転生少女、運の良さだけで生き抜きます!

足助右禄

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特別編3:異世界

虚空の覇者

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勝負は一瞬。

私はオーバーブーストを敏捷に掛けて《オーバードスピード》で加速する。

カゼインさんは私の能力発動の僅かな兆候を察知して次元跳躍で別空間に逃げる。

止まった世界ではカゼインさんの姿は無く攻撃が出来ない。

何度やっても同じだ。

でも、私が捕まえる手段を持っていたらどうかな…!

初めて使うからどうなるかは分からないけど、こんな攻撃は幸運に頼りきりのデタラメな攻撃だけど…!

届く!!

オーバーブーストを掛けて《ヴォイドウェスティオ》を使用してディエスエグゼクリシオンに付与!

何処に居たって絶対に捕まえてやる!

何もない所に全力で剣を振り抜く。

斬撃は空間を切り裂きその先にいるものを捉えていた。

加速状態が解除された時、いなかった筈のカゼインさんが地面に倒れていた。

「はぁっはぁっ……な、何をした?」

切り裂かれた脇腹を押さえながら呻くように言うカゼインさん。

「あなたと同じ力を使いました。もうあなたの攻撃も回避も通用しませんよ」

実際はあの次元跳躍を連続で使用されたら捕捉することは出来ないけど、今はハッタリでも言っておいた方が良いと思う。彼の戦意を削ぐ事ができたらラッキーくらいの嘘だ。

「まさか僕をここまで追い詰めるなんて…やっぱり君、凄いよ…」

戦意を失くしてくれたかな?これで終わりでいいなら治療をしてあげようか。

「あれだけの力を行使したんだ。ぼくの仲間が集まって来るよ。そうしたら君はどうするのかな?」

顔を歪めて笑うカゼインさん。

あれだけの力…《ヴォイドウェスティオ》の事だね。レフィさんが『力を使うと知られる』と言っていたからここにカゼインさんのお仲間が来ちゃう…?

いつの間にか私とカゼインさんの周りに人が立っていた。3人の男女。

「なぁにカゼイン、やられてんじゃない」

そう言ったのは20歳位の黒髪の女性。

「だっせぇな。人間に負けたのかよ」

カゼインさんと同じくらいの金髪の少年が言う。

虚空の覇者ヴォイドマスターの顔に泥を塗ったな。死んで償え」

茶髪の青年がカゼインさんを睨みつけながら言った。

「ちょっと待ってください!いきなり現れて何なんですか!」

私に負けた位で死ねだなんて…無茶苦茶だよ。

「人間如きが、我々に割り込むな」
「いいえ!たったこれだけでカゼインさんを殺すなんて酷過ぎます!」
「邪魔をするならここでお前も死ね」

この人達は…!

同じ方法でこの3人も倒すしかない。

少年と女の人がカゼインさんに攻撃にいく。

させないよ!

《ヴォイドフィールド》を張ってカゼインさんを守る。

2人は《ヴォイドウェスティオ》でコーティングした腕を結界にぶつけているけど跳ね返す事ができた。

「この人間…何故私達と同じ力を!?」
「それ、勝手に使っちゃダメなんだよ!」
「何という出力だ…仕方がない。邪魔をするというなら…」

青年は私に背を向ける。
彼が見たのはユキさん達だった。
右手を向けて何かを放とうとしている。

そんな事…絶対にさせない!!

超加速を掛けて結界を解除、青年の側面に回り込んで思い切り蹴りを放つ。

加速状態が解除される。
無防備に腹部を蹴飛ばされて吹き飛ぶ青年。女性と少年が受け止めていた。

「誰も殺させない」
「何なんだ…コイツ…」
「私達の反応速度を越えて…」

私は仲間もカゼインさんも殺させない。
この人達も殺すつもりはない。

『何をやっているか!馬鹿者共!!』

ズンと響く重たい大音声。思わず身がすくんでしまう。
それは私の真横で聞こえた。

私の身長の3倍はあろうかという巨躯。
全身が金属で出来ているかの様な黒い光沢を放ち、顔は人のものではない。

鬼。

巨大な一本角を生やした頭は魔物そのものだった。
目に眼球はなく透き通る様な青一色。
その目には理性的な光を感じた。

この人は敵じゃないと直感で分かった。

そして何より…

「日本語…?」

虚空の覇者ヴォイドマスター…なぜこの様な所に…」

3人はその場に跪き首を垂れる。
カゼインさんも起き上がり3人に倣う。

「お前達、また言いつけを守らずに諍いを起こしていたな?」
「も、申し訳ありません…!」
「今すぐここより立ち去れ!虚空宮ヴォイドパレスにて処遇を伝える。それまで大人しくしていろ!」
「ははぁっ!」

3人は転移で姿を消した。カゼインさんも転移しようとするけど虚空の覇者ヴォイドマスターさんがそれを止める。

「カゼインだったな。お前には他の任を与えるかも知れん。呼び出しを待て」
「はい…」

転移するカゼインさん。

「さて、君達には私の部下が大変失礼した。どうか許して欲しい」

私の前に跪いて頭を下げる虚空の覇者ヴォイドマスターさん。

「いえ…あの人達を止めて下さってありがとうございました」
「いや、こちらこそ礼を言わせて欲しい。部下を1人も殺めなかった事、君の慈悲があったからだと理解しているつもりだ」

この人はレフィさんが言っていた通りの人みたい。

「改めて名乗らせてもらおう。私は虚空の覇者ヴォイドマスター。君達の世界と世界の境界を管理する者だ」
「ミナといいます。アスティアで神をやっていますが、この地球の転生者でもあります」
「神であったか…重ね重ね大変失礼した」
「もういいんです。誰も死んでいないから」

そうだよ。無事に終わったんだ。

「もし宜しければ、我が居城、虚空宮ヴォイドパレスに招待したいが受けていただけるだろうか?」
「はい。でも少しお時間をいただけますか?」
「勿論だとも。では後日、遣いの者を寄越そう。失礼」

そう言って虚空の覇者ヴォイドマスターさんは消えた。
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