転生少女、運の良さだけで生き抜きます!

足助右禄

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特別編3:異世界

虚空の使徒

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トリプルブーストの《レイブラスター》が命中して光に飲み込まれたジャヴォール・オルグ。

ヴォイド系能力で防がれてしまったかと思ったけど、爆煙が収まって見えてきたのはバラバラに砕け散った魔王の残骸だった。

「うわぁ…」
「凄い威力ですね」
「案外呆気なかったね」

3人は消し飛んだ魔王の残骸を見ながらそれぞれ言っている。

「はぁっ…はぁっ…」

胸が締め付けられる様な痛みに襲われる。

やっぱりトリプルブーストは身体の負担がハンパない。その場に座り込んで呼吸を整える。

「ミナさん大丈夫ですか?」
「はい…。これやっちゃうと、暫く動けなくなっちゃうんです…」

アニエスさんが側で支えてくれて《リフレッシュ》を掛けてくれるけど効果はない。
あれかな。根元のエネルギーを使っているのかも。

「あの力を使わなくても倒せたね」
「あの怖いやつねー」

俯いているとアンネさんとほのかさんの声が聞こえてきた。こっちに歩いてきているみたい。
今の魔法で城の大半は吹き飛んでもう殆ど屋外だ。

倒してしまったけど本当に良かったのかな?元神様の魔王で、世界に関わる何かをしようとしていたのかも知れないんだけど。

でもヴォイド能力を使う相手に手加減なんてしていられない。

手掛かりは無くなってしまったけど、次はどうしようかな。

みんなに意見を聞きたいけどまだ身体が動かない。
何とか顔を上げてみんなを見ようとした時、信じられない光景が見えた。

「に、にげ…て…!」

掠れる声で警告を発したけど声は届かない。

ほのかさんの背後でジャミルさんが剣を振りかぶっていた。
あれは…ヴォイドの剣…!

何でジャミルさんがその力を使えるの?
いや、そんな事よりこのままじゃほのかさんが!

…ダメだ。身体が動いてくれない…。

ほのかさんの周囲にいた精霊達が気配に気付いてジャミルさんを迎え撃つ。
振り抜く剣になす術もなく斬られていく精霊達。みんなに出来るのはほのかさんをこちらに突き飛ばして少しでもジャミルさんとの距離を離す事だけだった。

それでもまだ攻撃の範囲内。
ほのかさんに虚空の刃が迫る。

アニエスさんとアンネがジャミルさんを迎撃しようと動くけど魔法も《ソードコントロール》も拳も間に合わない…!

だけど1人だけジャミルさんの動きに追いついた。ジャディルさんだ。

ジャミルさんの剣とほのかさんの間に自分の身体を割り込ませてほのかさんを思い切り突き飛ばす。
吹き飛ばされたと言っても良いくらいの勢いで飛んでくるほのかさんをアニエスさんが受け止めて2人で転がっていった。

ジャディルさんの身体は上下に分断されてしまう。

「お前…!なんでこのタイミングで!!」

アンネさんは接近をやめてありったけのエレメンタルを両手に集めている。

「チッ…ジャディルさんに邪魔されるとは思わなかったっスよ」
「…お前、何故裏切った…?」
「そうっスね…そのスギウラホノカが憎いから、でしょうか?」

ほのかさんの事を知っている…?
ヴォイド能力…まさか…

虚空の覇者ヴォイドマスターさんの部下の人…?」
「ご名答っス。俺は元々虚空の覇者ヴォイドマスター様の僕でした」

でした…?

「色々嫌になっちゃいまして。丁度良い世界があったので俺の固有能力でマスターに気づかれない様に隠したんスよ。あそこの連中野蛮だからしょっちゅう世界を破壊するんで1つくらい無くなってもマスターも気にしないんス」

さっきまでと変わらない調子で喋るジャミルさん。

「この世界は俺が作り替えたんスよ。ここの神々を誘導して、面白おかしくしようと思ってね。因みにさっきミナ嬢が吹き飛ばしたジャヴォール・オルグは俺が操っていたんスよ。色々巧くいっていたんスけど、まさかマスターが探していたスギウラホノカが飛ばされてくるなんて思いもしなかったっスよ」
「何処かで会った事ある?殺される程恨まれる様な事はしてないと思うんだど?」

アニエスさんと起き上がりながら聞くほのかさん。
ジャミルさんはニコリと笑って話を続ける。

「俺、一度アンタに会ってるんスよ。マスターの命令でアンタを探している時に偶然にね。あの時はアンタの能力でボコボコにされて、身体の半分を失ったんス。あ、その事を恨んでる訳じゃないスよ。その後スギウラホノカを取り逃したって同僚達に散々な目に遭わされて、それで虚空宮ヴォイドパレスから逃げてきたんス」
「それって逆恨みじゃない?」

そうだよ。逆恨みじゃん。

「そうっスね。でも、スギウラホノカを殺したあとはみんなも殺しますよ?ここの事をバラされたら困るんで」

なるほど…私達がここの事を虚空の覇者ヴォイドマスターさんに話したら部下の人が来ちゃうもんね。

「いやー本当に力が使えないんスね。あんな力を振るわれたら俺なんて今度こそ瞬殺だと思ったんスけど、これは本当にツイているっス」

剣を右手にぶら下げながらこちらにゆっくりと歩いてくる。

アンネさんは私達の方に回り込んで立ち塞がった。

「私を土産に虚空の覇者ヴォイドマスターの所に戻るっていうのはどう?今なら大人しく捕まるけど?」
「いやー俺はあそこの馬鹿な同僚達が嫌いなんで。2度と顔も見たくないレベルだから、ここに来た事自体を無かった事にしたいんス」

交渉の余地は無し、と。

私は身体がまだ動かない。

私を庇って戦うとなるとみんなが危ない。

早く動けるようにならないと…このままじゃ全滅する。
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