担しているようですからね。その後彼女は姿をくらませましたが、私たちがアダマスカルで移動したことと、どこへ向かったかなども把握している可能性があります』
やっぱりと、クリスも紗奈もうなずいた。ここまで闇の勢力に都市が乗っ取られていて、風光都市の人間であるシーリアが気づいていないのはおかしい。シーリアが闇の勢力に加担していたか、もしくはすり替えられた人間だったかのどちらかだろう。
『でも田川先生は結局闇の勢力だったっていうのに、あの黒いマントのやつらと連携を取っていないのっておかしくない?なんで闇の勢力にこの場所を伝えてないんだろう?』
釈然としない様子で、紗奈が首をひねった。田川先生は、黒マントの男たちをバタバタと倒していた。それに黒マントの男たちも、先生やスタンのことを仲間だとは思っていないようだった。演技をしていたとも思えない。
『敵を欺くにはまず味方から、ということでしょうな』と、ヴァルターが言った。
『つまり、闇の勢力も雑魚の命はどうだっていいのでしょう。あなた方を信じ込ませるために、あなた方の仲間であることを演じる必要があった。そのためには、同士である人間をあなた方の目の前で倒す必要があったということですよ』
なるほど、と紗奈はうなずいた。つまり、今回の計画における闇の勢力の本命は田川先生だったということになる。
紗奈はクリスに視線を向けて『やっぱり、わたしが思っていた通りでしょう?』と、思念をぶつけた。
『さあ、ではみなさん。ウェントゥスを手に入れて早いところこの場から立ち去りましょう』
はらはらと焦った様子で、トルメイが急かした。
『では、必要なメンバーだけ残ってもらい、残りの方はアダマスカルで待機してもらいましょう』と、ラーナミルが言った。
『クリスタルエレメントの封印が解かれればギラミルマンが出現します。そうなれば、この場も安全とは言えなくなりますからね』
山の内部を見渡しながら、ラーナミルは言った。
たしかに、とクリスも同意した。アクアのときもそうだった。アラルゴンが出現し、海底洞窟内は壊滅状態になった。
あまり頑丈そうではないこの山の内部も、同様に崩れてしまう危険がある。そうなる前に必要ない人間は出ておいた方がいいだろう。
『あの・・・』と、フィオナが歩み出た。
『わたしがやってみてもいいですか?』
手を上げて、フィオナが立候補した。そのうしろでロインも力強くうなずいた。フィオナが首から提げたルーベラピスは、明るく光り輝いている。
つまり、フィオナもきっと封印を解くことのできる選ばれし者で間違いないだろう。
『分かりました』と、ラーナミルは了承した。
『せっかくですから、ここはフィオナに封印を解いていただきましょう。これまでドラゴンの石を入手されたことはありますか?』
ラーナミルの問いにフィオナがうなずくと、『では問題ないですね』とラーナミルは微笑んだ。
『ご存じだとは思いますが、封印を解くとまず精神力を試されることになります。クリスタルエレメントを守護するドラゴンですから、試される試練も並大抵のものではありません。
しかし出現したドラゴンを弱らせれば弱らせるほど、フィオナが受ける精神的苦痛を和らげることができます。ですから、ロイン。手強いとは思いますが、ギラミルマンが出現したら絶えず攻撃してください』
ラーナミルの言葉に、フィオナもロインも大きくうなずいた。
『私とリューリン、それにナイルとルシルもサポートで残ります』と、ラーナミルは安心させるように付け加えた。
すると『ちょっと待って』と、クレアが口を挟んだ。
『わたしとラマルも残るよ』と、当然のようにクレアが言った。そんなクレアにラーナミルも『分かりました』と、笑ってうなずいた。
ラーナミルチーム、クレアチームともに全員揃っている。一体どうやって合流し、どうしてここが分かったのか。それについて、トルメイが説明した。
まず、転移装置がランダムになっていても機能はしているので、オーラムルスが使えなくてもオーメンさえ覚えていれば目的の場所へ辿り着くことは可能だった。そして、フィオナたち一行は、何度も行き来した都市間のオーメンや主要な場所のオーメンは大体記憶していた。
それで皆がそれぞれ考えたことは、ネブラリウムの大聖堂へ戻ることだった。何かあれば、皆そこへ集まると予想したからだ。
そしてその通り、クリスたちを除く全員が続々とそこに集結した。
パオリーナとエランドラは、シンダの住居地区でクリスたちとはぐれた時点でネブラリウムへと戻った。つまり、地下のトンネル“クニムテール”に転移したクリスたちの前に現れたエランドラとパオリーナは、すでに偽物だったということになる。
ネブラリウムへ到着したパオリーナとエランドラは、クリスたちとはぐれたことを説明し、アダマスカルに乗って皆でソエンゾ山までやって来たということだ。
『でも、どうしてここが分かったんですか?』
クリスの質問に、トルメイは首をひねった。
『それが、アダマスカルのマップ上でソエンゾ山からひとつだけオーラムルスの信号が確認できたんです。そして来てみたところ、ここへとつながる転移装置を見つけたというわけです』
クリスは、自分のオーラムルスを確認した。しかし、相変わらずオーラムルスは機能していなかった。
同様に紗奈や優里、それにベベのオーラムルスもやはり機能していなかった。
「田川先生がはめてた指輪じゃない?」
優里が思いついたように言った。
田川先生がはめていたあの大きなダイヤモンドがついた指輪。あれはオーラムルスよりも性能がいいと言っていた。
たしかにそうかも、とクリスも紗奈も納得した。闇の勢力の道具だろうか?とにかく、不幸中の幸いだった。
パオリーナとエランドラに扮していたのは、ダルインミエルという悪魔だろうと優里が言った。
対象の人間に見た目から持っている能力まで、ほぼすべてなり替わることができるという。クリスたちがはぐれたことをいいことに、田川先生が召喚したんじゃないかと優里は言った。
それと、スタン。あれは、闇のドラゴンだとラーナミルが説明した。闇の勢力が唯一契約できるドラゴンだ。契約するにあたって相当の生命力が消費されるので、並大抵の人間では契約できない。
つまり、田川先生の生命エネルギーは相当なものということになる。
『それより』と、トルメイが言った。
『アダマスカルでここへやってきましたから、闇の勢力にも気づかれているでしょう。どうやらシーリアも闇の勢力に加担しているようですからね。その後彼女は姿をくらませましたが、私たちがアダマスカルで移動したことと、どこへ向かったかなども把握している可能性があります』
やっぱりと、クリスも紗奈もうなずいた。ここまで闇の勢力に都市が乗っ取られていて、風光都市の人間であるシーリアが気づいていないのはおかしい。シーリアが闇の勢力に加担していたか、もしくはすり替えられた人間だったかのどちらかだろう。
『でも田川先生は結局闇の勢力だったっていうのに、あの黒いマントのやつらと連携を取っていないのっておかしくない?なんで闇の勢力にこの場所を伝えてないんだろう?』
釈然としない様子で、紗奈が首をひねった。田川先生は、黒マントの男たちをバタバタと倒していた。それに黒マントの男たちも、先生やスタンのことを仲間だとは思っていないようだった。演技をしていたとも思えない。
『敵を欺くにはまず味方から、ということでしょうな』と、ヴァルターが言った。
『つまり、闇の勢力も雑魚の命はどうだっていいのでしょう。あなた方を信じ込ませるために、あなた方の仲間であることを演じる必要があった。そのためには、同士である人間をあなた方の目の前で倒す必要があったということですよ』
なるほど、と紗奈はうなずいた。つまり、今回の計画における闇の勢力の本命は田川先生だったということになる。
紗奈はクリスに視線を向けて『やっぱり、わたしが思っていた通りでしょう?』と、思念をぶつけた。
『さあ、ではみなさん。ウェントゥスを手に入れて早いところこの場から立ち去りましょう』
はらはらと焦った様子で、トルメイが急かした。
『では、必要なメンバーだけ残ってもらい、残りの方はアダマスカルで待機してもらいましょう』と、ラーナミルが言った。
『クリスタルエレメントの封印が解かれればギラミルマンが出現します。そうなれば、この場も安全とは言えなくなりますからね』
山の内部を見渡しながら、ラーナミルは言った。
たしかに、とクリスも同意した。アクアのときもそうだった。アラルゴンが出現し、海底洞窟内は壊滅状態になった。
あまり頑丈そうではないこの山の内部も、同様に崩れてしまう危険がある。そうなる前に必要ない人間は出ておいた方がいいだろう。
『あの・・・』と、フィオナが歩み出た。
『わたしがやってみてもいいですか?』
手を上げて、フィオナが立候補した。そのうしろでロインも力強くうなずいた。フィオナが首から提げたルーベラピスは、明るく光り輝いている。
つまり、フィオナもきっと封印を解くことのできる選ばれし者で間違いないだろう。
『分かりました』と、ラーナミルは了承した。
『せっかくですから、ここはフィオナに封印を解いていただきましょう。これまでドラゴンの石を入手されたことはありますか?』
ラーナミルの問いにフィオナがうなずくと、『では問題ないですね』とラーナミルは微笑んだ。
『ご存じだとは思いますが、封印を解くとまず精神力を試されることになります。クリスタルエレメントを守護するドラゴンですから、試される試練も並大抵のものではありません。
しかし出現したドラゴンを弱らせれば弱らせるほど、フィオナが受ける精神的苦痛を和らげることができます。ですから、ロイン。手強いとは思いますが、ギラミルマンが出現したら絶えず攻撃してください』
ラーナミルの言葉に、フィオナもロインも大きくうなずいた。
『私とリューリン、それにナイルとルシルもサポートで残ります』と、ラーナミルは安心させるように付け加えた。
すると『ちょっと待って』と、クレアが口を挟んだ。
『わたしとラマルも残るよ』と、当然のようにクレアが言った。そんなクレアにラーナミルも『分かりました』と、笑ってうなずいた。
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この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
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