泉の精の物語〜創生のお婆ちゃん〜

足助右禄

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新しい時代

エルフ

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エルフの子供達4人は私の所で保護する事になった。
全員女の子かと思ったら一番下の子は男の子だった。

上から、九歳のアルカ、八才のフェイ、六歳のリリア、五歳のイル。
全員私の眷属として認め、泉の水や世界樹の実を与えて育てていた。
泉の小屋なら四人増えても充分生活できる。ここで生活しながらアインに教わった手仕事を覚えさせ、自分達に必要な物を作る事を教えていった。

どうやらエルフというのは成長がかなり遅いらしく、二十年程経ってようやくイルが私と同じくらいの身長になった。
他の子達も同じ位に見える。

そういえば私は全然成長していない気がするけど、まさかずっとこのままなのだろうか?

別段困る事がある訳ではないので構わないけど。

「アルカ達エルフは西方から栖を追われて来たと聞いているけど、そこにはどんな者が住んでいたの?」
「私達エルフ族と同じ位の身長の者で、頭にツノが生えていました」

頭にツノ?オーガーには生えていたわね。でも彼らはもっとずっと大きかった。
どうやら見たことのない生き物なのだろう。

「他に特徴はある?」
「私達よりも魔法が得意で力も強いと聞いてました」

魔法……石に操られていて使用しているのではなければ問題ないだろう。もしもこちらにくる様な事があれば、相手の出方次第では戦闘になるかも知れない。この子達にも魔法を教えておいた方が良いだろう。

カナエに相談して、これからは魔法の訓練もやっていくことになった。

あれ以降、北の山に住んでいるエルフ達も大人しく生活している。私が聞きたい事はトコヤミを通じて聞いてもらっていた。

ある日の夜、皆が集まった所でトコヤミが聞いてきた情報を確認する。

アルカが言っていたツノのある生き物はエルフ達の間では魔族と呼ばれていたらしい。

そして彼らエルフは人間に会った事があると言っていたそうだ。
人間はエルフを仲間として迎え入れてくれたのだが、魔族との争いが激化して、付近にいた人間は集落を捨てて遠くに逃げていったらしい。

アインの事を聞きたかったが、人間はかなりの数だったそうで、容姿や名前を教えても分かりそうになかった。

『どうやらその人間という種族はかなりの人数だったそうで、二、三千人はいたらしいです』
「そんなにいるのか……」

トコヤミの説明を聞いて驚く颯太。私も驚いていた。

「魔族というのは、その規模の人間を追い払う程の力があるということね」
『その様です』

人間だって知恵が回る分弱くはないだろう。魔族については今後、警戒しておく必要がある。

「ヤトには西側の警戒を強めてもらわないとね」
『畏まりました』
「それから人間が接触してくるかも知れないわ。明らかな敵対をしてこない限り攻撃しない事」
『御意』『分かりました』

こんな所だろうか。
何事も起こらなければ子供達の教育に専念していきたい所だ。

☆★☆★☆★☆★

あれから更に月日が流れ……

エルフの子供達はもうすっかり大人らしくなっていた。
今では森の見回りにも参加する様になっていて、魔法もかなり上達した。それから北のエルフから弓を教わって使えるようになっている。

そう足は早くないので、ケリュネイアとコンビを組んで遠くまで見回りに出てくれている。

『ハル様』

やって来たのはヤト。泉の近くの穴から少しだけ頭を出している。

「どうしたの?」
『魔族と思われる集団がこちらに向かって来ています』

とうとう来たか。

「どんな様子?」
『アンヴァールに乗って移動している者が三十人、全員武装しています』
「分かりました。私が出向きましょう」
「僕も行くよ」

自分と颯太に実体化を掛けて私はギョクリュウに、颯太はカクカミに乗って移動する。

高地から降りた西の平原、三十人の魔族達は、森に入る前で待っていた。
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