転生少女、運の良さだけで生き抜きます!

足助右禄

文字の大きさ
801 / 826
特別編3:異世界

元勇者達

しおりを挟む
エリーゼさんの所に置いていくオートマタには名前が付けられていない。

「私はここに戻って来られないと思う。これよりあなたのマスターはエリーゼさんです」

レネさんの言葉に悲しそうな表情を浮かべるエリーゼさん。

「畏まりました。エリーゼ様をマスターとして登録致します。私に名前を付けてください」

無表情のオートマタさんはエリーゼさんの方に向かって言う。

「え、はい。それじゃあ…ユミトさん、でよろしいですか?」

戸惑いながら考えて名前を絞り出すエリーゼさん。

「ありがとうございます。私の名前はユミトです。よろしくお願いします、マスター」
「は、はい!よろしくお願いします!」

無事に引き継ぎが終わったんだね。良かった。

「それじゃエリーゼちゃんまたね。近くに来たら必ず会いに行くから」
「フィノーラさん、ご指導ありがとうございました」
「エリーゼさん、お元気で」
「レネさんもお世話になりました」

私達もそれぞれお別れの挨拶をする。玄関で大きく手を振って見送ってくれたエリーゼさんは目に涙を浮かべながら笑っていた。

「もう会えないかも知れないよ?」
「いいんだよ。永遠にさよならなんて寂しいじゃない?だから『またね』ってお別れするんだよ」

ソラちゃんに聞かれて笑顔で答えるフィノーラさん。

フィノーラさんは良い人だね。

私達はフィエナさんの所に移動する。

山間の小さな村。フィエナさんの家は前に話をした男の子と二人で住んでいるそうで、今はフィリスさんが護衛してくれている。

「こんにちはー」
「あらミナさん。ここに来たという事は魂の分離できる様になったんだね」
「はい」

玄関を開けて出迎えてくれたのはフィリスさん。フィノーラさんとレネさんは娘さんだったね。

「あなた達もご苦労様。リファナさんもありがとうね」

フィノーラさんはニッコリ笑って返事。レネさんは静かに頷く。リファナちゃんは緊張した様子で返事をしていた。

中に入れてもらってフィエナさんに説明をする。

「勇者の能力が無くなればこの前みたいにさらわれる事は無くなるのでしょうか…」
「あなたが勇者の能力で有名になる様な事をしていなければ問題ないだろうけど、どうかしらね?」

リオさんは正直に答える。

「心配なら私が護衛をつけましょう。あなたは犬と猫どちらが好き?」
「え?どちらかと言えば犬でしょうか…」
「わかりました」

そう言って外に出ていくレネさん。
もしかしてエリーゼさんの所みたいにオートマタを?

「まずは魂の分離からやってしまいましょう。リファナ、お願い」
「はい!」

リオさんに言われてリファナちゃんは鞄から玉を取り出してフィエナさんに押し当てる。魔力を込めていくとゆっくりと玉に光が移ってきた。

「はい。終わりです」
「もう…ですか?」
「どこか異常はありませんか?」
「何ともないです」

あっけなく終わって拍子抜けしているフィエナさん。ほぼ同じタイミングでレネさんが戻ってきた。

「フィエナさんの家の警護を作りました」

そう言って見せてくれたのは真っ白な毛並みの中型犬。耳が垂れていて可愛い。

「人型のオートマタは調整に少し時間が掛かるから動物にしました」

見た目は普通に犬なんだけど…これがオートマタ?

「この子は食事を取らないし休みなく動く事が出来るので世話の必要はありません。コミュニケーションは人語で行いますし主人の命令を忠実に守ります」
「あ、ありがとうございます」

レネさんの説明を聞きながら行儀良く座る犬型オートマタさん。

「名前を付けてあげてください」
「そうですね…アルブ、で良いですか?」
「畏まりました。私はアルブ。よろしくお願いしますマスター」

犬型オートマタさんは成人男性の落ち着いた声で返事をしている。
犬が普通に喋るのには違和感があるけど、しっかり受け答えしているあたり知能はかなり高いみたい。

そのあとレネさんはフィエナさんに機能の説明を細かくして別れる事に。…戦闘面の機能が充実しているみたい。

「村に異常は無かった?」
「2回勇者の襲撃があったよ。いきなり現れて『この村を統治する』とか言ってたから帰ってもらったよ」

ソラちゃんに答えるフィリスさん。
襲撃者はフィリスさんが退治してくれたそう。
次に来た時はアルブさんに対応してもらう事になるんだね。

「フィリスさん、ミナさん達も助けていただいてありがとうございました」
「村のみんなが穏やかに過ごせる様になると良いね」

フィエナさんとフィリスさんは握手をして笑顔でお別れ。
フィリスさんはこのままみんなと合流するけど、あとの3人はどうしてるのかな?

「3人ならディルダンに行ったよ。魔皇王に話を付けてくるって」

3人だけで行っちゃったんだ…大丈夫かな?

「あの子達なら大丈夫だよ。みんな強いんだから」

そう言って笑いかけるフィリスさん。何かあれば連絡が来るよね。

《テレポート》でゼレイアの王都の宿屋に移動。

大部屋にはマサキさん達のパーティが居て、レアさんが《ビジョン》でルーティアさん、イスファリナさんと話をしている最中だ。

「お疲れ」
「お疲れ様です」

マサキさんと軽く挨拶を交わして《ビジョン》の方に耳を傾ける。

『──で、クライツヴォルン陛下の言葉を伝えてみたのだが『何があっても戦はやめない』と言うのさね』
『完全に暴走してるのね。魔皇王に捕縛の許可をもらっておくわ。友好的に接してくれたんだから筋は通さないとね』

話しているのはルーティアさんとイスファリナさん。どうやらディルダンでの交渉は上手くいったみたい。

「こちらは準備が整い次第行動を開始します。人一人にする攻撃ではありませんが…」

レアさんはこれからやろうとしている作戦に躊躇いがあるみたい。

『《遮断》とやらがどれ程の性能か分からないけど、これだけの戦力が揃ってるんだから余裕でしょ。準備は任せたわ』
『私達も引き続き悪鬼の追跡をする。準備ができたら《ディレクションシェル》で繋いでくれ』

イスファリナさん、ルーティアさんとの通信が切れる。

「他のみんなは?」
「アニエス達はゼレイア国王にディルダンの意思を伝えに行ってる。セラ達は山岳部に先行して周辺の整理。ゼクセルはマナ循環をするって言って飛んで行ったぞ」
「私もやらなくちゃ…!」

マサキさんの話を聞いてリファナちゃんが慌て始める。

「マナ循環って?」

ソラちゃんが小首を傾げてリファナちゃんに聞く。

「えっと、私達の世界とこの世界とでは微妙にマナの性質が違うのです。普通の魔法なら影響は出ないんだけど、私とゼクセル陛下の使う魔法は制御にマナの同期が必要なので」
「なるほど分からん」
「あはは…とりあえず私も行ってきます!」

鞄を置いて大部屋から出ていくリファナちゃん。

さっき話していた事も含めてレアさんに色々聞かないとね。
しおりを挟む
感想 1,520

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

私の家族はハイスペックです! 落ちこぼれ転生末姫ですが溺愛されつつ世界救っちゃいます!

りーさん
ファンタジー
 ある日、突然生まれ変わっていた。理由はわからないけど、私は末っ子のお姫さまになったらしい。 でも、このお姫さま、なんか放置気味!?と思っていたら、お兄さんやお姉さん、お父さんやお母さんのスペックが高すぎるのが原因みたい。 こうなったら、こうなったでがんばる!放置されてるんなら、なにしてもいいよね! のんびりマイペースをモットーに、私は好きに生きようと思ったんだけど、実は私は、重要な使命で転生していて、それを遂行するために神器までもらってしまいました!でも、私は私で楽しく暮らしたいと思います!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。