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竜の国
小競り合い
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それから一ヶ月程で、非常用の信号装置を各国の要所に配備。シグルーン国の皆の装備を更新していった。
信号魔法の開発には苦労したが、飛行魔法についてはあまり苦労もせずに開発することができた。ただし、実戦で使うには訓練を積まなければならない。
現状飛行魔法を操れるのは私と颯太と芽依だけだ。その他魔法が得意な主だった者には手解きをしてあるが、使いこなすにはまだまだ時間が掛かるだろう。
今は自室にて飛行魔法を文章化して広く伝える為に編纂している所だ。
『ハル様!先程海竜の使いの者からファディアに敵襲があったと知らせがありました!』
中庭に降り立って急報を告げて来たのは鳥の姿のオオトリだった。
私は窓を開けてオオトリに聞く。
「ご苦労様。メリーゼハーヴからは救援要請が来ていないわ。敵の規模はどれくらいかしら?」
『ドラコニアンがおよそ百騎、空から攻撃に来たそうです』
主戦力は海竜なのだから空からの攻撃は不利ね。
『メリーゼハーヴ殿からの言伝で、『手出し無用』との事です』
「そう……」
彼女にはファディア王国の守備も任せている、可能な限り被害を減らす様にと伝えてある。
メリーゼハーヴが手出し無用と言うのなら問題は無いのだろう。
それならば私は特にやる事はないのだが、何日か経って何も音沙汰がなければ見に行ってみるとしよう。
そんな事を思案していたら救援要請の信号が届いた。この反応はディアブレルだ。
「ディアブレルから要請が来ました。オオトリは引き続き空で警戒をお願い」
『畏まりました』
飛び立つオオトリ。私は屋敷にいた颯太と芽依にディアブレルに行く事を伝える。
「私も一緒に行っても良い?」
「ええ。お願い」
今更芽依を巻き込みたくないなどと言うつもりはない。
「僕は各所にこの事を伝えて警戒に当たらせておくよ。必要なら現地で召喚して」
「ええ。お願いね」
セロ達は冒険者ギルドの方に行っているのでこのまま街に居てもらう。そもそも彼らを戦場の最前線に連れていく気は無かったので都合が良かった。
『私はこのままついて行きます!』
話を聞きつけたカナエがやって来て私の肩に留まる。
私は芽依とカナエを連れてディアブレルへと転移した。
転移した先は城の中庭。何かあればここに転移すると予め伝えてある。
「精霊様、救援ありがとうございます」
「状況を教えてもらえるかしら」
声を掛けてきたのは国王のラシード。その後ろには騎士達が跪いていた。さらにその向こうにはグリフォン達も直ぐに飛び立てる様に準備されている。
「半日前に北部より魔物の大群が攻めて来ました」
北部には深い森があり、魔物らを発見したのは近くの村の者達だった。
防衛の任務に着いていた部隊が魔物の規模を確認し村民達を避難。
森に程近い三つの村を放棄して、一番近く堅固な石壁のあるノイエスという街に立て篭もっているそうだ。
ノイエスの守兵は百名程度で、近くの砦から増援として足の速い騎兵や鷲獅子騎兵が先行し、後続として歩兵千名も出撃済み。
魔物の大群はその街を包囲し攻撃する隊と、そのまま進軍する隊に分かれているらしく、どちらも千体程の大群だ。
「魔物はゴブリン、オーク、オーガーなどの人型の他、ライカンスロープが大勢混じっているとの報告がありました」
「ライカンスロープ?」
「それなら知ってる!人狼の事だよね?」
私よりも芽依の方が詳しいわね。人狼……狼男みたいなものかしら。
「はい。簡単に説明すると二足で歩く狼でしょうか。彼らは非常に身体能力が高く脅威的な治癒能力も備えている魔物です」
ライカンスロープというのは人間にのみ発症する病気の一種だそうで、自然に大量発生する事はまず無いらしいのだが。
「元人間なのね。自我はあるのかしら?」
「ライカンスロープは変身を繰り返す毎に理性を少しずつ失って行くと聞いた事があります」
「変身の条件は何かあるのかしら?」
「感情が高ぶると変身するそうです」
逆に気持ちを落ち着かせると元の姿に戻るのだとか。つまり戦意を失わさせれば無力化出来るかも知れない。
「大体分かりました。早速救援に向かいます」
私達は飛行魔法を発動させて上昇すると、北部へと向かった。
信号魔法の開発には苦労したが、飛行魔法についてはあまり苦労もせずに開発することができた。ただし、実戦で使うには訓練を積まなければならない。
現状飛行魔法を操れるのは私と颯太と芽依だけだ。その他魔法が得意な主だった者には手解きをしてあるが、使いこなすにはまだまだ時間が掛かるだろう。
今は自室にて飛行魔法を文章化して広く伝える為に編纂している所だ。
『ハル様!先程海竜の使いの者からファディアに敵襲があったと知らせがありました!』
中庭に降り立って急報を告げて来たのは鳥の姿のオオトリだった。
私は窓を開けてオオトリに聞く。
「ご苦労様。メリーゼハーヴからは救援要請が来ていないわ。敵の規模はどれくらいかしら?」
『ドラコニアンがおよそ百騎、空から攻撃に来たそうです』
主戦力は海竜なのだから空からの攻撃は不利ね。
『メリーゼハーヴ殿からの言伝で、『手出し無用』との事です』
「そう……」
彼女にはファディア王国の守備も任せている、可能な限り被害を減らす様にと伝えてある。
メリーゼハーヴが手出し無用と言うのなら問題は無いのだろう。
それならば私は特にやる事はないのだが、何日か経って何も音沙汰がなければ見に行ってみるとしよう。
そんな事を思案していたら救援要請の信号が届いた。この反応はディアブレルだ。
「ディアブレルから要請が来ました。オオトリは引き続き空で警戒をお願い」
『畏まりました』
飛び立つオオトリ。私は屋敷にいた颯太と芽依にディアブレルに行く事を伝える。
「私も一緒に行っても良い?」
「ええ。お願い」
今更芽依を巻き込みたくないなどと言うつもりはない。
「僕は各所にこの事を伝えて警戒に当たらせておくよ。必要なら現地で召喚して」
「ええ。お願いね」
セロ達は冒険者ギルドの方に行っているのでこのまま街に居てもらう。そもそも彼らを戦場の最前線に連れていく気は無かったので都合が良かった。
『私はこのままついて行きます!』
話を聞きつけたカナエがやって来て私の肩に留まる。
私は芽依とカナエを連れてディアブレルへと転移した。
転移した先は城の中庭。何かあればここに転移すると予め伝えてある。
「精霊様、救援ありがとうございます」
「状況を教えてもらえるかしら」
声を掛けてきたのは国王のラシード。その後ろには騎士達が跪いていた。さらにその向こうにはグリフォン達も直ぐに飛び立てる様に準備されている。
「半日前に北部より魔物の大群が攻めて来ました」
北部には深い森があり、魔物らを発見したのは近くの村の者達だった。
防衛の任務に着いていた部隊が魔物の規模を確認し村民達を避難。
森に程近い三つの村を放棄して、一番近く堅固な石壁のあるノイエスという街に立て篭もっているそうだ。
ノイエスの守兵は百名程度で、近くの砦から増援として足の速い騎兵や鷲獅子騎兵が先行し、後続として歩兵千名も出撃済み。
魔物の大群はその街を包囲し攻撃する隊と、そのまま進軍する隊に分かれているらしく、どちらも千体程の大群だ。
「魔物はゴブリン、オーク、オーガーなどの人型の他、ライカンスロープが大勢混じっているとの報告がありました」
「ライカンスロープ?」
「それなら知ってる!人狼の事だよね?」
私よりも芽依の方が詳しいわね。人狼……狼男みたいなものかしら。
「はい。簡単に説明すると二足で歩く狼でしょうか。彼らは非常に身体能力が高く脅威的な治癒能力も備えている魔物です」
ライカンスロープというのは人間にのみ発症する病気の一種だそうで、自然に大量発生する事はまず無いらしいのだが。
「元人間なのね。自我はあるのかしら?」
「ライカンスロープは変身を繰り返す毎に理性を少しずつ失って行くと聞いた事があります」
「変身の条件は何かあるのかしら?」
「感情が高ぶると変身するそうです」
逆に気持ちを落ち着かせると元の姿に戻るのだとか。つまり戦意を失わさせれば無力化出来るかも知れない。
「大体分かりました。早速救援に向かいます」
私達は飛行魔法を発動させて上昇すると、北部へと向かった。
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