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第四章 パラレルワールド
第25話 事情聴取
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一行は少年を連れて、ハーディの父親の会社が所有する近くのビルへと向かった。
ブティックやレストランが軒を連ねる街中の一等地にあるガラス張りのモダンな建物で、1階にはカフェが入っている。そのカフェへと少年を連行した。
クリスやハーディが魔法を使ったことによって、少年は得体の知れない恐怖を感じていた。
そのため、ハーディの指示に素直に従った。
店内は、そこそこの広さがあった。コンクリート打ちっ放しのシックな内装で、窓際にカウンター席が並び、多数のテーブル席が間隔を取って置かれていた。
壁際にはソファ席も並んでいる。土曜日の朝ということもあって、比較的店内は空いていた。
奥のソファ席へ通されると、ハーディは少年を壁際の席に座らせた。
マーティスがその隣に座り、ハーディが向かいに座った。マーティスの隣に優里が座り、ハーディの隣にクリス、ベベ、紗奈と座った。店はペットの同伴も問題なかった。
ウェイトレスがやって来て注文を取った。食事のメニューも豊富にあったが、それぞれドリンクだけを注文した。
ハーディは、少年の分のコーヒーも注文した。
「名前はなんて言うんだい?」
運ばれてきたコーヒーを少年に勧めてから、ハーディがイタリア語で少年に聞いた。
少年は、コーヒーに手を付けることなく黙っていた。
当然、ハーディはホロロムルスで名前や年齢など、少年のプロフィールは分かっている。
ダニエーレ・モレッティ。15歳。
二人兄妹で、8歳の妹がいる。ナポリ出身のローマ在住。父親はダニエーレが12歳のときに刑務所に入れられ、現在は母親と3人暮らし。
「彼女のことは覚えているだろう?」
紗奈に視線を向けて、ハーディが聞いた。少年はうつむいたまま、小さく首を振った。
「嘘をついちゃいけないよ。ダニエーレ」
ハーディが名前を呼ぶと、少年は驚愕した。
「なんで俺の名前を知ってるんだ?」と、少年は不気味そうに聞き返した。
ハーディは微笑むと言った。
「僕らは君の母親も、妹のソフィアのことも知っている。当然、君の家も押さえている」
ハーディはホロロムルスで得た情報から鎌をかけた。
「どうするつもりだっていうんだ?」
すっかり怯え切ったダニエーレは、顔を引きつらせた。
「何もするつもりはないさ。君たちが彼女から奪った物を返してくれればね。それと、さっき女性から盗んだ財布もね」
ハーディはそう言ってテーブルの上に乗った籠に指先を向けると、中に入っていたフォークを浮かび上がらせて先端をダニエーレに向けた。
ダニエーレは目を見開き、顔をのけ反らせた。
「わ、わかったよ」
ダニエーレが観念すると、ハーディは宙に浮き上がらせていたフォークをゆっくりと下降させてテーブルの上にそっと置いた。
「でも、昨日の盗品はもう全部ボスに渡してるんだ。それを取り返すのは無理だよ。それにもう売り払ってたらどうにもできないし」
今にも泣き出しそうな顔で、頭を掻きむしりながらダニエーレは言った。
「ボスは、今どこにいるんだい?」
「たぶん、アジトだよ」
ダニエーレがそう言ったのと同時に、携帯の着信音が鳴った。
びくっと体を震わせると、ダニエーレは怯えた表情でポケットからスマホを取り出した。
「マルコだ」
着信表示を見て、ダニエーレがつぶやいた。
「さっき、一緒にいた奴だよ」
ダニエーレがそう言うと、スピーカーにして出るようハーディが指示した。
ダニエーレはうなずいて、スマホをテーブルに置いたまま電話に出た。
「もしもし」
「もしもし。俺だ。マルコだ。無事逃げ切れたか?」
ハーディがイエスと答えるよう指示した。
ダニエーレは指示通り「うん」と、返事をした。
「今どこだ?」
「えっと、今は・・・」
「どこか、適当に答えて」と、ハーディが口パクで言った。
「えっと・・・パンテオンのあたりだよ」
「そんなとこまで逃げたのか?」
「うん。なんか、けっこう追いかけられちゃって」
「そうか。ていうか聞いて驚くなよ?あの女、日本人だったんだけどよ。なんと、財布にぴったり1000ユーロも入ってたんだよ!
それに日本円もいくらか入ってる。俺たち超ついてるよな。一発目でもう今日のノルマは達成だぜ。しかも俺らふたりだけでな」
「そうなんだ。すごいね」
「まあ、いいや。どうする?もうひと稼ぎしてみるか?それとも、もうボスのところへ届けて今日はもう遊びにでも行くか?」
ダニエーレがハーディを見た。ハーディはまた口パクで「ボスのところへ」と言った。
「うんと・・・そうだね。今日はもうそれをボスのところへ届けに行かない?」
「そうだな。今日は元々休みだったわけだしな。さっさとボスに届けて遊びに行くか。せっかく早起きしたし。でも、もうノルマいったってことはアントニオ達には内緒にしておこうぜ。あいつらに楽させるわけにはいかないからな。よし、じゃあアパルタメントで待ってるから早く来いよ」
「うん、わかった」と言って、ダニエーレは電話を切った。
「よし。そうしたら、今から一緒に君たちのアジトへ向かおうか」
ダニエーレが電話を切ると、ハーディが言った。
「でも俺、ゲロったことがばれたら袋叩きにされちゃうよ。俺だけじゃなくて、妹にも手出しされるかもしれないし・・・」とダニエーレが不安げに言うと、ハーディは首を振った。
「心配いらないよ。もちろん君がばらした、なんてばれるような真似はしないさ。君はただアジトへ行ってマルコと落ち合うだけでいい。あとのことは全部僕らに任せてくれ」
ダニエーレは、うつむいたまま黙り込んだ。
「それと、これが終わったら君には仕事を世話しよう」
黙ったままのダニエーレに、ハーディが言った。
「そんな泥棒稼業からは、すぐにでも足を洗うべきだ。母親と妹のためにもね」
それを聞いて、ダニエーレは目を輝かせた。
しかしたちまちその光はしぼんでいって、ダニエーレは諦めるように首を振った。
「ダメだよ。俺は学校もロクに行っていないし、何の取り柄もないんだ。俺にまともな仕事なんてできっこないよ。それに、今さら抜け出せないし」
「そんなことはないさ。これから仕事をしながら、必要なことは少しずつ学んでいけばいいじゃないか。人生はいくらだってやり直しできるんだ。望みさえすればね」
ハーディは、そう言って身を乗り出した。
「君が望むなら、組織から抜ける手助けもしてあげるよ」
テーブルの上で手を組んでそう話すハーディは、まるで大企業の社長のようだった。
ブティックやレストランが軒を連ねる街中の一等地にあるガラス張りのモダンな建物で、1階にはカフェが入っている。そのカフェへと少年を連行した。
クリスやハーディが魔法を使ったことによって、少年は得体の知れない恐怖を感じていた。
そのため、ハーディの指示に素直に従った。
店内は、そこそこの広さがあった。コンクリート打ちっ放しのシックな内装で、窓際にカウンター席が並び、多数のテーブル席が間隔を取って置かれていた。
壁際にはソファ席も並んでいる。土曜日の朝ということもあって、比較的店内は空いていた。
奥のソファ席へ通されると、ハーディは少年を壁際の席に座らせた。
マーティスがその隣に座り、ハーディが向かいに座った。マーティスの隣に優里が座り、ハーディの隣にクリス、ベベ、紗奈と座った。店はペットの同伴も問題なかった。
ウェイトレスがやって来て注文を取った。食事のメニューも豊富にあったが、それぞれドリンクだけを注文した。
ハーディは、少年の分のコーヒーも注文した。
「名前はなんて言うんだい?」
運ばれてきたコーヒーを少年に勧めてから、ハーディがイタリア語で少年に聞いた。
少年は、コーヒーに手を付けることなく黙っていた。
当然、ハーディはホロロムルスで名前や年齢など、少年のプロフィールは分かっている。
ダニエーレ・モレッティ。15歳。
二人兄妹で、8歳の妹がいる。ナポリ出身のローマ在住。父親はダニエーレが12歳のときに刑務所に入れられ、現在は母親と3人暮らし。
「彼女のことは覚えているだろう?」
紗奈に視線を向けて、ハーディが聞いた。少年はうつむいたまま、小さく首を振った。
「嘘をついちゃいけないよ。ダニエーレ」
ハーディが名前を呼ぶと、少年は驚愕した。
「なんで俺の名前を知ってるんだ?」と、少年は不気味そうに聞き返した。
ハーディは微笑むと言った。
「僕らは君の母親も、妹のソフィアのことも知っている。当然、君の家も押さえている」
ハーディはホロロムルスで得た情報から鎌をかけた。
「どうするつもりだっていうんだ?」
すっかり怯え切ったダニエーレは、顔を引きつらせた。
「何もするつもりはないさ。君たちが彼女から奪った物を返してくれればね。それと、さっき女性から盗んだ財布もね」
ハーディはそう言ってテーブルの上に乗った籠に指先を向けると、中に入っていたフォークを浮かび上がらせて先端をダニエーレに向けた。
ダニエーレは目を見開き、顔をのけ反らせた。
「わ、わかったよ」
ダニエーレが観念すると、ハーディは宙に浮き上がらせていたフォークをゆっくりと下降させてテーブルの上にそっと置いた。
「でも、昨日の盗品はもう全部ボスに渡してるんだ。それを取り返すのは無理だよ。それにもう売り払ってたらどうにもできないし」
今にも泣き出しそうな顔で、頭を掻きむしりながらダニエーレは言った。
「ボスは、今どこにいるんだい?」
「たぶん、アジトだよ」
ダニエーレがそう言ったのと同時に、携帯の着信音が鳴った。
びくっと体を震わせると、ダニエーレは怯えた表情でポケットからスマホを取り出した。
「マルコだ」
着信表示を見て、ダニエーレがつぶやいた。
「さっき、一緒にいた奴だよ」
ダニエーレがそう言うと、スピーカーにして出るようハーディが指示した。
ダニエーレはうなずいて、スマホをテーブルに置いたまま電話に出た。
「もしもし」
「もしもし。俺だ。マルコだ。無事逃げ切れたか?」
ハーディがイエスと答えるよう指示した。
ダニエーレは指示通り「うん」と、返事をした。
「今どこだ?」
「えっと、今は・・・」
「どこか、適当に答えて」と、ハーディが口パクで言った。
「えっと・・・パンテオンのあたりだよ」
「そんなとこまで逃げたのか?」
「うん。なんか、けっこう追いかけられちゃって」
「そうか。ていうか聞いて驚くなよ?あの女、日本人だったんだけどよ。なんと、財布にぴったり1000ユーロも入ってたんだよ!
それに日本円もいくらか入ってる。俺たち超ついてるよな。一発目でもう今日のノルマは達成だぜ。しかも俺らふたりだけでな」
「そうなんだ。すごいね」
「まあ、いいや。どうする?もうひと稼ぎしてみるか?それとも、もうボスのところへ届けて今日はもう遊びにでも行くか?」
ダニエーレがハーディを見た。ハーディはまた口パクで「ボスのところへ」と言った。
「うんと・・・そうだね。今日はもうそれをボスのところへ届けに行かない?」
「そうだな。今日は元々休みだったわけだしな。さっさとボスに届けて遊びに行くか。せっかく早起きしたし。でも、もうノルマいったってことはアントニオ達には内緒にしておこうぜ。あいつらに楽させるわけにはいかないからな。よし、じゃあアパルタメントで待ってるから早く来いよ」
「うん、わかった」と言って、ダニエーレは電話を切った。
「よし。そうしたら、今から一緒に君たちのアジトへ向かおうか」
ダニエーレが電話を切ると、ハーディが言った。
「でも俺、ゲロったことがばれたら袋叩きにされちゃうよ。俺だけじゃなくて、妹にも手出しされるかもしれないし・・・」とダニエーレが不安げに言うと、ハーディは首を振った。
「心配いらないよ。もちろん君がばらした、なんてばれるような真似はしないさ。君はただアジトへ行ってマルコと落ち合うだけでいい。あとのことは全部僕らに任せてくれ」
ダニエーレは、うつむいたまま黙り込んだ。
「それと、これが終わったら君には仕事を世話しよう」
黙ったままのダニエーレに、ハーディが言った。
「そんな泥棒稼業からは、すぐにでも足を洗うべきだ。母親と妹のためにもね」
それを聞いて、ダニエーレは目を輝かせた。
しかしたちまちその光はしぼんでいって、ダニエーレは諦めるように首を振った。
「ダメだよ。俺は学校もロクに行っていないし、何の取り柄もないんだ。俺にまともな仕事なんてできっこないよ。それに、今さら抜け出せないし」
「そんなことはないさ。これから仕事をしながら、必要なことは少しずつ学んでいけばいいじゃないか。人生はいくらだってやり直しできるんだ。望みさえすればね」
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