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特別編3:異世界
街内観光
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勢いよくドアが開いて更に入って来たのは竜人族だった。背丈は2.5メートルで鱗に覆われた身体は筋肉が浮き上がっている様に見え、背中に翼も生えている。
ハウト氏の竜人族かな?
ユキさんににじり寄っているお姉さんと上半身裸の青年と大男に容赦なくゲンコツを落としていく。
…スゴい音がしたけど大丈夫?全員床に倒れているけど…。
「うちのバカ共が大変失礼した!本当に申し訳ない!」
そう言うと腰を90度に曲げて謝罪してくる竜人族さん。
「ディラルさん、遅いですよ~」
「いや、すまん。他の連中は宿舎で迎撃したのだが気を抜いていた。庭木に水をやっている間にコイツらを取り逃がしてしまって」
ええと、他にもいるんだ…。
「あ、ありがとうございます。私はミナと言います」
「おお、君がミナか!話は聞いている。ようこそ《ピクシーハンズ》へ。俺はディラルハウトだ」
この人…じゃなくて、この竜人族さんがこの前話していたディラルさんなんだね。
「竜人族が1番常識人とは…」
「面白いねー」
「愉快なギルド」
リオさん、ほのかさん、ソラちゃんは倒れている4人を見ながらそれぞれ言っていた。
「あら、みんなおかえりなさい。ミナさん達も、来るのは今日だったのね」
ギルドの正規の出入り口から入って来たのはセラさん。
「ただいまセラちゃん。連絡方法がなかったのでそのまま来てもらいました」
アニエスさんが受け答えしている。
「来て早々騒がしくしてしまったみたいね。みんな根は良い人だから気を悪くしないでください」
「はい」
大分変わった人達だけどアニエスさん達のギルドだし信じよう。
改めてホールを見渡すと、エリストの冒険者ギルドよりもずっと広い。
酒場と併設だからかもしれないけど、それでも広い。
バーカウンターのような所には白いシャツにベストを着た20代半ば位の男の人がグラスを拭いている。
「あの人はハーマンさんです。見ての通り酒場のマスターですね」
レフィさんが紹介してくれた。
「何か飲んでいくか?酒以外も沢山あるぞ」
落ち着いた感じのお兄さんだけど目付きが鋭い。
「ここは酒を飲まない冒険者が沢山いるからな」
「私達の事ですね。すみません、いつも気を遣っていただいて」
「構わんさ。何を飲んでも客は客だ」
アニエスさんもお酒は飲まないんだね。
「一度試してみてダメでした」
「美味しくない」
「私は飲めますよ~」
アニエスさん、アンネさんは飲めない。レフィさんは好きみたいだね。
「私は飲んでも酔わないから」
セラさんはその姿でまさかの酒豪?と思ったら状態異常は効かないのだとか。
酔っている状態って状態異常なの?
「酒については後で頂こう。折角来たのだからこの世界を見て回りたい」
ルーティアさんはお酒と聞いて耳が忙しなく動いていたけど、飲むのは後にするらしい。
「賛成だ。出来ればこのギルドの剣士と話がしてみたい」
クロウさんはこの世界の剣術に興味があるのかな。
「街の案内からしましょうかね~」
「お願いします」
レフィさんが案内してくれるそう。
アニエスさんとアンネさんは私達が街を見学している間にギルドの人達を呼んでおいてくれるらしい。
ギルドから出てすぐの通りは小型の馬車が何とか通れそうな程の道幅しかなくて曲がりくねっている。
道沿いには露店が立ち並んでいて、すでに商売も始まっていた。
「この辺りはアヴァロンでも貧しい人が暮らしているエリアなんですよ~。内側に行くにつれお金持ちの住むエリアになりま~す」
レフィさんざ歩きながら説明を始める。
少し歩いたら大通りに出た。右側は少し進むと大きな壁と門。左側は綺麗な街並みが続いていて遠くに大きな壁と門が見える。
レフィさんがアヴァロンの構造を教えてくれる。
この街は円形に巨大な壁が3重に築かれていて、外側が貧民街、その内側が平民と商業区、更に内側がお金持ちと貴族が住んでいるエリアだそう。
それからアヴァロンにはあらゆる種族が暮らしていて、種族毎にも居住エリアが分かれているそう。
「じゃあ竜人族のお金持ちとかいるんだ?」
「あの人達はあまりお金に執着しませんからほとんどいませんけどね~。貴族はいますよ~」
ソラちゃんが聞くとレフィさんはすぐに答えてくれた。
竜人族の貴族ってイメージわかないね。
「人口ごとで居住区画が割り振られているので少数種族、例えばヴァンパイアとかレギオン、セラフィムやドミニオンなんかは殆どいないので区画は狭いですね~」
レギオンって確かユキさんが契約しているダンジョンマスターのルサルカさんの種族だね。ドミニオンはリオさんと契約しているキュリオさんの種族だ。
セラフィムはミルドさんだね。
こっちの世界には普通にいるんだ。
「ここからお城が見えますね~。お城の周りに尖塔が立っていますけど、この国に住む種族の数だけあるんですよ~」
お城をぐるりと囲むようにスゴい数の尖塔が見える。
この国は国王以外に種族長がいるそうで、国王は世襲ではなく種族長から選出されるのだそう。
「今はハーフエルフの人が国王をやってますね~」
「やっぱりハーフエルフ贔屓になったりするの?」
「いえいえ~まあ、人口が一番多いのでどうしても贔屓に見られますけど、基本的にはそんな事はしない決まりです~」
リオさんの質問に答えるレフィさん。私達は大通りを歩いて壁の内側、商業エリアへと入っていく。
「そういえば冒険者ギルドはあんな所にあるけど移転はしないのー?」
今度はアリソンさんが質問。
「しませんよ~。私達《ピクシーハンズ》は貧しい者の味方なので~。それに外に近い方が便利です~」
貧しい者の味方っていいね!
「それにこっちにも《ゴールドグロリアス》っていう冒険者ギルドがありますからね~」
「何かお金持ちそうな名前ね」
リオさんがそう言って笑っていた。
「まあ実際はかなりやば~いギルドだったらしいですけどね~。今は経営者が変わったので大丈夫ですよ~」
レフィさんは笑いながら話してくれた。
ハウト氏の竜人族かな?
ユキさんににじり寄っているお姉さんと上半身裸の青年と大男に容赦なくゲンコツを落としていく。
…スゴい音がしたけど大丈夫?全員床に倒れているけど…。
「うちのバカ共が大変失礼した!本当に申し訳ない!」
そう言うと腰を90度に曲げて謝罪してくる竜人族さん。
「ディラルさん、遅いですよ~」
「いや、すまん。他の連中は宿舎で迎撃したのだが気を抜いていた。庭木に水をやっている間にコイツらを取り逃がしてしまって」
ええと、他にもいるんだ…。
「あ、ありがとうございます。私はミナと言います」
「おお、君がミナか!話は聞いている。ようこそ《ピクシーハンズ》へ。俺はディラルハウトだ」
この人…じゃなくて、この竜人族さんがこの前話していたディラルさんなんだね。
「竜人族が1番常識人とは…」
「面白いねー」
「愉快なギルド」
リオさん、ほのかさん、ソラちゃんは倒れている4人を見ながらそれぞれ言っていた。
「あら、みんなおかえりなさい。ミナさん達も、来るのは今日だったのね」
ギルドの正規の出入り口から入って来たのはセラさん。
「ただいまセラちゃん。連絡方法がなかったのでそのまま来てもらいました」
アニエスさんが受け答えしている。
「来て早々騒がしくしてしまったみたいね。みんな根は良い人だから気を悪くしないでください」
「はい」
大分変わった人達だけどアニエスさん達のギルドだし信じよう。
改めてホールを見渡すと、エリストの冒険者ギルドよりもずっと広い。
酒場と併設だからかもしれないけど、それでも広い。
バーカウンターのような所には白いシャツにベストを着た20代半ば位の男の人がグラスを拭いている。
「あの人はハーマンさんです。見ての通り酒場のマスターですね」
レフィさんが紹介してくれた。
「何か飲んでいくか?酒以外も沢山あるぞ」
落ち着いた感じのお兄さんだけど目付きが鋭い。
「ここは酒を飲まない冒険者が沢山いるからな」
「私達の事ですね。すみません、いつも気を遣っていただいて」
「構わんさ。何を飲んでも客は客だ」
アニエスさんもお酒は飲まないんだね。
「一度試してみてダメでした」
「美味しくない」
「私は飲めますよ~」
アニエスさん、アンネさんは飲めない。レフィさんは好きみたいだね。
「私は飲んでも酔わないから」
セラさんはその姿でまさかの酒豪?と思ったら状態異常は効かないのだとか。
酔っている状態って状態異常なの?
「酒については後で頂こう。折角来たのだからこの世界を見て回りたい」
ルーティアさんはお酒と聞いて耳が忙しなく動いていたけど、飲むのは後にするらしい。
「賛成だ。出来ればこのギルドの剣士と話がしてみたい」
クロウさんはこの世界の剣術に興味があるのかな。
「街の案内からしましょうかね~」
「お願いします」
レフィさんが案内してくれるそう。
アニエスさんとアンネさんは私達が街を見学している間にギルドの人達を呼んでおいてくれるらしい。
ギルドから出てすぐの通りは小型の馬車が何とか通れそうな程の道幅しかなくて曲がりくねっている。
道沿いには露店が立ち並んでいて、すでに商売も始まっていた。
「この辺りはアヴァロンでも貧しい人が暮らしているエリアなんですよ~。内側に行くにつれお金持ちの住むエリアになりま~す」
レフィさんざ歩きながら説明を始める。
少し歩いたら大通りに出た。右側は少し進むと大きな壁と門。左側は綺麗な街並みが続いていて遠くに大きな壁と門が見える。
レフィさんがアヴァロンの構造を教えてくれる。
この街は円形に巨大な壁が3重に築かれていて、外側が貧民街、その内側が平民と商業区、更に内側がお金持ちと貴族が住んでいるエリアだそう。
それからアヴァロンにはあらゆる種族が暮らしていて、種族毎にも居住エリアが分かれているそう。
「じゃあ竜人族のお金持ちとかいるんだ?」
「あの人達はあまりお金に執着しませんからほとんどいませんけどね~。貴族はいますよ~」
ソラちゃんが聞くとレフィさんはすぐに答えてくれた。
竜人族の貴族ってイメージわかないね。
「人口ごとで居住区画が割り振られているので少数種族、例えばヴァンパイアとかレギオン、セラフィムやドミニオンなんかは殆どいないので区画は狭いですね~」
レギオンって確かユキさんが契約しているダンジョンマスターのルサルカさんの種族だね。ドミニオンはリオさんと契約しているキュリオさんの種族だ。
セラフィムはミルドさんだね。
こっちの世界には普通にいるんだ。
「ここからお城が見えますね~。お城の周りに尖塔が立っていますけど、この国に住む種族の数だけあるんですよ~」
お城をぐるりと囲むようにスゴい数の尖塔が見える。
この国は国王以外に種族長がいるそうで、国王は世襲ではなく種族長から選出されるのだそう。
「今はハーフエルフの人が国王をやってますね~」
「やっぱりハーフエルフ贔屓になったりするの?」
「いえいえ~まあ、人口が一番多いのでどうしても贔屓に見られますけど、基本的にはそんな事はしない決まりです~」
リオさんの質問に答えるレフィさん。私達は大通りを歩いて壁の内側、商業エリアへと入っていく。
「そういえば冒険者ギルドはあんな所にあるけど移転はしないのー?」
今度はアリソンさんが質問。
「しませんよ~。私達《ピクシーハンズ》は貧しい者の味方なので~。それに外に近い方が便利です~」
貧しい者の味方っていいね!
「それにこっちにも《ゴールドグロリアス》っていう冒険者ギルドがありますからね~」
「何かお金持ちそうな名前ね」
リオさんがそう言って笑っていた。
「まあ実際はかなりやば~いギルドだったらしいですけどね~。今は経営者が変わったので大丈夫ですよ~」
レフィさんは笑いながら話してくれた。
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