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竜の国
通信
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カナエに言われて魔法の構造を考え直す。
魔力の消耗が激しく時間差が発生するこれを無理矢理使える様にした所でどれ程の効果が見込めるか。
それならば一層の事、声を届けるのではなく信号を飛ばすだけにしてしまってはどうだろうか。
声を届ける為に複雑な呪文式を構築しているので、それ自体を無くしてしまえば消費も抑えられるかも知れない。
加えて私にだけ届けば良いのだから波長も予め刻んでおける。
連続使用ではなく使い切りの道具にしてしまうのはどうだろうか。魔力も封じ込めておけば誰でも使える。
大量の魔力を封じ込めておける媒体が必要だ。何か良い物は無いだろうか?
夕食の時に皆に聞いてみた。
「それならディアブライトという魔力を吸収する石がいいと思いますよ」
意外な事にその提案をしてきたのはエレだった。
「ディアブライトって確かとても高価な石だよね。高純度のディアブライトは数えるほどしか出回ってないって聞いたよ」
「稀に漁の網にかかる事があるみたいです」
リンとミラも知っている様だ。
海から採れるのなら海竜達に頼めば入手出来るだろう。いや……
泉の水を《物質変換して》ディアブライトを生成する。一掬いの水を変換したら小指の爪程の石が現れた。
その石は透き通る様な青色で、涙型の表面が滑らかな宝石だ。
「かなり価値が高いみたいね。これだけしか生成出来なかったわ」
「母さん、それはもしかして純度百パーセントのディアブライトなんじゃないかな?」
「ええ。多分そうよ」
颯太に答えると全員が小さな石を凝視していた。
「それで、これに魔力を入れて特定の魔法を作動させるにはどうしたら良いのかしら?」
「それならば私がお教えできます」
そう言ってきたのはラティーシアだ。彼女は付与魔術に詳しい様だ。
食事後に手解きを受けてディアブライトを核にした信号発信装置を作る。
「ハル様、この使い方だとディアブライトは砕けて二度と使えなくなってしまいます」
「構わないわ。確実に信号を届けてくれれば良いだけだから」
確かにラティーシアの言う通り、勿体ないのかも知れないが同盟国の窮地を知る為ならば惜しくはない。
瞬時に私の所に信号が届けばそれだけ助けられる人が増える。
石の周りにオリハルコンの輪を幾つも張り巡らせてそこに呪文を刻んでいく。
この装置は使い捨てで、私の所に特定の信号が伝わるだけの仕様だ。情報量が無い分、伝達速度も消耗も格段に向上させる事ができた。
発動の仕方はオリハルコンの輪を引き抜くだけだ。これならば誰でも扱う事が出来るだろう。
「これは……何とも豪勢な使い方ですね……」
制作の過程を見ていたイシュリアが顔を引き攣らせていた。
「これを各国に幾つか渡しておきます。伝わる信号に微妙な変化を付けて、何処の国からかを判別するの」
「成る程。良い考えですね」
ラティーシアは納得した様に頷いていた。
まずは一番遠いファディアから信号が届くか実験してみる。
翌日装置をメリーゼハーヴに届けて、自分はリーグニツの外れに移動して試してみた所、私の所に小さな音と光が飛んできた。
どうやら成功の様だ。ファディアに戻って実験の結果をメリーゼハーヴに伝える。
「これで妾がスプリングフィールドに行きたい時に精霊殿を呼び出せるのじゃな!」
「そんな事で呼び出したらあなたの部屋が無くなるわよ?」
「じょ、冗談じゃ……」
本当に冗談だったのかしら?
「しかしディアブライトをこんな事に使うとは驚いたのぅ。妾なら武器に転用するのじゃが」
「武器になるの?」
「うむ。今使ったディアブライトは純度が高過ぎて使ったらとんでも無い事になるじゃろうが、許容量ギリギリのディアブライトは軽い衝撃で魔力を放出して爆発するんじゃよ」
それは良い事を聞いた。
低純度のディアブライトを量産して武器に使う事にしよう。
魔力の消耗が激しく時間差が発生するこれを無理矢理使える様にした所でどれ程の効果が見込めるか。
それならば一層の事、声を届けるのではなく信号を飛ばすだけにしてしまってはどうだろうか。
声を届ける為に複雑な呪文式を構築しているので、それ自体を無くしてしまえば消費も抑えられるかも知れない。
加えて私にだけ届けば良いのだから波長も予め刻んでおける。
連続使用ではなく使い切りの道具にしてしまうのはどうだろうか。魔力も封じ込めておけば誰でも使える。
大量の魔力を封じ込めておける媒体が必要だ。何か良い物は無いだろうか?
夕食の時に皆に聞いてみた。
「それならディアブライトという魔力を吸収する石がいいと思いますよ」
意外な事にその提案をしてきたのはエレだった。
「ディアブライトって確かとても高価な石だよね。高純度のディアブライトは数えるほどしか出回ってないって聞いたよ」
「稀に漁の網にかかる事があるみたいです」
リンとミラも知っている様だ。
海から採れるのなら海竜達に頼めば入手出来るだろう。いや……
泉の水を《物質変換して》ディアブライトを生成する。一掬いの水を変換したら小指の爪程の石が現れた。
その石は透き通る様な青色で、涙型の表面が滑らかな宝石だ。
「かなり価値が高いみたいね。これだけしか生成出来なかったわ」
「母さん、それはもしかして純度百パーセントのディアブライトなんじゃないかな?」
「ええ。多分そうよ」
颯太に答えると全員が小さな石を凝視していた。
「それで、これに魔力を入れて特定の魔法を作動させるにはどうしたら良いのかしら?」
「それならば私がお教えできます」
そう言ってきたのはラティーシアだ。彼女は付与魔術に詳しい様だ。
食事後に手解きを受けてディアブライトを核にした信号発信装置を作る。
「ハル様、この使い方だとディアブライトは砕けて二度と使えなくなってしまいます」
「構わないわ。確実に信号を届けてくれれば良いだけだから」
確かにラティーシアの言う通り、勿体ないのかも知れないが同盟国の窮地を知る為ならば惜しくはない。
瞬時に私の所に信号が届けばそれだけ助けられる人が増える。
石の周りにオリハルコンの輪を幾つも張り巡らせてそこに呪文を刻んでいく。
この装置は使い捨てで、私の所に特定の信号が伝わるだけの仕様だ。情報量が無い分、伝達速度も消耗も格段に向上させる事ができた。
発動の仕方はオリハルコンの輪を引き抜くだけだ。これならば誰でも扱う事が出来るだろう。
「これは……何とも豪勢な使い方ですね……」
制作の過程を見ていたイシュリアが顔を引き攣らせていた。
「これを各国に幾つか渡しておきます。伝わる信号に微妙な変化を付けて、何処の国からかを判別するの」
「成る程。良い考えですね」
ラティーシアは納得した様に頷いていた。
まずは一番遠いファディアから信号が届くか実験してみる。
翌日装置をメリーゼハーヴに届けて、自分はリーグニツの外れに移動して試してみた所、私の所に小さな音と光が飛んできた。
どうやら成功の様だ。ファディアに戻って実験の結果をメリーゼハーヴに伝える。
「これで妾がスプリングフィールドに行きたい時に精霊殿を呼び出せるのじゃな!」
「そんな事で呼び出したらあなたの部屋が無くなるわよ?」
「じょ、冗談じゃ……」
本当に冗談だったのかしら?
「しかしディアブライトをこんな事に使うとは驚いたのぅ。妾なら武器に転用するのじゃが」
「武器になるの?」
「うむ。今使ったディアブライトは純度が高過ぎて使ったらとんでも無い事になるじゃろうが、許容量ギリギリのディアブライトは軽い衝撃で魔力を放出して爆発するんじゃよ」
それは良い事を聞いた。
低純度のディアブライトを量産して武器に使う事にしよう。
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