転生少女、運の良さだけで生き抜きます!

足助右禄

文字の大きさ
730 / 826
特別編3:異世界

魔神狩り

しおりを挟む
首を落としたからといって油断は出来ない。ヴォーグたん…じゃなかった、ヴォーグタンルーみたいに別々に動き出す可能性だってあるんだから。

エスカトンディザスターにもう一度オーバーブーストを掛けて頭と身体を斬り刻んでいく。ある程度細かくなった所で強めの魔法で遺骸を焼こう。

「《メルトストライク》!」

十分に距離を取ってから、同じくピクシーハンズで教わった魔法にオーバーブーストを掛けて放つ。

高空から火花を散らしながら炎が一直線に落ちてくる。
バラバラになったエルナギータ様の遺骸に命中すると、地面を溶かし抉り取りながら大爆発を起こした。

後には巨大なクレーターと真っ黒に燃え尽きた大地が残っている。

エルナギータ様の身体は完全に消滅したみたい。

これで一安心だね。

[《メルトストライク》が使用不能になりました]

やっぱりかぁ…。

手にしているエスカトンディザスターは健在。これって元々は神様由来の物だけど…。

[一定の法則で能力が失われているわけではない模様。更なる検証が必要]

だよね。

「ミナさん…今のは一体…?」

マークさん達が戻って来た。かなり遠くまで逃げてくれたみたいで全員巻き込まずに済んだ。

「魔神ですね。今度こそ仕留めましたよ」
「いや、それは見ていたから分かるんだが…」
「その膨大な魔力と力はどうやって身につけたの…?」

ゴードンさんとニールさんに聞かれるけど困ってしまう。
《アドラステア》が使えないから最高出力には程遠いんだけどなぁ。

トリプルブーストを使えばもっと簡単に倒せるだろうけど、一時的でも身動きが取れなくなるのはかなりマズい。

「まあ…研鑽と訓練、かな?」
「そう…ですか」

適当に言っておこう。

「アンタ…あいつを倒したのか…?」

次にやって来たのはムドさん。他の獣人族もついて来ている。全員狼の姿から人の姿に変わっていた。
ムドさんは180センチくらいの筋肉質の男性。黒く長い髪が野生的な印象を与えている。
獣化していた時に体に巻き付いていた布や鎧は人の姿になった時にすぐに身につけられる様になっていたみたいで、全員服も鎧もしっかりと着ていた。

「はい。森はかなり壊しちゃいましたけど、何とか倒せました」

暫くは何も生えてこないかも。

「あの魔神に俺達の仲間は大勢殺された」

大森林の北部に岩山があるらしく、ムドさん達の様なクルエナールに隷属しなかった人達はそこに隠れ住んでいたらしい。そこに悪神のエルナギータ様が現れて岩山ごとみんなを吹き飛ばしてしまったそう。

「アルギット山が無くなったのは魔神の仕業だったのか…」

そう言って頷いているのはゴードンさん。
名前も付いているし大きな山だったのかな。

「同胞の仇を討ってくれたアンタには礼を言わねばならない」
「いえ、元々私は魔神を討伐する約束をしていましたので」

気付けば大勢の獣人族が集まって来ていた。破壊してしまった森の広さは大きな野球場が丸ごと入るくらいだ。

無事な木々の間から覗いている獣人族も大勢いて、かなりの数がこの森に隠れ住んでいたのが分かる。

「囲まれてます…」
「今更ジタバタしても仕方ねぇな」

ザクスさんに抱えられたままのルルさんが怯えているけど、ザクスさんは周囲を一瞥して苦笑しただけだった。

さて、これで私は敵ではないって分かってもらえたかな?

「私はミナと言います。皆さんと敵対するつもりはありません。魔神を倒して仲間と合流したいだけなのです」

取り敢えず名乗っておこう。
何も言わずに私を見ている獣人族の人達。

うーん…。

「皆さんが敵対すると言うなら私は全員を倒してでも進みます。今度は一切の手加減はしません」

脅しになっちゃうけどしょうがないよね。このまま黙って通してくれるだけでいいんだけと。

「敵対などするわけがない。先程の非礼を詫びよう」

そう言って土下座の様な格好をするムドさん。他の獣人族も同じ格好をしていた。

「魔神を狩る者、ミナよ。我らの長になってはくれないか?」
「へ?」

いやいや、いくらなんでも話が飛び過ぎだよ。

「あなたこそ真の戦士。我らの王になってください!」
「あなたがいてくれればクルエナールの人間など敵ではない!」

…うーん。

〈随分と身勝手な事を言っていますね〉

うん。流石にこれは無いよね。

「私が彼らの身元を引き受ける事はできるのですか?」
「それはミナさんの所有物にすると言う事ですか?」
「そういう訳ではないのですが…」

マークさんに聞いてみたけど、クルエナール連邦の中では獣人族は奴隷でしかないんだったね。
彼らに自由に生きてもらうには色々と交渉しなくちゃいけなさそう。
しかも今回の事でアウラン大森林にかなりの数の獣人族が住んでいる事が判っちゃったし、このままここにいたら軍が来てみんな捕らえられてしまう。

「ここに住んでいる人達について報告しますよね?」
「まあそうだな」

ゴードンさんに即答される。

一度は敵対した人達とはいえ、奴隷にされるのを見て見ぬ振りはしたくない。
でも私は部外者なんだよね。この世界にずっと居られるわけでもないし…。
うーん、困ったなぁ。このまま放置するのもちょっと…。

「私はずっと皆さんと一緒にいられないし、クルエナールと戦う気もありません。私には獣人族の皆さんを自由にしてあげられる権限もありません。それでも私に従うと言うのなら、この国の決まり事を守る為に、全員に奴隷の証の首輪を付けていただくことになります」

これで諦めてくれるかな?今度は新しい住処を探してあげたい所だけど。

「それで構わない。俺達全員アンタの奴隷になる!」
「えぇ…」

っていうかムドさんが勝手に決めていい事なの?みんな首輪を付けるのが嫌で逃げて来たんじゃ…?

全員って何人になるんだろう。
しおりを挟む
感想 1,520

あなたにおすすめの小説

転生令嬢は庶民の味に飢えている

柚木原みやこ(みやこ)
ファンタジー
ある日、自分が異世界に転生した元日本人だと気付いた公爵令嬢のクリステア・エリスフィード。転生…?公爵令嬢…?魔法のある世界…?ラノベか!?!?混乱しつつも現実を受け入れた私。けれど…これには不満です!どこか物足りないゴッテゴテのフルコース!甘いだけのスイーツ!! もう飽き飽きですわ!!庶民の味、プリーズ! ファンタジーな異世界に転生した、前世は元OLの公爵令嬢が、周りを巻き込んで庶民の味を楽しむお話。 まったりのんびり、行き当たりばったり更新の予定です。ゆるりとお付き合いいただければ幸いです。

素材採取家の異世界旅行記

木乃子増緒
ファンタジー
28歳会社員、ある日突然死にました。謎の青年にとある惑星へと転生させられ、溢れんばかりの能力を便利に使って地味に旅をするお話です。主人公最強だけど最強だと気づいていない。 可愛い女子がやたら出てくるお話ではありません。ハーレムしません。恋愛要素一切ありません。 個性的な仲間と共に素材採取をしながら旅を続ける青年の異世界暮らし。たまーに戦っています。 このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。 裏話やネタバレはついったーにて。たまにぼやいております。 この度アルファポリスより書籍化致しました。 書籍化部分はレンタルしております。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。