♡してLv.Up【MR無責任種付おじさん】の加護を授かった僕は実家を追放されて無双する!戻ってこいと言われてももう遅い!

黒須

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第40話 アターシャ

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【パンティー視点】


 ドゴゴゴゴゴゴンッ!!

 私の目の前まで迫っていたロックワームの大群が轟音と共に消滅した。 いや、ロックワームだけじゃない。
 ヤツ等がいた場所は地面が抉られ、それがずっと先まで続いている。

 だけど、ロックワームはまだたくさんいる――――ッ!

 ドゴゴゴゴゴゴンッ!!
 ドゴゴゴゴゴゴンッ!!
 ドゴゴゴゴゴゴンッ!!

 そう思ったのは一瞬、ロックワームの群れが次々に消滅していく。 周りには大きな岩がたくさんあったのに、全て削られ何もない更地になった。

 伝説級の圧倒的な力……。勇者ビッグベニスがやったとでもいうの!?


 さらに――――、

 ゴッ! ゴッ! ゴッ! ゴッ! ゴッ! ゴッ! ゴッ!

 私達の周囲に散っていたロックワームも、何かがぶつかる衝撃音ともに、黒霧になって消えていく。

 一体一体、正確に核が破壊されているんだ。いったい何が起きているのよ!?


【ゼツ視点】時を同じくして。

 パンティー達の周りに散らばっていたロックワームは〈種強化Lv5〉で核だけを破壊した。〈種強化Lv29〉だと威力が強すぎて人を巻き込んでしまうからだ。

「どうなってるの?」

「ち、地形が……、変わったニャン」

 地面にへたり込み驚愕しているティッシュがノエルの問に答えた。

「ロックワームは全部倒した。……けど、けが人が多いようだ。助けに行こう。 距離約2キロ。岩の上を飛んでいくからティッシュは荷物に乗って」

「うん!」
「了解ニャン!」

 ティッシュは特大リュックの上に座り、僕の肩に両足を乗せる。彼女が振り落とされないように足首をしっかり掴んだ。

「しっかり掴まってろよ」

「んっにゃ~~ッ!」

 僕は大きな岩山をジャンプで飛び移りながら移動していく。

 ノエルは飛ぶことはできないが〈グラビティ〉で重力を軽減して、高くジャンプし落下しながら飛翔する。ちゃんと僕の後についてきている。






 酷い有り様だ。無傷の者は殆いない。

「ゼツ様……、どうしてここに?」

 地面に力無く座るパンティーは今にも気絶しそうな程、疲労していた。

「助けに来たよ。よく頑張ったね」

 そう言うとパンティーは「ありがとう」と呟いて崩れ落ちた。
 彼女の華奢な体は傷だらけで流血も激しいが、その傷が白い光に包まれ徐々に塞がっている。勇者のパッシブスキル〈超回復〉だ。

 僕はベスト脱ぎ折り畳むと、彼女の頭に下に敷いてあげた。

「これは坊っちゃんがやったのですか?」

 アナルは無傷だ。まだ余力を残しているな。

「ああ。 それより彼らを治療するが、構わないな?」

「……はい。お願いいたします」

「アナル、お前も力を貸せ」

「御意」

 アナルは胸に手を当て流麗なお辞儀をする。騎士の礼だ。

 ノエルやティッシュにも協力してもらい。こちらのローションを惜しみなく使って、負傷者を回復させていく。 初めは誰だコイツ等?みたいな顔をされたが、皆疲労しているようで介抱すると静かに礼を言うだけだった。




 手当てをして回っていると――、アレプニヒトがアナルに報告にきた。

「生き埋めになっているメンバーがいます。その者以外は全員無事です」

「もう助からないでしょうねぇ」

「ええ、ただ家族に報告する際に遺留品だけは渡したいのですが、捜索してもよろしいでしょうか?」

「この中から探すのは不可能です。残念ですが諦めなさい」

 大地は割れ、岩が崩れ落ちている。
 どこに埋まっているかわからないのか……、なら――。

「アクティブスキル〈Gスポット〉」

 僕の右目の瞳に”G”の文字が浮かび上がった。
 地面を注視すると岩が透けて見える。

 …………いた!あそこだ。

「あの岩の下いる。まだ生きてるぞ」

 僕が岩をどかすと人が出てきた。出発前ティッシュに忠告したポーターの男だ。
 息はあるがこれは酷い。もうローションでどうにかなる状態じゃない。

「虫の息ですねぇ。これはもう……」

 アナルが怪我人を見ながらそう言うとアレプニヒトは近くにいたアターシャの元へ駆け寄った。

「アターシャ様、どうか、彼に〈リバイバル〉を」

 〈リバイバル〉……と言ったのか?なら彼女の加護は【HR大聖女】だ。

「なりませんわ。常識的に考えなさいな。あの者は平民ですよ?わたくしは〈ヒール〉すら使う気はありません」

 僕はアターシャに歩み寄る。

「〈リバイバル〉を使えば彼は助かります。僕からもお願いします」

 怪我した男は、知り合いでも何でもないが、助けられる命を見す見す落とすのは寝覚めが悪い。

 横から僕に声を掛けられたアターシャはこちらへ振り向くと、顎を上げ地べたを這いつくばるゴミ虫を見下ろすような冷たい目で睨んできた。

「貴方、リンダナ家の嫡男でしたわよね?」

「”元”ですが」

「元? よくわかりませんが、貴方如きが私に意見するなど以ての外ですわ。身の程をわきまえなさいな」

 彼女はこの王国で最も身分の高い貴族、四大公爵家が一家ヤリマン公爵家の令嬢――、アターシャ・ヤリマン嬢だ。
 僕の元実家、リンダナ侯爵家を管轄している家で、子供のころ何度か見掛けたことがある。

 アナル以外、僕達がロックワームを倒したことを知らないとはいえ、ここまで蔑まれた態度を取られるとはな。

「アターシャ様、王国民は国の財産であり国を動かす原動力、その国民に自慰をかけるのもまた貴族の務めと存じますが」

 僕が伏して進言すると、アターシャは右手を振り上げた。

「顔をお上げなさい」

 パシッ!

 僕が顔を上げると頬を叩かれた。 手の動きは止まって見えるほど遅く余裕でかわせたが、僕は敢えて平手打ちを受けた。

 気の強い美小女に頬を叩かれるのはご褒美だと豪語する男もいるそうだが、僕が避けなかったのはそんな理由ではない。
 こういうタイプは避けたり、受け止めたりすると更に機嫌を悪くするからだ。

「意見するなと申しましたわよね?気色悪い方。下がりなさい」

 そう言われても僕は引き下がらない。

「アターシャ様、彼に〈リバイバル〉を掛けてあげてください」

 アターシャの目付きが変わった。苛立ちを帯びた冷たい視線からは僅かに殺意すら感じる。

 アターシャは再び右手を振り上げ、先ほどよりも早く強く僕の頬めがけて振り下ろす、が――――、

 アターシャの手がぴたりと止まった。

「な、なんですの? これ? 体が動きませんわ」

 僕はハッとし後ろへ振り返る。
 そこにはアターシャに向かって右手を掲げたノエルがいた。


「そこの女、これはお前がやっているのですか?」

「そうよ。これ以上、ゼツ君を叩かせない!」

 ノエルが〈グラビティ〉でアターシャの手を止めたのだ。

 ノエル、不味いぞ!
 コイツは平民の命を虫ケラ同然と考えているタイプの貴族だ。敵に回すと何をするかわからない。

 アターシャはヒステリックに怒鳴り散らす。

「貴公子団ッ!その女を、捕らえなさいッ! 早くッッ!」



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