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冒険者
白き竜
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『ハル様!ようやくお呼びくださいましたね!さあ、何なりとご命令を!』
「トコヤミ、なかなか呼び出してあげられなくてごめんなさいね。私達は急ぎセイランに帰らなくてはならないの。連れて行ってもらえるかしら?」
『お任せください!』
喜びの咆哮をあげるトコヤミ。
全員が身を竦ませていた。
「トコヤミ、皆が怖がりますから控えなさい」
『はっ、申し訳ありません!』
トコヤミは広い所に着地して身を低くする。
「皆さん、トコヤミの背中に乗ってください。途中で商隊に状況を報告して、彼らにはマルダを目指してもらいましょう」
「それならマルダから迎えをやろう。こちらから冒険者を派遣するから到着まで待つ様に言ってくれ」
「それなら馬を一頭連れて来てくれ。馬車馬が足らないんだ」
ディーンが冒険者の手配を買って出てくれ、ヴァンが気を回してくれた。
準備を整えて私達セイランの冒険者はトコヤミに乗って移動する。
「まさかドラゴンの背に乗る日が来るなんて……」
セロがトコヤミ背中の上から地上を見ながら呟いた。
「ハルさんはドラゴンも従えているんだね」
「他の魔獣も物凄く強かったですね」
リンとミラはうちの家族達に驚いていた。
「ソータお兄ちゃんとカナエちゃんもスゴく強いんだよ!」
「ありがとうメイ」
「お役に立てて光栄です!」
芽依は嬉しそうに颯太とカナエの事を話している。
飛び立ってすぐに商隊の所に到着する。
トコヤミの姿を見て驚き逃げようとしていた商人達をギョクリュウが諫めているのが見えた。
着陸してマルダの事を説明する。
「分かりました。我々はここで冒険者の到着を待ちます」
「ああ、頼む」
ギョクリュウもこれで馬車馬の役から解放してあげられる。
「またいつでもお呼びください」
「ええ。またよろしくね」
ギョクリュウを送還した。
商隊に報告を済ませてトコヤミに乗りセイランを目指す。
『この気配は……!ハル様、近くに同族がいる様です』
飛行中にトコヤミが告げてくる。
「それは私達に害を及ぼす者ですか?」
「分かりません。しかし奴はこの先の街を襲うつもりでしょう」
ルーシェンの街を襲うつもりか。
「その竜を撃退しましょう。竜にむかって」
『御意』
竜はルーシェンから少し離れた山の頂に居た。
身体は白い鱗に覆われたドラゴンで、トコヤミの四分の一程度のサイズだった。
ヴァーシュ達はあれの気配を察知していたのだろうか?
「このまま戦闘するとハル様達が危険です。一度着地して下ろします」
「ええ、お願いね」
私達を下ろして飛び立っていくカクカミ。
凄まじい速度で白い竜の所に飛んで行き、ブレスをぶつける。白い竜はトコヤミに気付いて飛び立ち、飛来した巨大な火球を寸前で躱した。
山が炎に包まれて吹き飛んだ。
「トコヤミも張り切り過ぎているみたいだね」
颯太は笑いながら言っている。
笑い事では無いわね。後でトコヤミを叱らなくちゃいけないわ。
「山が……一撃で……」
「ヤベェ……衝撃波がくるぞ!」
「全員一箇所に集まれ!」
『鋼鉄の壁』の面々が前面に展開してみんなを守ろうとしてくれている。
トコヤミのせいで怪我をさせるわけにはいかない。
地面から石の壁を出して盾にして衝撃波を防いだ。
「おお……!ハルがやってくれたのか。ありがとう」
「いえ、元々はトコヤミのせいですので」
……戻ってきたら少しキツめに言っておこうかしらね。
空を見上げると、トコヤミと白い竜が空中で戦っていた。
いや、正確にはトコヤミが一方的に白い竜を追い回していた。
ブレスを避けながら逃げ回る白い竜。
……避けたブレスが遠くの地に着弾して巨大なクレーターを作っていた。
このままではトコヤミのせいで要らぬ犠牲者が出てしまう。
「カナエ、私をトコヤミの所に連れて行って」
「はい!」
カナエの風の魔法で空を飛びトコヤミの所に向かう。
「トコヤミ、やめなさい!ブレスを外すと被害が出てしまうわ」
「申し訳ありません……」
トコヤミは白い竜を追撃するのをやめた。
白い竜の方はこのまま逃げてしまうかと思ったが、こちらに戻ってきた。
「トコヤミ、なかなか呼び出してあげられなくてごめんなさいね。私達は急ぎセイランに帰らなくてはならないの。連れて行ってもらえるかしら?」
『お任せください!』
喜びの咆哮をあげるトコヤミ。
全員が身を竦ませていた。
「トコヤミ、皆が怖がりますから控えなさい」
『はっ、申し訳ありません!』
トコヤミは広い所に着地して身を低くする。
「皆さん、トコヤミの背中に乗ってください。途中で商隊に状況を報告して、彼らにはマルダを目指してもらいましょう」
「それならマルダから迎えをやろう。こちらから冒険者を派遣するから到着まで待つ様に言ってくれ」
「それなら馬を一頭連れて来てくれ。馬車馬が足らないんだ」
ディーンが冒険者の手配を買って出てくれ、ヴァンが気を回してくれた。
準備を整えて私達セイランの冒険者はトコヤミに乗って移動する。
「まさかドラゴンの背に乗る日が来るなんて……」
セロがトコヤミ背中の上から地上を見ながら呟いた。
「ハルさんはドラゴンも従えているんだね」
「他の魔獣も物凄く強かったですね」
リンとミラはうちの家族達に驚いていた。
「ソータお兄ちゃんとカナエちゃんもスゴく強いんだよ!」
「ありがとうメイ」
「お役に立てて光栄です!」
芽依は嬉しそうに颯太とカナエの事を話している。
飛び立ってすぐに商隊の所に到着する。
トコヤミの姿を見て驚き逃げようとしていた商人達をギョクリュウが諫めているのが見えた。
着陸してマルダの事を説明する。
「分かりました。我々はここで冒険者の到着を待ちます」
「ああ、頼む」
ギョクリュウもこれで馬車馬の役から解放してあげられる。
「またいつでもお呼びください」
「ええ。またよろしくね」
ギョクリュウを送還した。
商隊に報告を済ませてトコヤミに乗りセイランを目指す。
『この気配は……!ハル様、近くに同族がいる様です』
飛行中にトコヤミが告げてくる。
「それは私達に害を及ぼす者ですか?」
「分かりません。しかし奴はこの先の街を襲うつもりでしょう」
ルーシェンの街を襲うつもりか。
「その竜を撃退しましょう。竜にむかって」
『御意』
竜はルーシェンから少し離れた山の頂に居た。
身体は白い鱗に覆われたドラゴンで、トコヤミの四分の一程度のサイズだった。
ヴァーシュ達はあれの気配を察知していたのだろうか?
「このまま戦闘するとハル様達が危険です。一度着地して下ろします」
「ええ、お願いね」
私達を下ろして飛び立っていくカクカミ。
凄まじい速度で白い竜の所に飛んで行き、ブレスをぶつける。白い竜はトコヤミに気付いて飛び立ち、飛来した巨大な火球を寸前で躱した。
山が炎に包まれて吹き飛んだ。
「トコヤミも張り切り過ぎているみたいだね」
颯太は笑いながら言っている。
笑い事では無いわね。後でトコヤミを叱らなくちゃいけないわ。
「山が……一撃で……」
「ヤベェ……衝撃波がくるぞ!」
「全員一箇所に集まれ!」
『鋼鉄の壁』の面々が前面に展開してみんなを守ろうとしてくれている。
トコヤミのせいで怪我をさせるわけにはいかない。
地面から石の壁を出して盾にして衝撃波を防いだ。
「おお……!ハルがやってくれたのか。ありがとう」
「いえ、元々はトコヤミのせいですので」
……戻ってきたら少しキツめに言っておこうかしらね。
空を見上げると、トコヤミと白い竜が空中で戦っていた。
いや、正確にはトコヤミが一方的に白い竜を追い回していた。
ブレスを避けながら逃げ回る白い竜。
……避けたブレスが遠くの地に着弾して巨大なクレーターを作っていた。
このままではトコヤミのせいで要らぬ犠牲者が出てしまう。
「カナエ、私をトコヤミの所に連れて行って」
「はい!」
カナエの風の魔法で空を飛びトコヤミの所に向かう。
「トコヤミ、やめなさい!ブレスを外すと被害が出てしまうわ」
「申し訳ありません……」
トコヤミは白い竜を追撃するのをやめた。
白い竜の方はこのまま逃げてしまうかと思ったが、こちらに戻ってきた。
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