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始まり
新しい朝1
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セレビア王国の騎士団の入団テストの朝。
王国内の屈強な男達に混ざって一人少女が居た。
その少女はハル。
男の中に混ざっているものの、背が小さいから隠れてしまいそうになっている。
ちなみに、ハル以外の女性は居なかった。
「おいおい!子供がいるぜ?子供は家にかえんな!」
頭一つ分ハルより大きい男が大股でハルに近づいてきた。
「………………」
ハルは黙って、つっかかってきた男を凝視していた。
ハルの目の前に立つと、男が仁王立ちでニヤリとハルの頭から足まで見た。
周りもざわざわとし始め、ハルの周りを取り囲むように見ていた。
「別にあんたに関係ないし。」
ハルはそれだけ言うと、振り返って別の方に歩き出した。
その姿に舌打ちする男……。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
入団テストは騎士団の者と実際に打ち合いをして、強いもの、見込みのあるものが合格して騎士になることが出来る。
例年だと騎士団の副団長が試験官になり、行われる。
セレビア王国には騎士団が2つあり、王城での護衛及び警備の第1騎士団、城下または王国の街を警備する第2騎士団が存在する。
それのどちらかに配属されるかは能力、実力を見ての判断になる。
入団テストに来る者達は家の名誉も背負ってくるので、合格は絶対必死だった。
そんな中、少女がいるとなめられているような気がしてイライラしたのだろう。
ハルにつっかかった男はハルの背中をじっと見たままだった。
今回の入団テストは第1副団長のトヴァル、第2副団長のガルドが例年通り行う。
が、今回は例年と違い第1第2の騎士団長も姿を見せた。
「今年度も対戦相手は副団長がやる。が、例年と違う点はある方が入団テストを観戦することとなった。」
第1騎士団長ターナが入団テストを受けに来た者たちの前で宣言した。
第2騎士団長のエウランがある方を入団テストの行われる広場に連れてきた。
入団テストを受けに来た者達はその人物をみるなり、膝をおり頭を垂れた。
そこに現れたのはカイル王太子と側近のマディルと護衛騎士のゼス。
「突然すまない。今回は時間があったから少し邪魔をする。」
落ち着いた様子のカイル王太子は現在16歳。
前に国内がざわついた事件を婚約者探しと称して解決しているカイル王太子は国王の器に相応しいと言われている。
しかし、あの時に集められた令嬢との婚約はなく事件解決するためだけで今も令嬢から熱い視線を浴び続けている。
カイル王太子は邪魔にならない端へ移動し、入団テストが始められた。
トヴァルとガルドは一対一で対戦してその様子をターナとエウランが見ていた。
剣を弾いてもトヴァルやガルドにいい攻撃を与えたとしてもそこで合否は言われず、淡々と進んでいく。
そして、トヴァルとの対戦にハルの出番になった途端ガルドもその対戦相手も手を止め、トヴァル対ハルを観戦する形になった。
ハルは剣を右手に握りしめ、左手は後ろに回してトヴァルに向き合った。
「……ほぉ?お前、それで始めるのか?」
トヴァルは感心したように聞くが、ハルは答えない。
ハルの剣を持つ姿は、騎士が剣を持つ姿そのものだった。
他の参加者は両手で持ち、力一杯トヴァルやガルドに振り回していた。
ハルは相手が動かないので止まったままだった。
トヴァルが少しだけ気配を動かすと少しだけ剣先を動かし距離を詰めた。
それにハルも足を動かしトヴァルの攻撃をかわしつつ、際どい攻撃を出していた。
掠りはしないものの、トヴァルの頬やわき腹に剣が掠める。
一瞬、ハルの剣が止まったときにトヴァルがハルの剣を引っ掻けるようにして手から落とした。
「そこまで!」
ターナがそれをみて合図を掛け、試験終了となった。
ハルとトヴァルは互いに礼をして、ハルは端に戻った。
その光景を広場に居た全員が見ていて、静かに見ていたが一呼吸を置いてざわざわとし始め遠目からハルを見ていた。
その光景にカイルは肩で笑っていた。
「カイル様、揺れてます。」
マディルがそれをみてさすがに声を掛けた。
「……ふ、ふふ。あーいや、すまない。ハルらしいな!」
あの事件から3年、カイルとハルは直接的に接点はないものの仕事を頼むと言うことで会うことはあった。
昔は監視だけだったが、最近は剣も体術も使えるようになったので仕事の幅が広がっていた。
何故ハルが騎士団のテストに来た理由はラベルトの采配だった。
ラベルトの依頼でハルは騎士団に潜り込み、影からカイルを支えて欲しいということで取り合えず入団テストを受ける形になった。
ハルの存在とテストを受けることに関してはターナ第1騎士団団長とエウラン第2騎士団長のみが知らされていて、対戦するトヴァル副団長は力のみを見る意味で知らされてない。
今回、入団テストを受けると希望した者達のすべてが受け終わると結果は別日に知らされることになり一旦解散となった。
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王国内の屈強な男達に混ざって一人少女が居た。
その少女はハル。
男の中に混ざっているものの、背が小さいから隠れてしまいそうになっている。
ちなみに、ハル以外の女性は居なかった。
「おいおい!子供がいるぜ?子供は家にかえんな!」
頭一つ分ハルより大きい男が大股でハルに近づいてきた。
「………………」
ハルは黙って、つっかかってきた男を凝視していた。
ハルの目の前に立つと、男が仁王立ちでニヤリとハルの頭から足まで見た。
周りもざわざわとし始め、ハルの周りを取り囲むように見ていた。
「別にあんたに関係ないし。」
ハルはそれだけ言うと、振り返って別の方に歩き出した。
その姿に舌打ちする男……。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
入団テストは騎士団の者と実際に打ち合いをして、強いもの、見込みのあるものが合格して騎士になることが出来る。
例年だと騎士団の副団長が試験官になり、行われる。
セレビア王国には騎士団が2つあり、王城での護衛及び警備の第1騎士団、城下または王国の街を警備する第2騎士団が存在する。
それのどちらかに配属されるかは能力、実力を見ての判断になる。
入団テストに来る者達は家の名誉も背負ってくるので、合格は絶対必死だった。
そんな中、少女がいるとなめられているような気がしてイライラしたのだろう。
ハルにつっかかった男はハルの背中をじっと見たままだった。
今回の入団テストは第1副団長のトヴァル、第2副団長のガルドが例年通り行う。
が、今回は例年と違い第1第2の騎士団長も姿を見せた。
「今年度も対戦相手は副団長がやる。が、例年と違う点はある方が入団テストを観戦することとなった。」
第1騎士団長ターナが入団テストを受けに来た者たちの前で宣言した。
第2騎士団長のエウランがある方を入団テストの行われる広場に連れてきた。
入団テストを受けに来た者達はその人物をみるなり、膝をおり頭を垂れた。
そこに現れたのはカイル王太子と側近のマディルと護衛騎士のゼス。
「突然すまない。今回は時間があったから少し邪魔をする。」
落ち着いた様子のカイル王太子は現在16歳。
前に国内がざわついた事件を婚約者探しと称して解決しているカイル王太子は国王の器に相応しいと言われている。
しかし、あの時に集められた令嬢との婚約はなく事件解決するためだけで今も令嬢から熱い視線を浴び続けている。
カイル王太子は邪魔にならない端へ移動し、入団テストが始められた。
トヴァルとガルドは一対一で対戦してその様子をターナとエウランが見ていた。
剣を弾いてもトヴァルやガルドにいい攻撃を与えたとしてもそこで合否は言われず、淡々と進んでいく。
そして、トヴァルとの対戦にハルの出番になった途端ガルドもその対戦相手も手を止め、トヴァル対ハルを観戦する形になった。
ハルは剣を右手に握りしめ、左手は後ろに回してトヴァルに向き合った。
「……ほぉ?お前、それで始めるのか?」
トヴァルは感心したように聞くが、ハルは答えない。
ハルの剣を持つ姿は、騎士が剣を持つ姿そのものだった。
他の参加者は両手で持ち、力一杯トヴァルやガルドに振り回していた。
ハルは相手が動かないので止まったままだった。
トヴァルが少しだけ気配を動かすと少しだけ剣先を動かし距離を詰めた。
それにハルも足を動かしトヴァルの攻撃をかわしつつ、際どい攻撃を出していた。
掠りはしないものの、トヴァルの頬やわき腹に剣が掠める。
一瞬、ハルの剣が止まったときにトヴァルがハルの剣を引っ掻けるようにして手から落とした。
「そこまで!」
ターナがそれをみて合図を掛け、試験終了となった。
ハルとトヴァルは互いに礼をして、ハルは端に戻った。
その光景を広場に居た全員が見ていて、静かに見ていたが一呼吸を置いてざわざわとし始め遠目からハルを見ていた。
その光景にカイルは肩で笑っていた。
「カイル様、揺れてます。」
マディルがそれをみてさすがに声を掛けた。
「……ふ、ふふ。あーいや、すまない。ハルらしいな!」
あの事件から3年、カイルとハルは直接的に接点はないものの仕事を頼むと言うことで会うことはあった。
昔は監視だけだったが、最近は剣も体術も使えるようになったので仕事の幅が広がっていた。
何故ハルが騎士団のテストに来た理由はラベルトの采配だった。
ラベルトの依頼でハルは騎士団に潜り込み、影からカイルを支えて欲しいということで取り合えず入団テストを受ける形になった。
ハルの存在とテストを受けることに関してはターナ第1騎士団団長とエウラン第2騎士団長のみが知らされていて、対戦するトヴァル副団長は力のみを見る意味で知らされてない。
今回、入団テストを受けると希望した者達のすべてが受け終わると結果は別日に知らされることになり一旦解散となった。
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