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3話 ワイバーンに監禁されてる?

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ようやく山の麓に辿り着いた。ここから先が森になる。
途中ルビーとサファイアが俺を見掛けて声をかけてきたり、真珠が3回くらいガジガジしてきたが。
森といっても葉が少なくあまり栄養のない地だとよく分かる。
ワイバーンが住む山も木や草すら生えない不毛な土地だが、よくそんな場所に住んでるなと思う。
しかし少数だが魔物もいるしな。トカゲとか蛇やムカデとか…
それにこうやって進んでいくと少しずつ普通の森のように葉が生い茂っていく。きっと魔物も多く生息してるだろう。
飛べるワイバーンからすれば巣は襲われ辛く(たまに襲われるが)餌にも困らない良い場所なんだろう。
暫く進んでみたが一向に襲われる気配がない。
何度か狼や鹿みたいな魔物を見掛たし、トレントが何かを襲っているのを見た。
が、俺がでかすぎるのか食べられないからか魔物に襲われることもなく、会っても去っていく。
…寂しい。心が折れそうだ。
と、「ピーピー!」という鳴き声が聞こえ見ると巣から落ちている鳥のヒナを発見した。
拾い上げ巣に戻すが親からめちゃくちゃつつかれた。防御力高いから平気だけどHPが5減った。酷い( ;∀;)
それから変なツルが足にシュルシュル巻き付き引っ張ってきたけど重い俺を持ち上げられるわけなく。
ブチッて音で下を見て、巻き付いたツルと落ちたツルを見て察した。
膨らんだ根元、花弁がついた部位は真ん中が空洞でそこを口みたいにパクパクしながら、何本ものツルを伸ばしてくる。
それに絡まれながら近付き剛腕でボッコボコにする。
『キルポイント獲得98』
という声が聞こえ殴るのを止めた。
うん、こういうのだったらポイント稼ぎとして殺しやすい。俺は同じ植物に出会わないかな~と期待しながら森を歩いた。
特に目的もなく森や山の麓をうろうろすること数日。
森で魔物、特にあの植物を倒してポイントを稼ぎ。時々山の麓で真珠やルビー、サファイアに挨拶されたりして過ごしている。


■現在のステータス■■

【名前】トロイ 【転生ポイント】840p
【種族】人形g群i属 
【能力値】Lv6(5↑) HP230/230 MP14/14
【祝福】ポイント転生
【スキル】光合成Lv4(1↑) 消化液生成Lv3(1↑) 加速Lv4(1↑) 風斬Lv1 念力Lv3 結界Lv1 剛腕Lv3(2↑) 気配察知Lv2(1↑) 自己修復Lv1(new)


Lvは上がっているがMPが少ないから魔法はあまり鍛えられない。
念力なんて自分は重くて持ち上がらないし、何かを持ち上げるのも自分で上げればいいし全く使ってない。
自己修復を新しく覚えたけど光合成と同じく自分回復だから被ってる。
ただこれ修復だし無機物じゃないと意味ないと思うし、アクティブスキルだから使わないと回復しない。
ただ回復量はこっちのが大きいけど光合成と違いMP消費しHPしか回復しない。
こうやってLv上がることで新しいスキル覚えるって分かってるし自身とスキルのLv上げと転生ポイント集めを頑張るかね~。
それにしてもいつの間にか名前の欄に【トロイ】という見覚えのない名前がついてるのは何でなんだ?
トロイの木馬のことか? さっぱり分からん。

そうやって日々が過ぎて行った。









「あれれおかしいな~何でこうなった??」


俺は森の中でうさぎや鹿、小鳥更には狼や猛禽類と戯れている。戯れってか鳥は勝手に肩に乗って楽しそうにお喋りしてる。…うん、うんちいっぱいされてるね。
うさぎと鹿は守ってもらえると思って近くにいるんだろうけど、囲まれて身動きとれない状態です。
異世界だからうさぎも鹿も鳥も狼や猛禽類も地球のとは違うモドキで、似てるからそういってるだけでこっちの名前知らんから。
俺がゴーレム転生して何日経ったのか分からん、子ワイバーンが巣立ちして更に数ヶ月過ぎたかな?
その間に何度かこいつらを助けたことがあるんだよ。
もちろん自然のことは自然にって、基本襲ったり襲われたりは不干渉で。
ただ怪我してるのを放置したりは気が引けるし、子供だけで放置されてる親とはぐれたのか死んだのか分からん子は放っておけず面倒見たり。
いや、ちゃんと大きくなったら「森へお帰り」って自然に返したよ? でもさ、なぜか時々会いに来ていつの間にかこうなってるんだよ。
こいつらは自然界ではお互いに捕食者や被食者の立場なのは変わってないけど、なぜか俺の近くだと不戦の誓いをしてるのか争わないんだ。
これがいいことなのか悪いことなのか分からないが…俺がLv上げし辛くなったのは確かだ。
一応現在のステータスを見せるとこんな感じだ。


■■現在のステータス■■

【名前】トロイ 【転生ポイント】1920p
【種族】人形g群i属 
【能力値】Lv15(9↑) HP410/410 MP32/32
【祝福】ポイント転生
【スキル】光合成Lv6(2↑) 消化液生成Lv3(1↑) 加速Lv6(2↑) 風斬Lv2(1↑) 念力Lv4(1↑) 結界Lv2(1↑) 剛腕Lv5(2↑) 気配察知Lv4(2↑) 自己修復Lv2(1↑) 自己投擲Lv3(new) テイマーLv2(new) 物質強化Lv1(new)


Lv10で覚えた自己投擲スキルは体の一部を消費して投げつけるスキルだ。俺が岩ゴーレムだから体の岩をHPを消費して投げることができる。
これ人間だったらどうなるんだ?とちょっと想像すると怖いけど、今は有用なスキルだ。
ゴーレムMP低いしINT低いのか風斬放っても威力低いんだよね。普通にもの投げた方が凄い威力あるし。流石物理ゴーレム。
更にLv15になって覚えた物質強化は岩の体が数十秒だけ鉄に変わり攻撃力守備力が上がる。
しかもこれ何気にすごいのがその間自己投擲したらその投げた鉄は鉄のままだったことだ。
俺に鍛冶スキルがあれば武器とか作り放題だったのにとちょっと悔しい。
やはりLvが5ずつ上がったときに新たなスキルを覚えるみたいだ。
ただ、テイマースキルはLv11になったときなぜか覚えた。そのお陰でこれだけ魔物に懐かれてるんだろうとは思うけど。
あれかな? 魔物達を治療したり世話したりしてたから覚えたのかな??
Lv以外でのスキル入手の可能性が分かったわけだ。
…と、まぁ最近はこんな感じで全然Lv上げできてないんだよ。どうすりゃいいんだトホホ。

──突然、俺の周りにいた魔物達が走り去っていく。どうしたんだ?
不思議に思いキョロキョロしていると地面に見覚えのある影ができバキバキと木々が折れるすごい音がする。確認しようとするも見上げる前に体が浮いた。超デシャブ。
空に浮かびながら横を向くと翼が見える。はい答えは簡単ですね!
白い翼が見えたからこれは真珠だね。何だろ? こいつも俺を餌と間違えた?
いやこんな森の中の、しかも木々が生い茂ってるとこまで餌探しに来ないよね??
そのまままたしても山頂まで連れて行かれ巣に下ろされる。
おや? また子ワイバーンの餌にされるのかと思ったけどいないぞ!
不思議に思いつつ真珠を見るといつものように前脚で掴まれガジガジ。おいおい、そこまでして噛みたかったのかよ(汗)
仕方なく暫くじっとしていたが中々離してもらえない。しかも何だかいつもより噛む力が強いような…いや、真珠も成長して日々大きくなってるからな。
噛む力も上がってるんだろ。しかしこれどうすりゃいいの? マジで。


「真珠…」
「ギーギャー!!」


困惑しつつ真珠の名前を呼ぶも、俺を噛みながら怒ったように吠える。
…これ、拗ねてるんじゃね?
最近は森の魔物達に懐れてあまり身動きできずにいたからな。
ポイント稼ぎに熱中して結構奥まで行ってたのも悪かった。でも、ちゃんと山に向かってたよ。
けど、俺、足遅いから中々辿り着かなかったんだよ!
それを説明しつつ真珠を撫でて宥める。暫くしてようやく解放された。

しかし、俺の受難は続く。

真珠に別れを告げて森へ歩き出すと、すぐ飛んできて連れ戻される。
ならばと真珠が留守や眠っている隙に気配察知を使い抜け出すも、サファイアやルビーに見付かり連れ戻される。
おい、お前らグルか!
気配察知で気付いてもゴーレムの足じゃ逃げきれないんだよ!
こうしてワイバーンによる恐ろしい監禁生活が始まったのだ。




そろ~りそろ~り…
グィッ 「あっ」 ポトン

ワイバーンに監禁されて1月ほど。俺はまだ監禁生活から抜け出せていない。
なぜ離してくれないの? ヤンデレなのお前ら? ああーガジガジ止めて! HP減ってくから!
ヤンデレのワイバーンに死ぬほど愛されて出れない。そんな悲しい状況。
ポイント稼ぎなんて稀にやって来る子ワイバーン狙いの魔物を倒すしかなく、スキル上げもその場でできるようなものしかできていない。
辛い…


「なあ真珠、マジで悪かったって! これからはちょくちょく顔見せに来るから! な!」
「グァ~~」
「あくびすんな!」


通じているのかいないのか分からない音にならない言葉で説得するも真珠はあくびで誤魔化している。
ぜっったい通じてる気がするんだけどな! アホを見るような目で見てくるあたり!!
くっそ~ヤンデレのくせになめくさりやがって! いや、実はヤンデレじゃなく別の理由があったりするのか??
あああーもうここにいるの飽きた!


「もうどうすりゃお前らの気が済むんだよ! 俺にどうしろってんだ!」
「ギャゥー!」
『契約に了承しますか?』
「ん?」


真珠に対して文句を言ってると、何かおかしな声が聞こえた。契約?
それから頭に「はい」と「いいえ」の言葉が浮かぶ。これ何のRPG?
ポカンとしつつ真珠を見ると向こうも俺を見ていた。

契約が何の契約なのか不明なのが怖いけど、契約しないと永遠にここから出してもらえない。
自殺もできない以上応じるしかないか…俺は「はい」を選んだ。
その瞬間真珠と俺の体が輝き出した。今深夜だからめちゃくちゃ眩しい!!

そうして光が収まったので真珠を確認する。何も変わりないな。
ついで自分も見る…変わりないな。
小首を傾げつつステータスを確認する。


■■現在のステータス■■

【名前】トロイ 【転生ポイント】2207p
【種族】人形g群i属 
【能力値】Lv15 HP390/530 MP33/44
【祝福】ポイント転生
【スキル】光合成Lv6 消化液生成Lv4(1↑) 加速Lv6 風斬Lv2 念力Lv4 結界Lv3(1↑) 剛腕Lv5 気配察知Lv5(1↑) 自己修復Lv4(2↑) 自己投擲Lv3 テイマーLv2 物質強化Lv3(2↑)
【契約】
 連絡契約_真珠、サファイア、ルビー


…何最後の連絡契約って。
「ギャーギャー」「ギャー」「ギャー」
真珠が鳴き、サファイアとルビーがそれに答えると、『契約に了承しますか?』と言う無機質な声が再び聞こえた。
これ「はい」しかないやつね。俺はよく分からないまま契約を結んだ。
みんなは絶対やっちゃだめだゾ!


『ようやく喋れるようになったよ~。全くトロイは言葉も喋れないからまいっちゃうよ!』
『ほんとよね! あたい達はトロイの言葉が分かるのになんで分からないのかしら? ほんとにトロイはダメダメよね』
『ぷぷ、そんなこと言ったら可哀想だよ、ただでさえ足が遅いうえに飛べないんだから』
『『『アッハハハw』』』


物凄く不愉快な言葉が聞こえて、今血管ぶちギレそうなんですけど!
「ギャーギャー」騒ぐうるさい鳴き声と共に理解できる声が頭の中で聞こえる。
どれも声が高くて頭の悪そうな喋り方をしているが、最初の男の裏声みたいなのが真珠、女の喧しい声がサファイア、性別不明の高い声がルビーだろう。
なんだろなこれ、普通言葉が通じるようになったって喜ぶところなのに、100%俺の悪口だと分かる内容で腹立つだけだ。
俺の名前がいつの間にか勝手に【トロイ】ってついてたのも、こいつらがトロイトロイとバカにしてたからか!
俺は拳を握った。
そして今までたまった怒りの一撃を真珠の腹にくらわせた!!


『いたぁーー! ひどい、トロイのが僕をぶった!!』


痛がってはいるけどそこまでダメージがなさそうなのがまた腹立つわ。
やはりワイバーンとの強さの違いはでかい。ゴーレムもかなり筋肉バカなのにな。
『トロイのくせに生意気だ!』
『『そーだそーだ!』』
3体で寄ってたかって俺を罵倒しガジガジ噛みまくる。ほんとにこいつら仲良いな。

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