転生少女、運の良さだけで生き抜きます!

足助右禄

文字の大きさ
152 / 827
武具大会

予選Gブロック

しおりを挟む
4つのブロックの決勝進出者が出揃って、いよいよ私、ソラちゃん、テュケ君の番が回ってきた。

Gブロックのバトルフィールドに乗る。

「なんだ?お嬢ちゃん出場者か?まあ頑張れよ。」
「ふひひひ…カモが来たぜぇ……。」
「一人は問題なし、と。あとは他の連中か…。」

口々に何か言ってきたのは長剣に軽鎧の青年、物凄く湾曲している刀とブレストプレートに左手だけガントレットをしたスキンヘッドで痩せ細った男の人、広刃の剣に大盾と重鎧を身につけたドワーフ。

好き放題言われてるなぁ。
でも相手にされない方がいいと思う。この大会は武具のメンテナンスができないから、予選で消耗させるのは得策じゃない。上手く立ち回って人が減ったところで勝負に出よう。

「お前もこのブロックとはなぁ。」

後ろから耳元で囁く耳障りな声。振り返ると昨日お城で絡んで来た大男がいた。
顔が近くて思わず飛び退いてしまう。

「お手柔らかに…。」
「来た以上は楽しませてもらうぜぇ!まずは裸にひん剥いて泣かせてやる。」

青竜刀みたいな巨大な曲刀を肩に担いで気持ちの悪い笑みを浮かべている。

この人は初めから私を狙ってくるかな。
逃げ回っていれば疲れてくれるかも知れないけど、私が疲れちゃったら意味がない。さて、どうしようか。

銅羅が打ち鳴らされ予選が開始される。
案の定あの人が突っ込んで来た。大刀を振り下ろしてくる。けど、軌道もしっかり見えている。低い姿勢で攻撃を潜り抜けるとそのまま距離を取る。

横から追撃が来たので更に前方向に前転して躱した。

「おいおいおい楽しそうだなぁ!兎狩りかぁ?俺にもヤらせろよぉ!」

さっき私の事をカモ呼ばわりしていた人だ。手に持つ武器は異様に湾曲した刀、ショーテルって名前だったかな。

「邪魔するんじゃあねぇ!」
「そう言うなよぉ。俺も子兎と遊びたいんだよぉ。」

カモから兎になっていよいよ子兎呼ばわりだよ。2人とも攻撃が単調だから逃げるだけならそう難しくない。体力の温存をしたいから他の人も巻き込んで乱戦にしてしまおうか。

「早いもん勝ちだぁ!」

ショーテルの男が不規則な軌道で攻撃に来る。
斬撃を潜り抜けて懐に入って反撃を…と思ったけどショーテルの刀身を見て後ろにステップして避ける。

この曲刀って両刃なんだ…。
うっかり内側に入ったらそのままザックリやられていたかも知れない。

「っざけんなよ!コイツは俺の獲物だ!」

大振りな横なぎをジャンプして躱す。そのまま大男の肩を掴んで飛び跳ねると背後に回って着地する。
不運にも大刀の一撃が他の参加者に命中する。
私のさっきまでいた所のすぐ後ろに軽鎧に長剣の男性が来ていたのだ。

「うげぇっ……」

鎧に当たったのでバッサリ斬られてはいないけど衝撃でその場に蹲ってしまう。

「邪魔だ!」

大男は長剣の男性の顎を蹴り上げて昏倒させる。
うわぁ…酷い。
あれ、あの人って足に装備着けてなくない?反則だよ!

「捕まえたぁ!」

着地を予想してショーテルが回り込んでいた。湾曲した刃の内側に捕らえられる。このまま逃げ回っていても体力を消耗するだけだ。ミスリルショートソードを正眼に構えて迫りくるショーテルを迎え撃つ。
刃がぶつかる瞬間、ショートソードを勢いよく振り下ろした。

キイィィンと甲高い音が鳴ってショーテルは真ん中から折れた。
間髪入れずに回し蹴りを放って柄を跳ね飛ばす。勢いを殺さずに懐に入り込むとショートソードを首に押し当てる。

「ま、まいった……」

良かった、降参してくれた。

「オラァッ!ちょこまか逃げてるんじゃあねぇぞ!!」

背後から大刀の男が迫ってくる。

「フヒッ……あのヤロウ、俺よりイカれてやがる。」

ショーテルの人が私を抱き抱えるとクルリと180度反転して私を突き飛ばす。

何っ!?

見えたのはザックリと背中を斬られて崩れ落ちるショーテルの人。その向こうには鬼の形相で大刀を振り下ろしている男。

なんて事を…!

試合は止められる様子はない。倒れた男の人の傷はかなり深い。早く手当てしないと…。

「人の獲物に手ぇ出すからこうなる。」

ニヤニヤと笑いながら倒れた男を見下ろしている。

この人はダメだ。逃げ回っていると周りに被害が出る。試合としてはそれでいいけど、この人は加減を知らない。このままだと死人が出てしまう。
サッサとやっつけてしまおう。

ショートソードを正面に構えて様子を見る。

「やっと戦う気になったかぁ?」

余裕を見せる大刀の男。私の攻撃が届かないと思っているのだろう。でもこれならどうだ!

アクセラレーションを発動して一気に間合いを詰める。コンパクトに横に大刀をスイングしてくる。それを潜り抜けて背後に回る。

「動きが単調だぜぇっ!!」

男の左手が私の首に伸びてくる。でもそれは私も読んでいた。
柄頭で男の手をかち上げると左脇腹にある鎧の留め金を攻撃して破壊した。

「ふざけやがって!!」

大刀を持つ右手が振り下ろされる。近過ぎる為か刃ではなく柄による打撃だ。それを右に見ながら躱して右脇腹の留め金を破壊した。
そこで敢えて動きを止めて男をじっと見る。

頭に血が上った男は私に向かって蹴りを放つ。余裕を持ってそれを躱すと軸足に渾身の蹴りを放って転倒させる。

倒れた男の右腕を踏み付けて大刀を蹴飛ばした。

鎧は既に留め金を破壊されて装備しているとは言い難く、武器も手から離れているのでこれで失格の筈だ。チラリと審判を見る。

「失格だ。速やかに退場しろ。」

よし!

「クソがぁぁっっ!!」

一瞬油断してしまった。男は左手で私の足を掴むと乱暴に引き倒しにくる。

「クソガキがぁっ!舐めた事しやがってぇぇっっ!!」
「おいやめろ!お前は失格になったんだ!」

審判の人の命令も完全に無視だ。どうしようもない。ワザと倒されるように動く。もちろんタダでは倒れない。男の肘にショートソードの柄を乗せてそこに全体重を掛ける。嫌な音がして悲鳴を上げる男。

手の力が抜けたので素早くその場から離れる。審判が4人とも男を取り押さえにやってきた。

いや、そっちじゃなくてショーテルの人とさっき顎を蹴られた人の手当ては?

2人とも倒れたままだったので、重傷のショーテルの人に駆け寄ってラッキーシュートを掛けたヒールを使う。あっという間に傷は塞がったけど、出血量が多い。大丈夫だろうか?

「君、フィールド内での魔法の使用は失格だ。」
「あっ…!」

しまった。
しおりを挟む
感想 1,520

あなたにおすすめの小説

素材採取家の異世界旅行記

木乃子増緒
ファンタジー
28歳会社員、ある日突然死にました。謎の青年にとある惑星へと転生させられ、溢れんばかりの能力を便利に使って地味に旅をするお話です。主人公最強だけど最強だと気づいていない。 可愛い女子がやたら出てくるお話ではありません。ハーレムしません。恋愛要素一切ありません。 個性的な仲間と共に素材採取をしながら旅を続ける青年の異世界暮らし。たまーに戦っています。 このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。 裏話やネタバレはついったーにて。たまにぼやいております。 この度アルファポリスより書籍化致しました。 書籍化部分はレンタルしております。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

私の家族はハイスペックです! 落ちこぼれ転生末姫ですが溺愛されつつ世界救っちゃいます!

りーさん
ファンタジー
 ある日、突然生まれ変わっていた。理由はわからないけど、私は末っ子のお姫さまになったらしい。 でも、このお姫さま、なんか放置気味!?と思っていたら、お兄さんやお姉さん、お父さんやお母さんのスペックが高すぎるのが原因みたい。 こうなったら、こうなったでがんばる!放置されてるんなら、なにしてもいいよね! のんびりマイペースをモットーに、私は好きに生きようと思ったんだけど、実は私は、重要な使命で転生していて、それを遂行するために神器までもらってしまいました!でも、私は私で楽しく暮らしたいと思います!

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。