転生少女、運の良さだけで生き抜きます!

足助右禄

文字の大きさ
743 / 826
特別編3:異世界

決着

しおりを挟む
──〔another side〕──

本体やみんなと別れて私はアモルエトールの神界に転移した。

私が操られていないと言う事を信じてもらえなかったのは悲しいけど、実際私の中にはウルドベルズ様がいる訳だし仕方がない。
さっきは制御を奪ったとは言ったものの、完全に自分の中に取り込めた訳じゃないんだよね。まあこの状況で何か出来るとは思えないのだけど…。

神界への転移もアウラさんのサポートで簡単に出来た。
神界は青白い光を放つワールドコアだけが浮かんでいる宇宙空間みたい場所で、この空間がどこまで続いているか分からないくらい広い。

この空間に居るのは私だけみたいだし、ワールドコアに触れてオラクルに入ろう。
猶予は1日あるけどなるべく早く戻った方がみんなも安心できるだろうからね。

セラさんから習得した力を使ってワールドコアの内部に入る。
中の様子はヌスクァムのオラクルと同じで大小様々な球体が浮遊している不思議な空間だった。

[注意、ミナの中のウルドベルズが抵抗を試みています]

抵抗って、ワールドコアへのアクセス権限も完全に奪っちゃってるし、今更何も出来ないよね?

[オラクル内にウルドベルズを確認]

えっ…まさか自分を切り離してここに置いておいたの?

「ようこそミナ=アドラステア」

球体の浮かぶ世界のずっと奥に人の姿をしたウルドベルズ様は居た。声は直接頭に響いているみたいで口元は動いていない。

「私は分身体だからその名前で呼ばれる存在じゃないと思うのですが」
「本人を招待出来なかったのは残念です。ここであなたの全てを頂こうと思っていたのだが」
「そんな事はさせるつもりはありません。そんな事より3人から奪った魂を返してもらいます」

会話はしてみたけど、私は話し合いで解決出来るとは思っていないよ。ここまできたら力尽くで取り返すんだから。

「取引をしないか?」
「取引?」
「分身体の貴女が私に取り込まれてくれれば、3人の魂を全て返そう」
「いいえ。私は取り込まれるつもりはないし3人の魂を諦めるつもりはありません」

キッパリと言っておく。人から奪ったもので交渉だなんて図々し過ぎだよ。

「ならばこちらも力で奪わせてもらおう」

ウルドベルズ様は右手に剣、左手に大盾を召喚する。見た目はアニエスさんのダインスレイヴとユキさんの大盾だ。ここはオラクルだし結構何でも出来ちゃうみたいだね。

[オラクルの操作方法を取得中…完了。あちらと同等の事は操作できます。記憶の中から武装を生成可能です]

なるほど、記憶から武具を取り出していたんだね。
向こうもこっちも魂の欠片同士。条件が同じなら勝機はある!

悪いけど手加減してあげるつもりはないからね。早く倒して帰らないとアモルエトールごと消されちゃうんだから。

生成出来るならこっちも使わせてもらうよ。ディエスエグゼクリシオンを生成して刀身を《ソードコントロール》で分離。持ってた方も同じようにしてジールディアスレイヤー二刀流。

オーバーブーストをそれぞれの剣に付与して──

その時、今までに経験した事がない不快感に襲われる。
身体中…身体の中にも無数の小さな虫が這い回っているような気持ちの悪い感覚。気持ちが悪くて蹲りたくなる。

[ミナが取り込んだウルドベルズからの攻撃です]

「私にした事を真似させてもらったよ。どうだ?中々のものだろう?」
「うぅっ…」

これは確かにキツい…魔法を奪うのを躊躇っただけの事はあるね…。
でもこんな事で負けるわけにはいかない。

「身動きが出来ないうちに取り込ませてもらおう」

ゆっくりとこちらに向かって来るウルドベルズ様。

アウラさん、私の身体って動かせる?

[可能です]

じゃあ私の代わりにウルドベルズ様をやっつけちゃって。

[了解。ミナの身体の制御を掌握します]

身体が勝手に動いて剣を構える。

「なに…?」

オーバーブーストを掛けた《飛翔閃空牙》の3連撃がウルドベルズ様の身体を斬り刻む。

「ぐふっ…まさか動けるとは…」

オラクルの中だからか、かなりのダメージを与えているのにまだ倒せてない。
アウラさんはそのまま後ろ回し蹴りでウルドベルズ様を弾き飛ばして複数の球体に激突させる。

「あががががががが…」

変な声を上げながら目や耳、鼻から大量の血を噴き出して苦しむウルドベルズ様。

ぶつかった球体から大量の知識が流れ込んできて、処理できずに大変な事になってるみたい。

アウラさんが私の身体を動かしている間も全身を駆け巡る不快感は治らない。

気持ち悪い…けど見届けなくちゃ。

[《強奪》を作動させた結果、あのウルドベルズは3人の魂を吸収していない事が分かりました]

…じゃあ一体どこに?

[オラクル内で残滓を確認]

それを辿れば魂のある所に行けるんだね。

完全に動きの止まったウルドベルズ様に向かって両手の剣の切先を向けるアウラさん。オーバーブーストを込めた《ルインブレイザー》を両手の剣それぞれから発射する。

放たれた魔法は光線の様に真っ直ぐ飛んでいき、ウルドベルズ様の身体を貫いて大爆発を起こした。

[ウルドベルズの消滅を確認。内部の抵抗も無くなりました]

ようやく倒せた…。

気持ちの悪さから解放されて大きく息を吐く。

アウラさんありがとう。お陰で何とかなったよ。

[身体の制御を返します。魂を回収しましょう]

そうだね。急ごう!

アウラさんの案内で魂の残滓を辿っていく。

ここはオラクルの中でもかなりの深部。何でこんな所に3人の魂を隠したんだろう?

更に奥へと進んでいくと、遠くに黒い渦の様なものが見えて来る。

あれは何だろう?

[あの地点で残滓が途切れています。付近に魂の欠片はありません]

取り敢えず渦を調べてみよう。

[解析します]

アウラさんが調べてくれている間に私も様子を確認する。
近くで見ると穴が空いているみたいで、向こう側に行けそうだ。多分3人の魂の欠片はこの向こうに行ってしまったんだろう。

と、突然渦の回転が速くなって穴が閉まり始める。

ど、どうしよう…?

[解析完了。このまま中に入るのは危険です。退避してください]

でも魂はどうするの?

[別の方法で救出する手段があります。まずはオラクルから出てください]

う、うん…分かったよ。

私は穴が完全に閉じるのを見届けてから急いでオラクルから脱出した。
しおりを挟む
感想 1,520

あなたにおすすめの小説

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

転生令嬢は庶民の味に飢えている

柚木原みやこ(みやこ)
ファンタジー
ある日、自分が異世界に転生した元日本人だと気付いた公爵令嬢のクリステア・エリスフィード。転生…?公爵令嬢…?魔法のある世界…?ラノベか!?!?混乱しつつも現実を受け入れた私。けれど…これには不満です!どこか物足りないゴッテゴテのフルコース!甘いだけのスイーツ!! もう飽き飽きですわ!!庶民の味、プリーズ! ファンタジーな異世界に転生した、前世は元OLの公爵令嬢が、周りを巻き込んで庶民の味を楽しむお話。 まったりのんびり、行き当たりばったり更新の予定です。ゆるりとお付き合いいただければ幸いです。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生皇女セラフィナ

秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。 目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。 赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。 皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。 前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。 しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。 一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。 「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」 そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。 言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。 それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。 転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

【完結】これをもちまして、終了とさせていただきます

楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。 伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。 そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。 「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」 神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。 「お話はもうよろしいかしら?」 王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。 ※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。