転生少女、運の良さだけで生き抜きます!

足助右禄

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地球

散り散りの仲間達2

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~side ハナ~

私は民家の中にいた。
この国では家に入る時に靴を脱がなければならないらしい。

木造の洗練された建物だ。どこか趣を感じる。
草を編み込んだ敷物、大きな木の一枚板で出来た足の短いテーブル。ここの文化は独特だ。

私をここに招き入れてくれたのは老夫婦だった。
残念ながら何を言っているのかが分からない。ただ、私の事を心配してくれているのだと言うのは何となく分かった。

食事を取らせてくれ、お湯までいただいた。着替えを用意してくれたのだが、ゆったりとしたガウンの様な服を着せられて腰のところで丁寧に帯を結んでくれた。

さて、私はこれからどうしたらいいだろうか?
ここは恐らくマサキ達の世界なのだろう。色々な話を聞いてきたから何となくわかる。

転生者達を集めて話していたもしもの時の集合場所。簡単に書いた地図の指していた位置は分かる。ただ、地名については分からない。

この家には地図の様なものはないだろうか?勝手に歩き回るのは悪いと思い探せないでいる。

「ーーーー、ーーーーー?」

お爺さんが何かを言って四角い小さな箱を操作する。壁際にあった何も入っていない黒い額縁に絵が映し出される。

な、なんだ…!?
中の絵が動いている…?どうなっているんだ?

中に人が居て何かを喋っていた。

そうだ…ネネに聞いていた。これがテレビというものか。

画面が次々と移り変わっていく。こちらの世界は凄まじいな…。

と、ミナの家で見た地図に似たものが映し出される。

これだ!お爺さんに何とか伝えないと。

私はテレビの画面の、集合場所と言われていた場所を指差して必死に訴える。

「すまない、私はどうしてもここに行かなければならないのだ。どうやって行けばいい?ここからどれくらいかかるだろうか?」
「ーーー?ーー、ーーーーーーー」

駄目だ…理解してくれていない。
テレビは違うものに変わってしまった。

あの地図をもう一度映してもらえないだろうか…?

言葉が通じず、味方は誰もいない。
魔法は何も使えなかった。
今の私は無力な子供だ。

マサキ…ネネ…。

2人は無事だろうか?私を探してくれているだろうか?

心細い……もう会えないのかな。
もっと娘らしく甘えておけば良かった…。

会いたいよ…お父さん、お母さん…。

お爺さんは泣き出す私を見て優しく頭を撫でてくれた。
お婆さんもやって来て抱きしめてくれた。

その間2人は何か話をしていた。

どれくらい泣いていただろうか。
お爺さんが泣き止んだ私の目の前に一枚の紙を持って来た。

これは…地図だ!

私が何かを言おうとしていた事を理解してくれていたんだ!

私は合流地点の場所を指差す。

するとお爺さんが少し離れたところを指差した。ここが現在地の様だ。
どれくらい離れているのだろう?

何とか聞きたい情報を伝えようとするが、どうしても伝わらない。
でも、現在地と目的地が分かっただけでも良しとしよう。
時間はかかるかも知れないけど、こちらの言葉を学んでいくしかないな。

あれから二日が経った。
私はまだ老夫婦の家に世話になっている。そして少しずつここの言葉を理解し始めていた。

庭に出て周りを見ていると、見たことのある顔が現れた。

「よお」

気軽に挨拶をして来た男はマサムネだった。こちらの服を着ていた。

「マサムネ…」

警戒する。今の私に戦う術はない。今この男に攻撃されたら助かる術はない。

「お前、どうしたんだその着物は?よく似合ってるじゃねぇか。」
「これは…ここの人が着せてくれたんだ。だが、ここの人は私とは無関係だ。巻き込みたくない」
「知るか」
「ま、待ってくれ!私がお前と一緒に行けばいいだろ?頼む…ここの人達には手を出さないでくれ!」

私の声を聞きつけてお爺さんとお婆さんがやってくる。

「ーーー、ーーーーー?」
「ーー、ーーーーーーーーーー」

お爺さんとマサムネが何かを話している。

「今、お前と俺は家族だと伝えた。それらしい演技をしろ」
「分かった…」

マサムネに抱きついて泣きじゃくるフリをする。

どうやら老夫婦は信じてくれたみたいだ。

話は簡単に進んで、夫婦の家から出て行くことになった。
お辞儀をしてありがとうを伝える。

もう会える事はないだろうけど、見ず知らずの私を実の子の様に大切にしてくれた。
本当にありがとう…。

洗濯をしてくれていた私の服に着替えてマサムネと手を繋いで家を出て行く。
2人は私達が見えなくなるまで見送ってくれていた。

「さて、人通りの少ない所に行くとしようか」

繋いでいた手を強く握られて痛みが走る。

「どうするつもりだ?」
「俺はな、マサキに復讐したくて探していたんだ。お前をな」
「マサキには会っていないのか?」
「ああ、残念ながらな」

マサムネは私を殺して、マサキに絶望を味わらせてやると邪悪に笑っていた。

「近くに川があったな。橋の下でお前をバラす。安心しろ、俺は悪趣味じゃないからな。なるべく痛くないように殺してやるよ」

立ち止まろうとする私を引きずる様にして歩かせるマサムネ。

抵抗しても無駄だった。
直ぐに川に着いてしまい、橋の下に連れて行かれる。

「可哀想になぁ、マサキの娘になんて生まれて来なければ、こんな所で死なずに済んだのに」

マサムネはインベントリから長剣を取り出した。

「お前、マサキに殺されるぞ」
「それは無理だな。お前達はギフトどころか技能を全て無くしている。一方俺達は全部そのまま、分かるか?俺達は圧倒的に有利なんだよ!」

剣を抜いて切先を突きつけて私の身体をなぞる。

浅く斬り付けられて痛みが走る。

「悪趣味だな…さっき言ったのは嘘か?」
「生意気を言ったお仕置きだぜ」

本当に僅かに斬り付けられて服は裂け、皮膚を浅く斬り付けられる。

痛い…痛い…

だが、こんな奴の前で泣き叫ぶつもりは無い。

「弱いものには威勢がいいのだな。正しくクズだ」
「何だと?」

剣を持つ手に力が入る。プツリと皮膚を破って私の右太腿に深く剣が突き刺さる。

「気が変わった。ゆっくりと時間を掛けて殺してやるよ。いい声で鳴いてみせろよ?」

私はここで死ぬのか…こんなクズに切り刻まれて…呆気ないものだ…

「《ライトニングボルト》!」

目を閉じた瞬間、聞き覚えのある声が聞こえた。
目を開けると雷撃がマサムネを貫いていた。

「お待たせハナ!」
「お母さ…ネネ!」

私の母が助けに来てくれた!
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